1本も記事を書かずに6月も下旬となってしまいましたm(__)m 6年生はもう夏休み直前!という感じで、そろそろ親御さんに焦りが出ている時期かと思いますが、いかがでしょうか。というわけで、誰も言わない中学受験戦略の続きとして、今日は「配点」の話をしましょう。
よく言われることに、「志望校の過去問との相性が大事」ということがあります。まぁそれはそうなんですが、問題をやり込んで内容まで踏み込むなんてことは素人にはできません。もっと確実にその「相性」を判断できる方法をご紹介します。
合格平均点が高い学校と低い学校
第一に「合格平均点が高い学校と低い学校がある」ということです。何かサンプルがないと説明しづらいので、渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)の平成25年第一回入試の結果データで説明します。
この学校は300点満点ですが、男子は151点で合格でした。例年、2月1日の第一回入試は女子の方が圧倒的に成績がよく、女子の合格最低点は12点も高い163点ですが(* 脚注)、男子に関しては半分取れれば合格した、ということなんです。これは、問題が必要以上に難しい傾向があるということです。
逆に、7割取っても合格しない学校があります。極端な例ですけれど、東洋英和女学院中学部の平成24年度B日程においては、合格最低点が320点満点で239点と、約75%でした。こうなってくると、小さなミスが命取りになってきます。
難しい問題に対してつまみ食いで点をかき集めるゲリラ戦法で行くのか、それとも簡単な問題に対して水も漏らさぬ丁寧さを発揮することが必要なのか、それが合格最低点を見ることでわかるわけです。
この違いは、学力というよりはむしろ、ご家庭やお子さんの方向性とか性格みたいなものに依存する話なんじゃないでしょうか。
四科の配点
次に、四科の配点についてです。上記の渋渋は、国語・算数・理科・社会の配点が100・100・50・50で300点です。これが一番理社の比率が少ないパターンで、逆に多いものとしては、女子学院などがすべて100点の均等配点です。
全科目が均等によくできる、ということはむしろ珍しいですから、学校による配点の違いも、合格作戦を立てる上では大事になってきます。例えば、前にも書きましたが、社会の50点のうち地理が15点だったとすると(地理15点、歴史20点、公民10点、時事5点のような)、300点満点中では5%に過ぎませんから、そこに過大な時間を掛けるのは得策ではない、というような考え方が成り立ちます。
また全部100点の均等配点だと、1科目で失敗しても(典型的には算数)、その他で取り返せる可能性が高まりますし、点数のぶれない理社に力を入れて結果を安定させる、という手法が取れます。逆に捨てられるところは減るので、準備は大変になる傾向があります。
四科の難易度
最後に、科目ごとの難易度です。やはり渋渋の平成25年第一回を例に、四科の平均点を個別に見ていきます。
受験者平均 / 合格者平均、という書式で書きますが、国語は57.4点 / 64.0点でした。差が6.6点と、あまり付いていません。ざっと6割平均ですから、受験者の学力に対しては標準的な作問であったことがわかります。
次に算数です。40.7点 / 53.4点と、12.7点も差が付いています。この学校だけではありませんが、全体的な勝負は算数で付くわけです。また、平均点が4割ということは、多くの受験生にとっては難しすぎたということです。
問題を見てみると、1番が小問集で、2、3、4が大問です。大問の中の枝問(1)などは解き進めるための誘導問題ですからできて当たり前で、結局、難問を解けたかどうかは合否に関係していません(これが「敗者のゲーム」というやつです)。それなのに、塾では「志望校対策」と称して解けなくて当たり前の難問に取り組まされることになりますから、この学校を目指す子どもたちには、大いなる無用な負荷がかかっていると推測します。
次に社会です。25.7点 / 29.3点と、3.6点しか差がついていません。平均が5割、合格者は6割ですから、やや難しめと言えそうです。
最後の理科は、20.5点 / 24.7点と、4.2点の差。平均点は4割ですから、明らかに難しすぎます。この学校は理系科目が難しいという傾向が出ています。
まとめますと、この学校の場合、算数でどんと差をつけておけば、後は標準的な基本問題ができればいい(国語は平凡、理社は難し目で差が付かない)、という戦略が成り立ちます。例えば、算数で7割取っておけば、国語は5割、理社は4割で受かります。
ちなみに、第三回入試では37.2点 / 57.3点と、算数で、受験者平均 / 合格者平均の差が20点以上も差が付いています。作問の良し悪しはともかく、この学校は算数が得意な子には攻略しやすいと言えます。
このように「得意科目が難しい学校を受ける」というのは定番の作戦だと思います。そこで差をつけやすいですからね。
どうでしょうか。志望校の「配点」と「平均点」を見るだけで、夏休みにどの方向で力を伸ばせばいいのかが、なんとなく見えてくるのではないでしょうか。逆に、志望校を決めないとこういう検討はできませんから、決まっていなければとっとと決めましょうね。もう相対的な位置(偏差値)はあまり変わりませんから。
*)163点を学校側がボーダーとして一度決めたのですが、そうすると男女比が2対8と著しく偏ったものになってしまうので、男子をあと15人追加合格としたところ151点になった、ということだと説明があったようです。
関西では算数、国語、理科の3科目入試が一般的で特に算数が重視されます。灘は算数200点、国語200点、理科100点の配点です。灘や甲陽の算数は良門が多く、解いていて楽しいですよ。個人的には中学入試は知能の篩い分けですから、暗記科目は少なめでよいと思います。