ダン・タイ・ソン(Victor/1986) <端正な解釈の名盤>
全21曲を収録。ぱっと聴いた感じではこれといった特徴のない演奏です。しかしよく聴いていくと、とても美しい音色で、一瞬たりとも響きが濁らないというダン・タイ・ソンの美点が十二分に生かされていることに気づきます。20代後半の録音ということもあって、近年このピアニストが聞かせてくれるロマンティシズムとか、少しナルシスティックで感傷的な雰囲気がほとんどありません。それが特徴のなさに繋がっているのですが、逆に言うと過度に甘すぎず、すっきりとした語り口のノクターン集といえると思います。表現が抑え気味になっているとはいえ、充実したフォルテで演奏される場面もありますし、一つ一つの音がとても丁寧に奏でられているのがよくわかります。もう一歩突っ込んだ表現があったほうがインパクトは強まりますが、端正にまとまったこういう解釈もよいと思います。濃厚すぎるショパンが苦手な人におすすめの演奏です。
via: ショパン ノクターン録音比較
(追記)iTunesで買えました_| ̄|○