コレステロールの真実 -1

「funasanのアンチエイジング日記」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載企画です。舟橋さんが取り組まれている健康にまつわる学習と実践について、同時進行でご報告いただきます。2022年の連載第一部(1~19回)に続いて、2023年の連載第二部(20回~)がスタートしました。この連載では、読者の皆さんとともに「旅と健康」について考えていきます。どうぞコメント欄にてご参加ください。(編集担当:resortboy)

コレステロール治療の真実を追求していく中で、利権構造でがっちり固められた日本医師会日本医学会日本動脈硬化学会の姿が鮮明に見えてきました。私たちは、病気と治療についてしっかり学習し、賢い患者にならないと、まともに生きていけない時代にいるのかもしれません。

驚きの「新たな健診の基準範囲」

2013年に出されたコレステロール治療についてのアメリカ発の新ガイドラインは、日本の医学界に激震を与えました(参照:連載第32回)。日本動脈硬化学会はそれを全否定したのですが、翌年、日本国内でも大きな動きがありました。

2014年4月7日、従来のコレステロール基準に一石を投ずる報告書が、健診の当事者(日本人間ドック学会・健康保険組合連合会)から出ました。それが「新たな健診の基本検査の基準範囲」の報告書(以下参照)です。

(報告書PDF)新たな健診の基本検査の基準範囲 日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー

以下は上記報告書の冒頭に掲載されている「要旨」からの抜粋です(太線筆者)。

日本人間ドック学会(以下本学会)と健康保険組合連合会(以下健保連)では共同研究事業を立ち上げ、約150万人に及ぶ人間ドック健診受診者の健診データについて肥満度、血圧、脂質、血糖等の検査値を受診者個々に蓄積し、メガスタディーによる新たな検査値の基準範囲を作成した。(略)最終的に選び出された超健康人(スーパーノーマルの人)約1万~1万5千人の個々の検査値から基準範囲を求めた。なお男女差および年齢差については統計学的に明らかなものを、その差が存在するとした。

何しろ、日々、健診を行っている日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、自らの健診データを駆使して、検査基準の真実に迫ろうとした非常に意欲的な研究でした。

研究目的も「人間ドック健診の有用性をより明確にし、多くの加入者の生活の質の向上と医療費適正化に資することを目的に調査研究を実施する事」と書かれています。極めてまっとうで志(こころざし)が高いです。

私はこの報告書は、現代日本において最も確かなエビデンスのある、「健康な日本人」の基準だと思います。人間ドック健診の受診者は普通に健康な生活を送っている人たちなので、まさに予防医学的な観点から生活習慣病予防の貴重なデータを提供するものと思います。

この報告書には次の2つの大きな特徴があります。

  1. コレステロール等を含め多くの検査結果で男女差・年齢差を認める基準範囲が設定された。

  2. LDL-コレステロール関連の検査(以下参照)では、従来の人間ドック学会基準値を大幅に超える基準範囲が設定された。

ここに記されているLDL-コレステロールの新たな基準範囲は、以下のようになっています。

男性:年齢差なし:72~178
女性:30~44歳:61~152
   45~64歳:73~183
   65~80歳:84~190

上記のデータから、女性は閉経によってLDL-Cが急激に増加することが、「超健康人」のエビデンスからも裏付けられました。何しろこの研究対象は、約150万人に及ぶ人間ドック健診受診者から選ばれた1%にも満たない1万~1.5万人の超健康人たちです。閉経後にLDL-Cが増えても、健康に過ごせることが示されています。

2 comments

  1. 吹田スコア1で直近の健診結果のデータで計算したら合計得点は「53」でした。
    健康管理に努力されているfunasanの合計得点「61」より下回っており、同じ年齢の私は嬉しくなりました。
    今後も暴飲暴食はしないようにして適度な有酸素運動、規則正しい生活を心がけて、出来るだけお医者さんのお世話にならなくても良いようにしたいと思います。

  2. Mr.Sさん、吹田スコア53ということは、10年間の冠動脈発症リスク5%なので、少なくとも80歳まで突然の冠動脈の発作は避けられますね。どんどん好きな旅(特にクルーズ)に出かけシニア人生を楽しんで下さい。

    私はちょっと高めの高血圧と、ぶっちぎり高値の悪玉LDLのためスコアを悪くしています。しかし、動脈硬化の真犯人を見つけたことにより、私のLDLは悪玉ではないことが分かりました。その理論によると、私の冠動脈発症リスクは、ほぼゼロになります。

    これが本当に正しいのか分かりませんが、コレステロール関係の病気は何を根拠にするかで診断と治療が大幅に違ってきます。次回のfunasan日記(最終回)の予告でした。

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