KASAの会 Online #1、ホテル投資に関する資料

先週の土曜日、5月29日に開催したKASAのKASAの会 Online #1に関する補足の記事です。僕のプレゼンテーションの後半で取り上げた「ホテル投資、してみますか?」と題した部分に関して、参照した資料について紹介します。

このパートは3つの話題を取り上げました。まず、1)リゾートトラストの売上のクセをつかむとサプライズ決算を先取りして知ることが容易にできること、について。

リゾートトラストは株主優待券を発行していて、それを利用するとホテルでの飲食が最大5割引になります。それを目的に、エクシブやベイコート倶楽部の会員は同社の株主になったり、場合によっては家族ばらばらに株主になって複数の株主優待券を定期的に取得するようなケースも見られます。

これも一種の「ホテル投資」と言えなくもありません。同社のビジネスは他に類を見ないので、以下の記事で取り上げたように、決算時にサプライズとして受け取られるようなことが発生することがあります。

会員権売上は好調。Go To効果で稼働率は前年並み – resortboy’s blog

上記記事では決算発表に前後して株価が乱高下したため、キャピタルゲインを得るチャンスがあったことを紹介しました。その仕組みは、以下の記事で解説していますので、よかったらご覧ください。会員権は売れたタイミングと会社が収益計上するタイミングにずれがあるので、ホテルの開業日が決まっている以上、そのタイミングでドンと売上が上がるのは最初からわかりきっていることです。

リゾート会員権論 8「高収益ビジネスの中身」– resortboy’s blog

ですが、そのことを一般の人はよく知らないので、そこに投資チャンスがある(かもしれない)というわけです。

次の話題です。2)リゾートトラストはホテル業(例としてはプリンスホテル)が目指している経営指標を容易にクリアできていること、について。

ここでは、以下の記事で紹介した、プリンスホテルの経営改革案に沿って、プリンスホテルの経営目標値とリゾートトラストのそれとを比較してみました。

[5/29]決算を通じてホテル投資について知ろう – resortboy’s blog

プリンスホテルが掲げている目標値、すなわち、ROE(自己資本利益率)10%、という水準について掘り下げて紹介しました(この数値はリゾートトラストの中期経営計画の目標値とも合致しています)。このROEが以下の要素に分解できることを紹介し(デュポンROE)、プリンスホテルもまたそれら要素の目標値を出しているので、それらについて検討しました。

プリンスホテルの目標値を掲げると、以下のようになります。

ROE(自己資本利益率)(10%)=売上高純利益率(10%)×総資産回転率(0.3回)×財務レバレッジ(3倍台)

リゾートトラストは、直近の2021年3月期では減損処理による損失を計上していて赤字決算なのでこれら数値が出ませんが、3年前の同社の数値を計算したところ、ROEが9.8%、売上高純利益率が7.2%、総資産回転率が0.4回、財務レバレッジが3.5倍でした。

これら指標の意味を詳しく説明したかったのですが、僕の力量不足でざっとスルーしてしまったので、興味のある方はネット上にさまざまな教材があるのでご覧になってみてください。一例として、以下のページを紹介します。

(参考)デュポンシステムのわかりやすい解説、ROEを分解して投資や経営に活かす | 1億人の投資術

なお、プリンスホテルは今後、ホテル資産の所有と運営を分離することで、上記のような数値を達成していきたいとしています。リゾートトラストが既にそれに近い経営指標を叩き出しているのは、言うまでもなく、同社はホテル業というよりも会員権販売業とでも言うべき特殊な業態であることと、同社のホテルの多くの部分は会員が所有していて、プリンスホテルの表現を借りれば「アセットライト」な状況に元々なっているからです。

プリンスホテルの経営改革案について知りたい方は、以下のページに資料があります。

IR説明会資料 | 西武ホールディングス

また、リゾートトラスト社の経営指標について分析してみたい方に、下記のサイトをご紹介します。無料でこんなすごいツールがあるとは驚きました。株式投資をする方は必見だと思います。

リゾートトラストの企業情報 – 4681 / 東証1 / サービス業 | バフェット・コード

僕の発表の最後は、3)現代のホテル経営はオーナーを分離するのでホテルREITも多く存在していること。そしてホテルREITはこの1年、REITの中で最もキャピタルゲインが取れた投資対象であったこと(ただし配当利回りは最低レベルであること)、についての紹介でした。

以下、具体的に資料を示します。最初は騰落率です(価格がどれだけ上がったか=キャピタルゲイン)。

(REITの価格騰落率ランキング)J-REIT銘柄ランキング – JAPAN-REIT.COM

今日現在、過去1年の騰落率トップ10のうち3つがホテルREITです。昨年来の勉強会で紹介しているインヴィンシブル投資法人(ビジネスホテル主体)が1位、ジャパン・ホテル・リート投資法人(シティ、リゾートホテル主体)が4位です。

一方で、分配金(どれだけ分配されたか=インカムゲイン)のランキングになると状況が一変します。

(REITの分配金利回りランキング)J-REIT銘柄ランキング – JAPAN-REIT.COM

今日現在、全REIT61銘柄のうち、利回りが低い(家賃に相当)もののワースト5はすべてホテルREITです。インヴィンシブル投資法人がビリで、ジャパン・ホテル・リート投資法人がブービーです。このように、価格の騰落率と利回りには逆相関があるので、REIT投資をされたい方にはわかりやすい事例かもしれません。

最後になりますが、言うまでもなく、これらの情報は具体的な投資をお薦めするものではなく、単なる情報提供に過ぎません。情報のご利用に関しては、各自のご判断にてお願いします。

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