funasanことトラベルライターの舟橋栄二さんをお迎えしてのスペシャル対談の第11回目をお届けします。今回は、ヒルトン名古屋での格安豪華ステイが、お孫さんを含めた三世代での利用に広がっているというご様子について。また、人生100年時代を迎えたリタイア世代にとって、なぜ「安くて豪華に」を心がけなければならないのかを聞きます。
(初回の記事はこちら)インパクトがあったエクシブとの出会い
(第2回の記事はこちら)エクシブの魅力は「安さ」だった
(第3回の記事はこちら)「世代交代」でエクシブを活かす
(第4回の記事はこちら)リゾート会員権の破綻がもたらしたユーザー志向
(第5回の記事はこちら)高級化とサービスカットのはざまで
(第6回の記事はこちら)リゾート会員権のいちばん得する使い方
(第7回の記事はこちら)エクシブ変化の裏でホテル国際競争が起きた
(第8回の記事はこちら)「海外修行」を経てマリオットを別荘に
(第9回の記事はこちら)激震だったマリオットとSPGの合併
(第10回の記事はこちら)ヒルトンに広がる「驚くべき」世界
resortboy(以下R):(前回から続く)どうやってエクシブで過ごすかっていう話と、今、同じ話をされてますよね。つまり、どこにも出かけずにホテルの中で、1泊2日の時間を、思い思いに過ごすと。
ただエクシブとヒルトンで違うところは、ヒルトンでは(エグゼクティブルームに宿泊すれば)飲み食いのお金がかからない。
funasan(以下F):それで、じゃあ娘夫婦を連れてったろうか、ということで、フラッシュレートのときに、エグゼクティブルームに泊まったんです。彼らは何もステータスは持っていないので、正規料金でなきゃだめなので。でも50%オフですから、2万円ぐらいでエグゼクティブルームに予約できたと。
連れていったら、彼ら感激してまして。「何!こんなに飲み食いできて2万円でいいの?」ということで。1人1万円ですからね。それに娘婿さんは酒が好きな人で、「いい酒置いてあるね!」ということで。
R:今、舟橋さんのお子様のご家族は、まさにエクシブを楽しまれている世代だと思いますけれども(第3回参照)、エクシブと、ステータスはないけれどもエグゼクティブルームに泊まるシティホテルの楽しみというのは、どちらが良い、というのはあるんですか。
F:やっぱり忙しいもんだから。夏休み、冬休みとか長期の休みであれば、遠くまで車で行っていいんですけど、普通の土日や、ちょっと休暇を取ってというときには、やっぱりシティーホテルというのは非常に効果的です。
それで、ヒルトン名古屋に娘夫婦たちと行っていると、だんだん彼らの方が盛り上がっていて。ヒルトンも(SPGと同様に)「ヒルトン・オナーズVISAカード」っていうのがありますよね。あのクレジットカードを持つとヒルトンゴールドになれるので、結局なっちゃったんですよ。
R:なるほど。ダイヤモンドではないけれども、少なくとも(ゴールドのベネフィットで無料で)朝ごはんをいただけるステータスを得たと。
F:それで、実は名古屋ヒルトンは、以前はゴールドメンバーでも、最低料金で予約しても、基本的にエグゼクティブにアップグレードしてくれていたんです。今それは厳しくなってきてダメになったんだけど、ワンランクのアップはしてくれるので、スタンダードルームじゃなくって、デラックスルームを最初から予約するんです。
R:つまりエグゼクティブの1個下のランクの部屋を予約しておけば、ワンランクはゴールドのベネフィットで無料アップグレードしてくれると。そうするとラウンジアクセスが付く、ということですね。
F:そうです。したがって、50%セール、フラッシュレートのときにデラックスルームを彼らは予約して、私も最低料金で予約して、家族・孫を連れて行くという。
R:そうするとラウンジで一緒に食事もできるし、ヒルトン名古屋はあんまり広いプールじゃないですけど、そこで遊ぶこともできる。
F:つまりね、これ、エクシブ鳥羽でやるのと同じことを名古屋ヒルトンで安くやっていると。
R:手近で安く、エクシブに行くのの「ミニ版」というような感じですね。まぁそれだけでは長期の休みなんかはちょっと物足りないし、自然に触れ合いたいという時もありますから、そういうときはエクシブにみんなで行くと。
そういったところでエクシブの話に戻ってくるんですけど、今のようなファミリー利用という視点でエクシブを見たときに、ここ10年ぐらいの新しいエクシブやベイコート倶楽部では、例えばプールがないとか、あっても東京ベイコート倶楽部のような大人のためのもので、子どもを排除するようなところがあると思うんです。
それにジムがないとか、ラウンジも新しい湯河原離宮なんて非常に狭いラウンジになってしまいましたけれども、そういうここ10年ぐらいのリゾートトラストの開発スタイルについてはどう見ていますか?
F:私は元教員で、妻も教員で、そんなに資産があるわけでもないし、中古アパートを買ってアパートの賃料で年金にプラスアルファがあるから若干の贅沢ができるんですけど、「本当の金持ち」ではないので、何て言うか、ちょっとビビっちゃうんですよね。例えば、料理だけで1万円を超える料理なんて、「よう注文しない」んですよ。
R:あまりそういうのは楽しくないということですか?
F:そこまでやる必要があるのかと。そんなの食べなくても、風光明媚なところでゆっくりくつろげれば、それでいいわけだから。
だけど、東京ベイコート倶楽部で1週間ゆっくりしたいかというと、それは「したい」んです。問題はコストですよね。そこでコンビニ弁当を食べるわけにもいかないし。だからやっぱり、もう自分の気持ちとはかけ離れていって、まあご自由にどうぞ、という感じです。
R:僕には、(リゾートトラストが)かつてのオールドエクシブとはちょっと違う世界観に「勝手に行ってしまった」っていう感じがすごくあるんですが、舟橋さんもそんな思いでいらっしゃいますか。
F:まあでもね、それは企業戦略としてはしょうがないと思うんですよ。プチブルジョワも出てくるしアジアの富裕層もいっぱいいるし、確実に格差(が広がっている社会)ですよね。そこでリゾートトラストがどうやって生きていくかっていうのは、上を狙うしかないわけで。
じゃあ私は「どちら側」になるかというと、やっぱり老後を「安くて豪華に」だから。「高くて豪華」ではぐっと来ないんです。
R:それは12年前に出された御本のタイトルに、メッセージとして集約されているわけですけど、それは本当に原点というか「ブレはない」ということですね。
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F:例えばね、今、人生100年時代ってよく言われるようになってきましたけど、65歳で退職してね、100歳まで35年間もあるんです。そんなのね、ばんばんお金を使ってたら、「全員が貧困化」しちゃうんですよね。
だからそういうときにも、90歳、100歳になっても若干のお金が残るように、コストを抑えて楽しんでいかないといけないので、ちょっと今のエクシブは無理ですよね。
(続き:年間100万円の海外リゾート満喫術 – スペシャル対談 舟橋栄二さん(12) | resortboy's blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト)