東京ベイは見渡す限りタワマンの群れです。こうしたタワマン需要の一部は相続対策に利用されているという話があります。このサイトをご覧の方は富裕層の方が多いと思いますので、相続対策にご感心のある方も多いでしょう、そんな皆さんに注目の判決が出ました。
まずは日本経済新聞電子版から引用します。
(日経の報道)相続マンション、路線価認めず課税「適法」 最高裁判決: 日本経済新聞
路線価などに基づいて算定した相続マンションの評価額が実勢価格より低すぎるとして、再評価し追徴課税した国税当局の処分の妥当性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は19日、国税当局の処分を適法とし、相続人側の上告を棄却した。国税当局の処分を妥当とした一、二審の判断を是認し、相続人側の敗訴が確定した。
過度な不動産節税に警鐘を鳴らす司法判断といえる。
大雑把に言うと、「90歳を超える札幌の資産家が荻窪と川崎のマンションを買って相続税評価額を圧縮し、借金と相殺して遺族は相続税をゼロにしたけれど、追徴されて残念でした」という話です。
これらの経緯を子細に検討することはこの場ではできないので、興味のある方向けに、資産税のプロ中のプロである天野隆さんの解説動画をご紹介しておきます。
天野さんの他の動画でシナリオが示されていましたが、シナリオAの「荻窪セーフ、川崎アウト」とはならなかったということです。
また、リファレンス的にもう少しご興味のある方向けに、日本のトップ研究者のブログをご紹介します。
租税法が専門の東京大学大学院法学政治学研究科の増井良啓教授による判決のファーストインプレッションです。
(増井教授)J-TaxNotes: 最判令和4年4月19日 令和2(行ヒ)283
ついでに、僕がこのニュースから連想したことを、別の方のツイートで代弁してもらいます。
圧縮率をうたう不動産小口化商品業者もまとめて解散っ!
「路線価否定」の課税訴訟、相続人側の敗訴確定 最高裁: 日本経済新聞 https://t.co/oFTVuX2kMb
— 哲戸(´・_・`)次郎 (@pp_GIRAUD) April 19, 2022
以下のような不動産小口化商品のセールストークには行き過ぎたものがあると、消費者サイドとして感じていたので、今回の判決で多少なりともブレーキがかかるのは良いことだと思っています。
(参考)不動産小口化商品ナビ | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン
世の中には裏技などなく、常識の範囲で生きていかないとかえってこじれる、という話と理解しています。