断食との出会い
昔から断食は世界中で宗教上の行事として行われてきており、今でも生きています。私はマレーシアによく行きますが、ラマダンの時期に遭遇すると、「生きている断食」に出合います。
ある時、私は滞在しているホテルのクラブラウンジで若い男性スタッフに聞いてみました。
私「今、ラマダンの時期ですが、本当に日の出から日の入りまで何も食べないのですか?」
彼「はい、何も食べません」
私「でも、水は飲んでもいいのでしょう?」
彼「ダメです、水も飲みません」
私「え~、水もダメなの?それは苦しいですね。でも、誰も見ていないところでこっそり飲めばいいのでは?」
彼「ダメです。神が見ていますから…」
「God sees you.」
これで彼との会話は終わりです。唯一絶対の神(アッラー)が見ていて、その神の掟を破ったら大変なことになります。無宗教的仏教徒の私にはムスリム(イスラム教徒)の宗教的戒律の厳しさには全くついていけません。
ところで、現在のイスラム人口は約16億人で、世界人口(約79億人)の20%近くを占めます。ムスリムが毎年1カ月にもわたるラマダンを実行しているとなると、現代の人間にとって「半日断食」は奇異なものではありません。
断食はごく普通の生活習慣として生き続けているのですね。昔も今も世界で続けられている断食には意味があるはずです。
実は、私にとって断食は、意外と近いところにもありました。私の娘の旦那さんが、若い(30代半ば)にもかかわらず、時々断食をしているのです。
彼は子供の時からひどい鼻炎に悩まされ、毎年冬になると鼻が詰まって病院通いを繰り返していました。薬は手放せません。鼻の手術をしたこともありました。それでも改善されませんでした。
ある時、何を思ったのか、彼は自分で1週間くらいの本格的な断食を実行して、見事に鼻炎を治してしまったのです。長年の病院通いで治らなかった鼻炎が断食で治る? その時の私には、意味が分かりませんでした。
私は不眠症ではありませんが、睡眠にデリケートで、夜、お腹が減ると眠れません。実は彼も睡眠に多少の問題を抱えていました。そこで彼に「断食中はお腹が減って眠れないのでは?」と聞いてみました。
ところが答えは予想外で、「それが、よく眠れるのですよ」でした。断食で不眠も治る? 一体どうなっているのでしょうね? ひょっとすると断食は万病を治す?
私は断食に対して、否定的な先入観を捨ててみることにしました。
男やもめ暮らしの私は日常生活では大したご馳走もなくスイーツ類は皆無です。
心掛けているのは規則正しい生活をして、三食を決まった時間に食べて、有酸素運動を最低週1回は励行することです。
しかし、旅に出掛けた時は美味しそうな物や食べたい物があれば気が向くままに食べます。特にクルーズなら食事代を気にする必要がないので最高です。
体重を増やして旅から帰ってくると現実に戻り、食事を1日2食にしたり、いつもよりハードな運動をしていると自然に元の体重に戻ります。
『断食療法は万病に効く』という学説はなるほどと思えてきます。
薬は特に飲んでいませんが、❝ Hunger is the best medicine.❞と口ずさんで毎日を過ごしています。
Mr.S さん、いつもコメントありがとうございます。
Hunger is the best medicine.
これまた名言ですね。食べ過ぎるから病気になる。食べなきゃ病気は治る。
でも、美味しそうな料理を前にして食べずにおれません。特に朝食、昼食、夕食、食べ放題の豪華客船に乗ると「欲望と理性の戦い」は終わり、欲望の完全勝利になります。そして、大満足で下船。クルーズは楽しい、人生万歳、です。
食欲に限らず人間の欲望は無限に湧き出し、それを限りなく追及していくと「心身」が疲れ果て、恐らく「短命」になるでしょう。逆に、欲望を適度にコントロールして「心身」を大事に扱えば、恐らく「長寿」になるでしょう。人間の人生は意外と平等のような気がします。
これを元数学教師らしい言葉で記すと…
「人間の欲望を時間で積分すると、人間はみな等しくなる」
余生が短くなってきたので、出来るだけ長く生きたいとマジに思うようになりました。
次回から私の未体験ゾーン、断食に入ります。