人生100年時代なんて真っ赤な嘘だった!

「funasanのアンチエイジング日記」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載企画です。舟橋さんが取り組まれている健康にまつわる学習と実践について、同時進行でご報告いただきます。2022年の連載第一部(1~19回)に続いて、2023年の連載第二部(20回~)がスタートしました。この連載では、読者の皆さんとともに「旅と健康」について考えていきます。どうぞコメント欄にてご参加ください。(編集担当:resortboy)

20代の前半だったと思います。私はある映画を見て、涙が止まりませんでした。黒澤明監督の「生きる」です。奇しくも、私が生まれた1952年に公開されたモノクロ映画です。

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映画「生きる」(1ページ)

映画「生きる」

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無為に日々を過ごしていた市役所の課長が胃がんになり、余命わずかになってしまいました。彼は残りわずかな人生の「生きる」意味を市民公園の整備に見出し、心血を注ぎます。

志村喬さん演ずる主人公は、死を目前にして公園のブランコに乗って、寂しそうにある歌を口ずさんでいました。「ゴンドラの歌」です。

作詩:吉井勇、作曲:中山晋平、1915年(大正4年) ゴンドラの唄

いのち短し 恋せよ乙女
紅き(あかき)唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷(ひ)えぬ間に
明日の月日は ないものを

私は涙が止まりませんでした。

寂しく1人でブランコに乗っている志村さんは、見るからに老人でした。一方の私は、まだ20歳そこそこの夢多き青年でした。「死」など無縁で考えたこともなく、彼と私はまったく違う世界に生きていたのです。

あれから、あっという間に50年も経過してしまい、今、私は71歳の「老人」になってしまいました。この時の流れの速さが信じられません。

本当に「いのち短し 恋せよ乙女」です。志村さんの寂しさが、少し、わかりかけてきました。

参考:黒澤明監督の映画「生きる」が、イギリスを舞台にリメイクされました。

日本の要介護の年代別割合

私の余命は本当のところ、どれくらいなのでしょうか? そんなこと、神か仏にしか分かるはずがありません。でも、今の日本の人口と介護状況を見れば大雑把な予想がつきます。

人間は老いて病気になり、病院や介護が必要になり、やがて死んでいきます。病院はともかく、介護の状況を調べれば、「死への道筋」が少しは見えてきます。

そこで、ちょっと面倒でしたが、日本の年代別人口に占める総人口と要支援・要介護認定者の割合を調べてみることにしました。

出典は総務省「人口推計月報」(総人口の確定値)と、厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」で、データは両方とも2022年10月のものです。

下記の表の40~64歳までは各年代を合算した総数で、65歳以降は5歳刻みの合計数です。数字は1万人単位で端数を四捨五入してあります。表の最後の認定者割合は、各年代の総人口に対する認定者総数の割合です。

6 comments

  1. ありがとうございます!
    さすがは数学者の舟橋さん!
    私も長らく実験部門で勤務していましたので、統計的なデータが雄弁に事実を語る事を痛感していました。仰せの厳しい事実がひしひしと伝わってきますね。

  2. funasanさん
    今回の話はびっくりしました。
    計算なさったのですね…さすがでございます。
    健康的にお過ごしの師匠でも…と思うと私は気を引き締めないといけません。
    長寿になった事も要因でしょうが…90歳代に至るずーっと前までに既にMAX閾値に入ってますね。
    あー😮‍💨びっくりです。現実をしっかり受け止めないと。
    元気で長寿はなかなか難しい問題となりました。

  3. funasanさんと同じ歳ですが、90代前半まで元気に生きられる確率は7%の超難関であることを知り、ショックでした。
    色々な本を読んだ上で資料を作成され、表やグラフから分析されたとは恐れ入ります。さすが元 数学の先生ですね。今回の記事は説得力があり、まさに渾身作だと思いました。
    60代の時、がんの手術を3度もしたにもかかわらず、現在は元気に過ごされている91歳の方のお話は励みになりました。

  4. 出生数の過去最高値は約270万人で現在74歳の方の代です。現在84歳の方の代は約190万人です。また、80歳代の方は先の大戦期の生まれで、幼少期に亡くなった方も少なくないでしょう。総務省の人口データからだと、どれだけ長生きできるかを推測するのは難しいかもしれません。
    厚労省の令和3年簡易生命表からだと、現在funasanと同じ71歳の方が85歳まで生きられる確率は約58%、90歳だと約33%、95歳だと約12%と読み取ることができます。これは71歳で既に病床についている方や事故に遭われてしまう方も含めての数字です。
    現在、健康で、かつ探究心、実行力等の活力に溢れfunasanなら、最低でも30%プレミアム位はつくのでは?

  5. まさひろさん、とても大事なポイントのご指摘、ありがとうございました。

    確かに出生数も考慮に入れないと年代区分別の生存数の比較(生存率)は意味がありませんね。そこで、厚生省の出生数のデータをもとに、A(70~74歳)、B(80~84歳)、C(90~94歳)の年代区分別出生数の合計をしてみました。すると、A(1105万人)、B(1078万人)、C(1057万人)でした。Aに対するB、Cの割合は98%、96%で、それほど違いはありませんでした。

    ところが、生まれた年度がまるで違いますね。A(1949~1953年)、B(1939~1943年)、C(1929~1933年)なので、BもCも先の大戦の影響をまともに受けています。当然ながら幼児から大人まで死亡率は多いです。一方で、私の世代Aは社会が安定した後に生まれ育っています。

    社会的環境がまるで違います。その差を無視して年代区分別の生存率を出して意味あるのか?という疑問がわきます。まさひろさんご指摘の「人口データからだと、どれだけ長生きできるかを推測するのは難しい」は正しいですね。

    そこで、私も厚労省の令和3年簡易生命表(男性)を見てみました。これを解読するのはやっかいですが、とりあえず、年代別の生存数の合計を出してみました。A(406103)、B(290047)、C(100095)でした。Aに対するB、Cの割合は71%、25%でした。

    70代前半の男性の10年後の生存率は54%(人口統計)ではなく71%(簡易生命表)もあり、「ゲゲゲ、私の世代の男性の半数は、これから10年間であの世に行く」というほど厳しいものではありません。20年後でも生存率13%ではなく25%に倍増し、4人に1は生き残っています。少し明るさがもどってきました。

    恥ずかしながら、私は「簡易生命表」を初めて見ました。これをしっかり理解するには時間がかかります。今日の早朝から速攻で分析しましたので、上記の分析の正しさに自信はありません。後日、もう一度、見直して、必要であれば、今回のfunasan日記を部分的に修正したいと思います。

    ともあれ、データが正しくても、それを分析する時、社会的影響も考慮しないと真実に迫れない、ということを学びました。まさひろさん、ありがとうございました。

    funasanこと舟橋栄二より

  6. 池田さん、Kさん、Mr.Sさん、応援コメントありがとうございました。

    池田さん、ご存じのように私は「数学者」ではなく単なる高校の「数学教師」でした。もう数学と完全に縁を切って遊びほうけていますが、今も昔もデータ分析は好きです。見えないものが見えてきます。その面白さがありますね。特に「自分の寿命予測」は真剣です。もっと元気に長生きした~い。

    Kさん、難しい言葉「閾値」をお使いですね。閾値(いきち)とは…
    「ある作用によって生体に反応がおこる場合、反応をおこすのに必要なその作用の最小の強度をいう。反応が死である場合その致死作用の限界を致死閾という。」(コトバンクより)
    地震でも、株価でも、病気(心筋梗塞・脳梗塞)でも、知らない内に変化の原因が蓄積され、閾値に達します。そして、ささいな現象(最後の一撃)を引き金にして、突然、大地震、大暴落、突然死が起こります。怖いですね。
    Kさん、MAX閾値になっても、最後の一撃の前にもとに引きかえしましょう!

    Mr.Sさん、今、funasan日記の先々の原稿を作成していますが、健康長寿への道が少しずつ見えてきました。ここで書くと面白くいないので伏せておきますが、日頃からMr.Sさんや私がやっていることです。期待してお待ち下さい。

    funasanより

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