岡山県でバブル遺跡施設を満喫した筆者は、続いて瀬戸内海に浮かぶ観光とオリーブの島、小豆島に向かいました。小豆島は瀬戸内観光のハイライトです 1。車で走るだけなら半日もかからない小さな島ですが、見どころにあふれ、興味の尽きない島です。例えば、島内には四国八十八ヶ所を模した「小豆島八十八ヶ所 2」があり、コンパクトに周遊、お参りできたりするのです。
船に乗って
素晴らしい観光の島ですが、ここにあるガラ権施設を訪ねるには、必ず船に乗る必要があります。しかし、ご心配は要りません。岡山県や兵庫県からの船便は多数あります。
どのように行くのか、周回がよいのか、などと船の時刻表を見ていますと、最初は迷って疲れますが、慣れるとそれら選択肢の使い分けにハマり、だんだん楽しくなってきます。現在、車が載せられるフェリーだけで3社5航路となっています 3。瀬戸内海でも一番内側ですから船の揺れを気にすることなく、安心してルート計画造りを楽しめます。
この時、筆者は岡山空港で借りたレンタカーをフェリーに載せ、岡山県の新岡山港から小豆島の西側の土庄港に向かい、当日中に島内を駆け巡り、東側の福田港から兵庫県の姫路港に戻るというルートとしました。
赤穂浪士
その小豆島観光には1日を費やしましたが、その前に前日の話です。岡山市から兵庫県境まで、海岸線東側を往復してきました。
今年、ダイワロイヤルが全部アコー系になったので 4、アコー系ステータス修行が注目されています。
アコーのステイタス獲得にチャレンジする者は、マリットやヒルトンという主流派と比較して「赤穂浪士」と呼ばれます。そして、アコーの上位ステータス成就を祈願するため、兵庫県赤穂市の赤穂大石神社 5 への参拝が増えた…、というのは全くの嘘です。
というわけで、赤穂の海岸にある「ザ グランリゾート赤穂」6(営業中)を点検してきました。
赤穂市の海岸線は綺麗ですが、訪問時はコロナの影響で、ホテルに隣接するビーチは閉鎖されていました。そのため、1984年開業のこのホテルも裏側の駐車場から望むだけとなりました。
赤穂のグランに調査の足跡を残した筆者は、岡山市に戻り、宿泊先に入りました。グランリゾートは、岡山市の北東にある有名温泉地、湯郷温泉郷にもかつて施設があり、閉鎖された施設がいまもあるのですが、こちらはまだ見ていません。
小豆島へ
そして翌日、天気は上々、いざ小豆島観光に突撃です。
新岡山港からのフェリーは、朝一便で出港。朝日を浴びながら小豆島土庄港に入港します。
小豆島には過去にいくつかのガラ権施設が造られたのですが、元のままと言えるものは残っていません。1つは会員制リゾートホテルの元祖となる廃墟ですが、現在は自然に埋もれており、訪問は不可能でしたので、訪問可能な3つのホテルを訪ねました。どれも現在も運営されているものですので、現状の詳細や建物内部については、脚注にあるホームページでご確認ください。
最初に登場するのは、小豆島のメイン港であって多くの船が行き来する土庄港への入出港時にすぐに確認できる「ホテルグリーンプラザ小豆島 7」です。
本ホテルは、エメラルドグリーンクラブ 8 の施設として早い段階から稼働するも、いつかの段階で切り離され提携施設とされ、最終的に2021年で提携関係も終わったため、現在は完全に一般ホテルです。
1982年開業、2000年に改修とあるだけなので老朽化は仕方ないですが、船からの写真に見る通り、周りは緑に囲まれ、44室となる客室は全室オーシャンビュー。口コミに「泊まるだけならOK」という厳しい評価もあるものの、レトロを好むガラ権ファンには、往時を偲べて良いかもしれません。
二十四の瞳
筆者は、上陸した土庄港から、島の海岸線一周を試みます。潮の満ち引きの関係で、人気スポット「エンジェルロード 9」の砂浜が渡れると分かっていたので南回りで走行しました。
独特の美しい景色を堪能した後、次に訪ねたのが「二十四の瞳」の記念地であります 10。2つ目に見るガラ権だった施設は、この二十四の瞳に見守られるように、このすぐ近くにあります。
ここが、小豆島のガラ権を一躍有名にした、かつてセラヴィリゾート泉郷の施設だった「ネオオリエンタルリゾート小豆島ホテル 11」です。海岸へ突き出た土地を独り占めする好立地です。
旧セラヴィリゾートが泉郷を吸収する前の2003年に買収され、会員向け施設として利用された後、更生計画の過程で2009年に手放しています 12。当時「ネオオリエンタルリゾート」のブランドは本場・八ヶ岳でもホテル&コテージで使われました。
現在は、エンジェルリゾート 13 という地元の会社が、小豆島を代表する歴史ある「小豆島国際ホテル」とともに、「ベイリゾートホテル小豆島」として運営して健在です。預託制ガラ権ですから、このように譲渡も簡単で、新しい運営会社になってリニューアルされていますので、築年は1991年だそうですが、まだまだ現役を続けられるでしょう。
夕陽の丘
そして3つ目のホテルです。時はもう日が傾く時間が近づいたので、一気に西側の山側の丘の上に向かいました。
たどり着いたホテルは、旧名称を「リゾートホテル オリビアン小豆島 14」と言います。1985年開業です。
現在は、セラヴィが先ほどのネオオリエンタルリゾート小豆島ホテルを手放した後、小豆島に拠点を残したくて、海辺ではなく丘の上のこのホテルを「特別契約施設」としてクラブに組み込んでいるのです。
セラヴィには、全国展開の夢があるようで、提携施設を含めると北から南まで沢山の施設があるので、ラインナップをご確認ください 15。これら施設のルーツは旧ガラ権施設ばかりというわけではありませんが、ガラ権好きの心に訴える何かがあるホテルが多いです。
さて、オリビアン小豆島と聞いて、旧ナクアリゾーツクラブの一員だったはずとピンと来た人は「ガラ権マイスター」です。その通り、こちらは、元々は小豆島出身で香川県高松市で成功した人が、まるで最近取り上げた「ホテル西長門リゾート 16」の記事でのエピソードのごとく、このホテルの立地(尾形崎)からの景色に胸を打たれ、何が何でもここにホテルを作ると頑張って建てたものだったのです。
ジャイロの西長門は成功しましたが、残念ながらオリビアン小豆島の運営は順調ではありませんでした。旧ナクアリゾーツクラブは、那須で派手に展開して倒産し、西武プリンスの不採算施設とともにシティバンク系ファンドが引き受けた「葵地所」(葵リゾートクラブ)の後継であり、ガラ権史上、重要なクラブですので、後日、那須方面を取り上げる時に書きますから、今回は名前だけご記憶くださって「プリンス・葵=ナクア」と念仏を唱えてお待ちください 17。
帰還
あれこれ、頑張って走り回りまして、最後は、小豆島・東の小さな福田港に戻り、フェリーに間に合い、真っ暗になりましたが、兵庫県・姫路港に到着できたのです。もう、へとへとです。
これで、中国地方に関連するガラ権ホテル群を訪ねる4回シリーズの旅を終えます。
次回は番外編として、欧米と日本の休暇(バケーション)の感覚の違いに触れる記事をお届けし、その後は、年末特別企画として「ガラ権のエッセンス」が詰まった、消滅したメーカーたちとその施設の末路(筆者はまだ当事者でもある)を、3回シリーズでお届けします。どうぞお楽しみに。
小豆島八十八ヶ所めぐり The Shodoshima Pilgrimage offiicial site - 小豆島霊場会 ↩︎
天橋立宮津ロイヤルホテル | 今年起きる空前絶後のガラ権パワーシフト | 会員制ホテル今昔物語 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究 ↩︎
旧セラヴィリゾートが入手後、2004年に旧泉郷を統合する形で旧セラヴィリゾート泉郷となった後、2008年に旧セラヴィリゾートグループ全体が破綻し、更生計画のもとに現セラヴィリゾート泉郷が再建された。
・参考文献:もっと身近にリゾートを | 小西 滋 |本 | 通販 | Amazon ↩︎エンジェルリゾートグループ小豆島 - チャーター船、バス、レンタカー、観光ツアーのことならエンジェルリゾートグループ小豆島へ - ↩︎
ホテル西長門リゾート | 本州最西端、絶景のオールドリゾート秘話 | 会員制ホテル今昔物語 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究 ↩︎
現在は以下のリゾートクラブに引き継がれている。
・<公式>リゾート会員権で楽しむ最高品質のリゾート「エピナールリゾートクラブ」 ↩︎
1988年頃に、「オリビアンカップ」というテニスの大会に出場し、その際に泊まったことがあります。
懐かしいなあ。