私の余命と将来が「生命表」から見えてきた

グラフで見る生命表による生存数

生命表の生存数は、「10万人が、死亡率に従い、0歳から順次、死亡して数を減らしていく中で、X歳に達するまで生きると期待される者の数をX歳における生存数(という)」と定義されています。

生命表の死亡率をもとに生き残っている人々の数なので、先の大戦の影響は排除されます。さらに人口10万人あたりの生存数なので出生数の差異も問題ありません。今の日本人の未来予測に有効な指標です。

自分の世代の生存数を基準(100%)にして、10年後、20年後、30年後の生存率が簡単に計算できます。参考のために生存数をグラフにしてみました。

例えば、私の世代(70代前半)の生存数は81,221人(A)です。これが10年後の80代前半の世代では58,009人(B)に減っています。よって、10年後の生存率はB÷A=0.714、すなわち71.4%です。同様にして20年後は24.6%、30年後は1%です。

本川裕氏の分析

さて、現在の日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳です(2021年)。多くの人が誤解していますが、平均寿命は、今の我々が平均的に何年生きられるか?という意味ではありません。

平均寿命とは、「生命表により毎年の年齢別死亡率から計算されたゼロ歳児の平均余命」です。今年生まれたゼロ歳児が確率的にあと何年生きられるか?という数字で、現在生きている人の余命とは関係ありません。

もしご自分の寿命を知りたければ、簡易生命表から自分の現在の年齢に平均余命を加えれば出てきます。私の場合は71歳に平均余命15歳を加えて86歳になります。平均寿命より5年くらい長く、残された人生も15年くらいあります。ちょっと嬉しいです。

では、今の日本人が、平均的に何歳まで生きているのでしょうか? 最近では90歳以上での死亡が普通になってきている印象です。実は何歳で何人死んでいるかという公式統計(厚労省)があります。

これは厚労省の公式データを元に、何歳で何人死亡したかを、統計分析家である本川裕氏がグラフ化したものです。

2021年度では、男性は85歳で、女性は92歳で死亡者数のピークになっています。

このグラフから今の日本人は高齢になってから死亡している、という実態が浮かび上がってきます。おおざっぱに言って、「男性は80代半ばで、女性は90代前半で死期を迎える」と言えるでしょう。私の寿命は生命表によれば86歳なので、ドンピシャリ、上のグラフのピークに重なります。

また、以下に引用する本川裕氏のもう1つのグラフ、「死亡者数ピーク年齢の推移」が秀逸です。これは2000年以降、1年ごとに「何歳の日本人が一番多く死亡したのか」という統計を男女別にグラフ化したものです。

グラフ上の数字は西暦の年度で、横軸に「死亡者数ピーク年齢」、縦軸に「ピーク年齢死亡者数」をとっています。

青い折線は男性のデータで、例えば2000年には74歳で男性の死亡者数がピークになっています。男の生命力が尽きて74歳前後で絶命する、そんな感じですね。

2000年といえば私が48歳の時です。当時の男性のライフスタイルは、朝から晩まで会社でバリバリ働いて、定年退職の60歳から年金をもらって75歳くらいで死ぬ。そんな感じだった気がします。実際に、74歳でバタバタ死んでいったのですね。

一方、同じ2000年でも、女性はまったく違っていました。何と女性の死亡者数ピーク年齢は86歳で、男より12歳も長生きでした。女性の生命力は強く、男を圧倒していました。

ところが直近の2021年になると、男性は85歳と大健闘しています。2000年から11年も寿命が伸びてきているのですね。素晴らしい! 一方の女性は92歳で、伸びは6年しかありません。女性は昔から長寿だったので、男性より伸びしろが少ないと読めます。

3 comments

  1. 15-39歳の日本人の死亡要因1位は自死、すなわち自殺であり、それが平均寿命等の数値を引き下げてしまうので、最大死者数年齢こそが真の平均「寿命」であると余輩は考えております。
    それにしても、これほどに簡易生命表を読み解く方がいらっしゃるとは驚きです。

  2. 緻密な分析による貴重なレポートありがとうございました。
    まさに「目からウロコ」でした。
    平均寿命は現在生きている人の寿命かと思っていましたが、平均寿命は「生命表により毎年の年齢別死亡率から計算されたゼロ歳児の平均余命」である事を知り、自分の余命が延びたような気持ちになり気楽になりました。
    funasanと同じ歳で、人生の第4コーナーに入っているので、これからはもっともっと好きな事をしたり、行きたい所に行って、人生のラストスパートをかけたいと思いました。
    これからも明るく楽しく元気に過ごせますように。

  3. まさひろさん、今回の日記は全てまさひろさんのおかげです。私は「人口統計」も「生命表」も全くの素人で、これらを解読して理論構成するのは大変でした。でも、成果は大きく「見えないものが見えて」きました。病気や介護という見えない不安にいたずらにおびえることなく、自信を持って70代、80代につき進めそうです。まさひろさん、重ねてありがとうございました。

    Mr.Sさん、実は私もそうでした。単純に「平均寿命」は今の日本人の平均的な寿命かな?と。それは間違っていて、生命表によれば我々71歳の男性の寿命は86歳まで延びています。しかも、これは今の我々世代の平均余命なので、体を鍛え旅を楽しんでいるMr.Sさんや私にとって、もっと長生きできる可能性があります。何だか嬉しくなってきましたね。

    実は、今、クアラルンプール(KL)のホテル(マリオット系・ヒルトン系)に2週間ばかり滞在して執筆活動をしています。日本のフルサービスのホテル代金が高騰して私の許容範囲を超えてしまいました。日本を脱出してKLに逃げるしかないのです。(笑)

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