僕は「ホテル利用学」を提唱するなかで、そのコアのアイテムとしてリゾート会員権を推奨してきました。しかし、その状況は変化したと考えており、2024年からはその主張を変更する必要があるのではないかと、2023年のある時から考えるようになりました。
現代の日本のリゾート会員権が豪華一辺倒に発展を続けた一方で、急速な円安に見られるように日本は国際的な地位を低下させ、貧しくなりました。その結果、外資系にホテルパワーが急速にシフトし、ゲストである外国人の物価水準に合わせてホテル価格は高騰しました。
これと反対で、需給による価格調整機能を本来的に持たない会員制ホテルは、ランニングコストをうまく回収することが普通のホテルと比較してかえって難しいという、新たな時代を迎えました。
一方で資材価格は高騰。人手不足で人件費も高騰。新しくて魅力的なホテルを作るコストが急激に上昇しました。これまでのようなコスト構造では、豪華なホテルは作れませんし、ド田舎の大規模プロジェクトは引き受ける方もリスクが大きすぎます。
日本のガラ権は、建築費高騰の影響で、より土地代が安いところを求めるようになりました(ただし東急は別の作戦に出ています)。リゾート会員権トップ企業の開発地がなんだかヘンな場所にあり、その場所は人口減に悩む自治体があるため行政が前のめりになるのには、こうした構造的な理由があるのです。
さて、今日のトップ画像は週末に訪れた素晴らしいレストランのある某所から見下ろす、築地市場跡地です。
ここの再開発についてはまた折を見て説明しますが、三井不動産を代表企業とし、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店、日建設計、パシフィックコンサルタンツ、朝日新聞社、トヨタ自動車とビッグネームが並び、総事業費は約9000億円を見込むという、巨大プロジェクトです。
もちろんホテルも大中小と最低でも3つできます。勝手に予想すると、外資ラグジュアリー5つ星、外資アッパーアップスケールMICE対応4つ星、国内アップスケール4つ星となり、最後は幹事会社であう三井不動産の「三井ガーデンホテルプレミア」になるでしょう。
一方、こちらは横浜の北仲に建設中のコンラッド横浜の現場です。
かつてのみなとみらい御三家を運河を挟んで眼の前に、その前をゴンドラが行き交うド派手な立地。もう日本のホテルはこんなところに建てられないでしょうし、庶民派最高級のコンラッドが来ることも納得です。
向かいの横浜ロイヤルパークは2025年以降にいったん休館し、2028年以降に営業再開予定で大改修に入ります。こちらは三菱地所が威信に賭けて素晴らしいものに仕上げてくるでしょう。
ともあれ、今の日本のこのような状況では、小口で資金集めをして超弩級リゾートホテルを地方に建てられる時代ではなくなっていきます。優先されるのは、国内大資本が共同で大都会で作り、国際ブランドで集客する案件。新築のホテルはこうやってはじめて立派なものができるし、またビジネスとして成立する金額で販売することができます。
じゃぁリゾートホテルはどうなるのか。それは次回、お話することにしましょう。FANBOXでやるかも。
日本人の旅行マインドが急速にしぼんでいるかもしれないです。以下、今日の共同通信配信のニュースからです。
出典:好天に恵まれた大型連休。人出が伸びたと思ったら全国の88%で減少、コロナ5類移行後初なのになぜ? 一番活発に動いた人たちは…大規模データの分析から判明 | 47NEWS
resortboyによるメモ:
2024年のゴールデンウイークは好天だったが、昨年比で全国主要の9割で人手が減った。コロナ前の2019年の水準に届かなかった。
円安に伴う物価高で、節約意識が強まった。特にホテル代が高騰した。
最も落ち込みが大きかったのは札幌でマイナス16%、仙台と名古屋も2桁マイナスだった。京都も国内居住者は8%減った。
性別・年代別では、60代以上のシニア女性の人出は増えたが、全年代の男性と、シニア以外の女性はすべてマイナスだった。
エコノミストは、食品は上昇しても減らせないのでレジャーに節約の圧力が強まった、秋以降にまた物価上昇が起こる、とする。