ハイメディック山中湖

エクシブ山中湖の地下2階には、「ハイメディック山中湖倶楽部」がある。ここにある「山中湖クリニック」におけるがん検診を、エクシブ山中湖に宿泊しながら受診できるという、エクシブとは別の会員権である。

リゾートトラストはエクシブの成功で築いた会員層に向け、医療サービスを展開しており、現在は「グランドハイメディック倶楽部」の名称でがん検診を主な目的とする会員権が販売されている。検診センターも山中湖、大阪、東京(2006年秋)と増えた。利用日の交換システムなどにエクシブのノウハウが転用されている。

ハイメディックの最大の売りは、臓器をPETやCT、MRIなど複数の検査機器を用いて調べ、「がんの早期発見」を目指す点である。中でも、山中湖クリニックは日本で最初のPETを中心とした検診センターである点から、PETの効用を重点においたセールスがなされてきた。加えてここ数年、「PETはがん検診の切り札」という切り口の報道、テレビ番組も増え、PET検診はブーム化しており、その先駆者である山中湖クリニックの実績は、ハイメディックの販売において大きなよりどころとなってきた。

ところが、ここに来てPETの有効性を疑問視する報道がなされ、PET関係者には激震が走っている。きっかけは、読売新聞のこの記事だ。「PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査」。

3月3日のこの記事に続いて、読売新聞は3月6日にイラスト解説を交えたさらに詳細な記事を発表([PET検査](上) がん未検出85%)。PETに対して「欧米では、がん検診への有効性が示されておらず、実施されていない」と切り捨てた。

これに対して業界も即座に反応。PET専門医師による団体「PET画像診断フォーラム」は、読売の記事はこれまでのPET専門家の「努力を、無に帰する」ものだと強く反論。PET検診ががん発見に有効である旨の記事の掲載を望む声明を発表した(読売新聞のPET関連記事 (3月3日夕刊)について)。現在のところリゾートトラストからこの報道に関するコメントは出ていないが、昨年来、ハイメディック事業の拡大を進めている同社にとっての影響は、少なくないはずである。

3 comments

  1. resortboyさん、こんにちは

    ACAさんのところでも話題になっていましたが、新聞報道は
    ハイメディックなど「PETを利用し他の検査も行っている検診」と
    これまでの「一般的な人間ドックなどの検診」との診断率を比較すべきなのに
    ただ単に「PET単独の診断率」に話をすり替えてしまっているように思います。

    しかしハイメディック設立当時に比べ、PETが普及しはじめて
    他の病院でも「PETを利用した検診」がより安価に受けることが可能になってきた現在では
    以前のままの価格で会員権を販売するには無理があるのでは
    ないでしょうか。

  2. 初島さん、こんばんは。新聞報道に関して、おっしゃるとおりだと思います。ただ、PETががん検診の切り札、というトーンの報道からPET検診がブーム化してしまったことを考えると、こうしたカウンター情報はどこかで必要だったのではと、僕自身は思います。

    また、初島さんのおっしゃるように、ハイメディックは今のような水準の価格で会員権販売を継続するのは、かなり困難ではないかと、僕も思います。効果があるよい技術であれば普及するはずですから、価格の下落は避けられません。会員権として検診サービスを購入してしまうと、将来に渡って費用がフィックスしますから、普及による価格下落のメリットを享受することができません。

    イノベーション分野における会員権販売は困難であり、普及による価格下落が起きるか、イノベイティブな別の技術によって陳腐化するか、どちらかが避けられません。まぁ、リゾートトラストはそこを承知の上で商売を設計しているはずなので、こんなこと言っても、大きなお世話ですが。

    ハイメディックの目指すところには共感もするし、僕もとても興味があります。単独のメディカル会員権としてではなく、エクシブのオプションとして年次更新のサービスとして販売すれば、もっと利用され、会員にも喜ばれるものになると、常々思っていますよ。

  3. 本件、関係者の間ではさらなる大騒ぎになったようで、読売新聞の取材先であった国立がんセンターが見解を発表しています。

    PETのがん検診に関する新聞記事に対する国立がんセンターの見解について

    また、この件について、ジャーナリストの山岡俊介氏がブログで取り上げています。

    「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ): 国立がんセンターVS読売新聞 がん早期発見のPET検査記事を巡って

    もう1つ。読売新聞が後日発表した別の記事。こちらでは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの早期発見に、PETが有効であることが解説されています。

    [PET検査](下)脳の病気 早期発見 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

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