長寿遺伝子を起動する私の「野猿メソッド」

NADを増やせ!

では、どうしたらNADを増やせるのか?

答えは余りにも簡単でした。なんと、「あまり食べないこと」でした。絶食ではありません。単に摂取カロリーを減らす「カロリー制限」です。これだけで、脳、膵臓、肝臓など、全身のさまざまな臓器の細胞中でNADが増えるそうです。

上記の「老化はこうして制御する」P59には、NADを増やす食事法として、カロリー制限以外に断食や時間制限ダイエットも紹介しています。

例えば断食では、「半日から数日食事を抜く」「1日水だけで過ごす」「月5日だけ少食にする“ゆる断食”」などです。イスラム教のラマダンには、健康長寿の秘密が隠されていました。

時間制限ダイエットは、1日の食事量は減らさずに飲食禁止時間を設ける方法で、「6時間ダイエット」「8時間ダイエット」などがあります。ただし、カロリーのない飲み物はOKです。

この断食や時間制限ダイエットで長時間空腹になることで、オートファジー機能も活性化してきます。オートファジーは細胞内の不要なゴミを材料に、きれいな新細胞をつくってくれます。古びた細胞が赤ちゃんのように生まれ変われます(詳細は「第28回・半日断食とオートファジーの見事な融合」参照)。

役者がそろってきました。オートファジーと長寿遺伝子が車の両輪となって、アンチエイジングに突き進んでいきます。前回(第28回)紹介した青木氏の「「空腹」こそ最強のクスリ」の狙いはここにありました。

さて、ここでまた、わけのわからない物質「NAMPT(ナムピーティー)」が出てきます。NAMPTはNADの量を調整する役割を持っていて、NAMPTが増えればNADが増えるそうです。

そして、嬉しいことに運動するとNAMPTが増えると言います。筋トレでも有酸素運動でもいいようです。でも、中高年の人がNAMPTを増加させるには、息が上がる手前くらいのややきつめの運動をしたほうが確実だそうです。

そして、ここで思わぬ逆転劇が起こってきました。この大事な物質NAMPTは何と脂肪細胞で作られるそうです。特に内臓脂肪らしい。ガリガリに痩せて脂肪がないとNAMPTは産生できません。

悪者と思われている内臓脂肪にも光明が当たってきましたね。「小太りの方が長生きする」という説がありますが、医学的根拠が出てきました。脂肪を目の敵にするのをやめましょう! ただし、体脂肪がつき過ぎるとNAMPTの分泌力が落ちるそうです。やはり肥満は避けたほうがいいようです。

また、加齢によってもNAMPTは出にくくなるそうです。同じ運動をしても、若者はどんどんNAMPTが湧き出しますが、高齢者はなかなか出てこない。加齢による悪影響です。だから高齢者はちょっときつい運動をして追い込む必要があるわけです。加齢に逆らうのは大変ですね。

NAMPTが出なければNADが増えず、筋肉におけるエネルギー産生能力が低下します。長寿遺伝子も起動しません。どんどん老化が加速します。

ここまで来て、私のアンチエイジングの道が少しずつ見えてきました。

老化防止には肥満解消とちょっと強めの運動が必要で、カロリー制限や断食によって長寿遺伝子を起動させ、オートファジーも活性化させる。すると、古びた細胞が再生され病気が治る。これを継続すれば健康寿命が延びる

しかし、果たしてこれは本当なのか? もし真実なら、医者も病院も薬もいらず、お金も使わない、コスパ最高の夢のような話です。

この理論が真実なら、私は何も恐れることなく東南アジアの隠れリゾートに滞在し、寿命が尽きるまで、つまり「死ぬまで元気」に人生が楽しめることになります。今、私はちょっとマジにこの理論に「bet(賭け)」しはじめました。

私の結論:
1:カロリー制限をするとNADが増え、ミトコンドリアのエネルギー産生が増し、長寿遺伝子が起動して寿命が延びる。
2:絶食するとオートファジーが活性化し、細胞内がきれいに掃除され、細胞が新生される。
3:ちょっときつめの運動がNAMPTを増やし、NAD増産・長寿遺伝子起動につながる。

これらの理論を学んでから、私は空腹で運動することに、がぜんやる気が出てきました。そしてついに、野生の猿のごとく、森を駆け巡るようになりました。題して「野猿メソッド」です。

2 comments

  1. 今回のアンチエイジング日記の前半は医学用語や医学的知識が殆どない私には少し難解な内容でしたが、読み進んでいくと結論的にはいつも提唱されている「空腹こそ最強の薬」と「少し強めの運動」をすれば良い事が再認識できました。
    アンチエイジング日記を拝読し、funasanにかなり感化されたので、生活習慣をかなり改善することができました。2年前に腹囲が88cmでメタボリック症候群扱いされましたが、今月受けた健康診断では腹囲は83cmになり、年を取ったにもかかわらず血液検査の数値も良くなりました。
    funasanに感謝!感謝です。

  2. Mr.Sさん、私の実践がお役にたてて嬉しいです。
    70歳を超えて、生活習慣が改善し、検査結果も良くなることは凄いことですね。未来が明るくなります。

    近況報告です。実は、昨日まで海外旅行中(7/1~7/18)でした。コロナ明け、4年ぶりのシニア夫婦による「ヨーロッパ鉄道旅行」です。7月1日に日本を出発し、北イタリアのミラノから北ドイツのハンブルクまで、全日程18日間の鉄道の旅になりました。

    訪れた都市・景勝地は「ミラノ、ヴェローナ、ボローニア、トリノ、ストレーザ(マッジョーレ湖のベッラ島)、フライブルク、フランクフルト、リューデスハイム(ライン川クルーズ乗船)、アイゼナハ、ハノーファー、ブレーメン、ハンブルク、リューベック」等です。現地の事情が分からず、苦労の連続でしたが、全て鉄道駅で切符を買って移動しました。スマホによる鉄道の時刻確認と現地の切符自販機(現地語+英語、日本語なし)の習熟が必須だと感じました。

    宿泊ホテルは全てマリオット系・ヒルトン系にして上級会員の特典を利用しました。部屋のアップグレードやラウンジ利用、レイトチェックアウト、そして、毎朝、豪華な朝食ビュッフェを頂きました。スイートルームへのアップも何度もあり奥様は大喜びでした。

    ヨーロッパのインフレと円安でホテル代金(マリオット系・ヒルトン系)はコロナ前の2倍?くらい、駅や街の売店・カフェの値段は6割くらい日本より高いかな?と感じました。

    久しぶりにヨーロッパに来て、色々驚きがありました。天気に恵まれ、連日、写真を撮りまくりました。この写真(全部で4000枚くらい)と現地体験を材料に、久しぶりに旅行記をフォートラベルにアップしようかと思っています。

    旅から旅へ、健康であれば何歳になっても旅ができますね。いよいよ夏休み、皆様、大胆に旅立ちましょう!

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