funasanことトラベルライターの舟橋栄二さんをお迎えしてのスペシャル対談の第5回目をお届けします。今回は、エクシブの高級化の一方で進む大胆なサービスカットやリゾートトラストの変節の中で、リゾートクラブとしての本質が失われつつあるという問題に切り込みます。
(初回の記事はこちら)インパクトがあったエクシブとの出会い
(第2回の記事はこちら)エクシブの魅力は「安さ」だった
(第3回の記事はこちら)「世代交代」でエクシブを活かす
(第4回の記事はこちら)リゾート会員権の破綻がもたらしたユーザー志向
resortboy(以下R):ここで話をエクシブに戻していきたいと思います。さきほど「高級化」という話が出ましたけれども、一方でエクシブももう30年以上経っています。エクシブ鳥羽が1987年にできましたので、2017年が30周年だったわけですね。古い施設がどうなっていくか、っていうのはまた興味深いところで、舟橋さんの御本の中で語られていないそういった面についても、語ってみたいと思います。
2018年に大変話題になったことは、エクシブ伊豆のレストランが1つだけになって、しかもバイキングだけになったことでした。それからラウンジが営業休止になって、フリードリンクだけがある、誰でも無料利用できる施設になってしまった、ということがありました。
エクシブ伊豆はエクシブ鳥羽に続く第2のエクシブだったわけですけれども、そういうところが、そういった大胆なサービスのカットを行った、っていうことが、非常に話題になったんですね。
逆に言うと、高級化の裏でこうしたサービスカットが行われているわけですけれども、エクシブ自体が二極化しているという状態について、舟橋さんはどういうふうに見ていらっしゃいますか。
funasan(以下F):ある意味では、二極化はやむを得ないと思うんですね。日本の社会がもう完全に、一億総中流からどんどん二極化、三極化っていうか、貧富の差が拡大していてこれは避けられない。会社としては、当然上層部を目指さなきゃ収益アップできないので、高級化というのも別に悪いことではないと思うんですよね。
ただエクシブは、会員が区分所有権も持っている(共有制の)会員制リゾートクラブなので、「契約」をしています。我々はその「最初の契約」に基づいてリゾートクラブを楽しんでいる。ならば、それを継続する「義務」があると思うんですよね。
R:「(所有者から委託を受けた)運営会社としての義務」ということですね。
F:それを勝手にレストランを閉鎖したり、サービスをダウンさせたりするっていうのはルール違反じゃないかと。
R:ルール違反だと私も思うんですよね。ただ、リゾートトラストっていうのはそういう改変を割と予告もなしに次々とやるタイプの会社だ、という面がありますよね。
例えば、先ほどRCIの話が出ました。エクシブっていうのは、RCIという世界最大のタイムシェアリゾートの交換システムに属していて、そのネットワークを通じて、例えばハワイであるとか、他のリゾートと交換利用できるというのが売りだったわけです。それを数年前にRCIから脱退をして、エクシブ独自の交換システムを立ち上げるという形に変えたということがありましたね。
(関連)RCIリゾート交換利用の終了にどう対応するか | resortboy's blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト
それから先ほども出た食事の値上げという問題があると思いますね。十数年前は2,500円がローエンドでしたけれども、今は5,000円、サービス料などを入れると6,000円ぐらいの食事が一番安くなっています。人気のある離宮シリーズのエクシブだともっと高くて、だいたい1人1万円ぐらいな感じの食事になってきていて、ちょっと話が違うじゃないか、というようなところがありますよね。
こうした動きに対して、勝手にサービスを変えられるのは困るじゃないか、というふうに僕なんかは思うわけですけれども、舟橋さんはそういうところに対して、どう感じているんですか?
F:エクシブに、リゾートトラストに要求したいのは、面倒かもしれないんだけども、「ローエンドを残せ」ということなんですよ。
会員もこれだけ数が増えて、リッチな方もいるし、ごく普通の庶民もいるわけだから。だってサンメンバーズからスタートした人も多いわけで、サンメンバーズの会員というのは別にリッチ層じゃなくって、ちゃんと真面目に働いた人たちが余暇をちょっとリッチに過ごしたい、ということなんで。
そういう人たちが、夕食だけで1万円の食事を食べれますかと。1泊2食で、もう2万5000円とかそんなに出せますかと。夫婦で5万円なんて到底出せませんよね。
(画像は現在のエクシブの1泊2食料金の一例)
だから私としては、1泊2食で1人1万円、夫婦で2万円程度のローエンドを全エクシブで残しておいてほしいと。
それから、やっぱりラウンジライフというのも素晴らしいエクシブの伝統ですので、やっぱりちゃんとマシンじゃなくてスタッフにオーダーして、コーヒーや紅茶をいただきたい。
なぜかというと、これは一般のホテルと違って、会員制のリゾートでしかも自分が所有権を持っている場所ですから、はっきり言って「別荘」なんですよね。そこでスタッフとリピーターとして親しくなる。私も何人ものスタッフと親しくなって、「おかえりなさいませ」なんですよね。本当にそこで人間関係ができるという。
マシンでフリードリンクなんかにすれば、そこでちょっとしたお話をする楽しみも奪われてしまう。だからそういう意味で言うと、リゾートクラブとしての付加価値がどんどん削られていっているような気がするんですよね。
R:それは同感ですね。(エクシブにおいて)リゾートクラブの本質っていうのは何かという部分が、この10年くらいで変わってきているような気がしますね。
所有施設があってそこのオーナーとして繰り返し利用をして、そこのスタッフとのつながりも楽しむ、というところが、だんだん乾いた関係というか、スタッフの方とのつながりというのは薄れているような感じがします。
(続き:リゾート会員権のいちばん得する使い方 – スペシャル対談 舟橋栄二さん(6) | resortboy's blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト)
まるで、この対談を読んで参考にしたが如く、エクシブ伊豆で、「ステーキプセットプラン」という、1泊2食付で9,000円~というプランを始めましたね。
いつも、フルコースを食べなくても、たまには、こういうお手軽なプランを利用して、伊豆の景色と温泉を楽しむのもいいのでは。
これはいいですね。300グラムあれば、いきなり!ステーキで修行をしているような人以外には(つまりほとんどの大人にとっては)、満足できるボリュームだと思います。
とてもいい話で、個人的にも応援したいと思いますので、別途記事にしたいと思います。情報提供をありがとうございました。