会員権売上は好調。Go To効果で稼働率は前年並み

リゾートトラストというのは他に類のないビジネスモデルを持った会社です。そのために株式市場では必ずしも正しく理解されておらず、11月10日に同社が発表した2021年3月期上半期(4~9月)の決算発表はサプライズをもって迎えられました。

僕のブログや勉強会での情報などがなくても、同社の会員であれば知っている(であろう)ことですが、同社のメインビジネスはホテル業というよりは会員権販売業と言えます。そしてその会員権販売の売上の中身は、大雑把に言って登録料と不動産に2分され、不動産代金部分はホテル開業時に一気に売上計上されるわけです。

9月23日には横浜ベイコート倶楽部が開業しましたから、2017年12月の会員権発売からずっと繰り延べられていた収益がそのタイミングで計上されました。その結果、同社の経常利益は前年同期比約3割増と大幅な増益として発表されたわけです(前年同期に開業したホテルはありません)。

このことを知っていたトレーダーはうまく立ち回ったようです。同社の株価は決算発表の日の寄り付きから、その日の引け後の決算発表を前に急騰しました。引け後に決算が発表され「ホテル業なのにコロナ禍で3割増益」というサプライズが報道されます。


(画像出典:Yahoo!ファイナンス)

翌11日の寄り付きから株価はさらに跳ね、11月9日と比較すると300円以上の上げ幅を記録。しかしすぐに売りが優勢となって、その後は急速に値を消して行き、結局元の水準に近いところまですぐに戻ってしまいました。

さて、株価の話はともかく、発表資料を見ると、同社のビジネスの強さを改めて実感します。


(画像出典:リゾートトラスト決算発表資料、以下同じ)

こちらは主力の会員権販売高のグラフです。青がリゾート会員権の売上で、薄い青が4~6月、濃い青が7~9月です。緊急事態宣言が出ていた時期こそ売上減となっていますが、濃い青の部分は消費増税の駆け込みがあった前年を除けば、むしろ例年以上の売上を記録しており、販売が鈍ったという気配は感じられません。

稼働率も元に戻りました。こちらはエクシブの稼働率グラフで、オレンジの折れ線グラフが対前年比です。10月までのデータが出ていますが、Go Toトラベルの効果もあって稼働率は前年を超えるまでに復活しました。

こちらが同社がコロナ禍の影響をまとめた表です。下半期(10~3月)において、会員権販売は前年同期比で5%減を見込み、また会員制ホテルの稼働率は前年並みを見込んでいます。ビジネスホテル事業は大きな減収が続く見通しですが、本業と言える部分はコロナ禍の影響をそれほど受けていません。

現在同社は中期経営計画「Connect 50」の3年目に当たりますが、今後その経営計画を修正するとしています。こちらの画像で網かけされている部分がその時期(来年度、再来年度)に当たりますが、リゾートホテルの開業予定としてこの図にはじめて「高山」という文字が出現しました。

次の会員制ホテルはベイコート倶楽部ではなく、エクシブ系列になると見られます。場所は高山駅から約1.7kmほどの、北アルプスや高山市街を一望できる眺望の良い自然に囲まれた場所であるとされています。また新たな情報があれば、お伝えしたいと思います。

4 comments

  1. 岐阜県高山市に建設され、2021年度に会員権販売開始が見込まれる次のエクシブについてですが、今年1月27日の岐阜新聞で報道されていました。

    それによると、このホテルは先ごろ閉館した「飛騨高山美術館」を取り壊して建設するもので、同美術館の所蔵品を引き継いで新ホテル内に展示する予定とのこと。欧州の著名な芸術家によるガラスの工芸品や家具など約千点を所蔵していると言います。

    敷地面積は16,500平米で。ホテルは地上6階、地下1階建て。延べ床面積は22,000平米。湯河原離宮の半分くらいの規模です。

    現在の建物は数々の賞を受賞していて、1997年築。エクシブ琵琶湖と同い年ですね。

    飛騨高山美術館|鹿島:技術とサービス:文化・スポーツ施設

  2. 高山という山岳地方にエクシブが戻ってくるのは大変喜ばしいことです!
    このホテルは
    ①エクシブ+美術館
    ②エクシブ+美術館+一般ホテル
    なのか、興味が尽きません。開発の発表が待ち遠しいです!
    会員制ホテルだけでは稼働率が稼げないことや、ベイコート横浜とカハラ横浜の運営次第では、②が濃厚なのかなと予想します…

  3. 宝くじ買って、宝くじ当たったら何する?っ妄想するのと同じではありませんが、どんなホテルになるのかなと妄想するのは楽しいです笑

  4. たかすぬさん、コメントありがとうございます。リゾートトラストはホテルの開発力が高いので、久々の正統派リゾートホテルの予感がしてわくわくしますね。ちょっと東京からは行きづらいですが🚙

    近年のベイコート倶楽部ラッシュは一段落、ということでもあります。ベイコートはその名の通り、大都市近辺の湾岸地がテーマですから、建設エリアが限られ、打ち止めの可能性もあります(東京圏→有明、横浜、名古屋圏→蒲郡、大阪圏→芦屋)。

    その他、仕込まれている土地としては、千葉の内房と外房、熱海伊豆山、箱根強羅、エクシブ浜名湖の隣、琵琶湖の西岸、鬼怒川などがあります。

    ベイコートはエクシブの上位互換会員権なのでアップグレード販売も多く、激売れしていてほとんど在庫がありません。一方、六甲SVは芦屋の影響で半分も売れておらず、湯河原離宮ですらまだ76%の販売率です。

    エクシブになるとすれば、ベイコート倶楽部よりは価格を安くしなければならず、またベイコート倶楽部より交換権利に魅力がないということになり、久々のエクシブが果たしてベイコートのように売れるのか、というところにも注目しています。まさかの別ブランドだったりして。興味は尽きません。

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