セラヴィリゾート泉郷の新時代について詳細にレポートする連載の最終回です。今回は改めて2020年のファンド買収から現在までを追って、企業オーナーの変更において、リゾート会員権がどう取り扱われたのを見ていきます。
新規募集の停止
まずはガラ権メーカーとしての現況を確認しましょう。現在のセラヴィリゾート泉郷は会員権新規募集を停止しています。
大規模なリニューアルに伴って施設利用ができなくなる(不安定になる)から止めている、という見方もできますが、そういう事情とは異なるようです。同社は、大規模リニューアルを一般よりも前に会員に告知することをしていませんし、施設が使えなくなるからその分の年会費を返金するとか、期限付き会員権の期間延長を行うという話も、今のところ聞いていません。
会員の方で、そのような補償の話がありましたらば、ぜひ、コメント欄で教えてください。
以下は同社ホームページの「資料請求」のページです。
同様に、「説明会」のページです。
ガラ権としてのホームページは残存していますが、これが一時的なものなのか、それとも恒久的な新規募集停止なのかには注目していく必要があります。
ここではこの新規販売停止が、この連載で追ってきたこの数年間にわたる戦略的なプロセスの集大成であると位置付け、考察していきます。
地ならし
セラヴィリゾート泉郷が最近発表したリゾート会員権の新規募集停止は、単独の経営判断ではありません。2020年のプライベート・エクイティ・ファンドによる買収に端を発し、数年がかりで実行された、同社の壮大な事業転換の最終幕である可能性があります。
最初に、アイコニア傘下に入るに先立って「地ならし」が行われたことを確認していきましょう。それは「中古市場の破壊」でした。そのツールは「名義変更料」。
2020年の3月末まで、セラヴィリゾート泉郷の「オアシスクラブ」会員権の名義変更料は30万円(税別)でした。これは現在(値上げ前)のエクシブと同額であり、安くはないものの別に高くもない、という水準であり、この時代までは普通に「セラヴィの中古」が流通していました(数は少ないものの)。
しかし2020年の4月から、同会員権の名義変更料は「最終募集価格の50%」と改められ、この時点で66万円と2倍になりました。そしてすぐ後のその年の秋、2020年11月に同社は「日本企業成長投資」によって買収されます。
同社の細かなガラ権販売事情を僕は追いかけていませんが、この2020年の制度変更は、かなり中古市場にダメージがあったと思われます。そしてファンド傘下で「経営改革」が断行され、会員権(入会金)も値上げとなっていき、上記ルールによってオアシスクラブ会員権の名義変更料は現在、82.5万円または88万円となっている模様です。
この2020年以降の施策によって、既存会員は取り残されました。かつては資産性があると信じられていた「リゾート会員権」が、流動性のないものとして固定化されました。このクラブの細かな規約を知らないので、今日のところは区分所有がないからいいじゃない、という議論はしないでおきます。
後日、フォローアップをしたいと考えています。どうぞ情報をお寄せください。
GoTo Passとの関係
2020年以降の手数料改定で中古市場は凍結され、会員が投じた初期投資には出口がなくなりました。振り返れば、これは将来(現在)の売却に向けた戦略的な資産浄化であったと見ることもできます。もともと会員組織がベースにあるセラヴィリゾート泉郷において、事業モデルの抜本的な改革を計画する新たな買い手にとって、そのベース自体が法的リスクや運営上の障害となり得るからです。
日本企業成長投資がどの程度、ガラ権というビジネスに通じていたかはわかりません。しかし、中古市場の無力化が「自分たちにメリットがある」くらいの理解はあったかもしれないですね。これを誰がどの段階で決めたのかを知りたいところです。
ところで、現在のアイコニアには「GoTo Pass」という、独自のロイヤルティプログラムが存在します。今のところ、このプログラムにはさしたる魅力がありませんが、将来的にはわかりません。なにしろ外資マインドを持った日本有数のホテルチェーンであり、旧かんぽの宿の亀の井ホテルにセラヴィリゾート泉郷を擁する、リゾート好きにもなかなかのポートフォリオを持ちます。
オアシスクラブのホテル群は今や一般ホテルになってしまいましたから、ガラ権に本来必要な「排他性」がありません。あるのは経済的な優位性や合理性だけですから(予約や料金の優遇)、GoTo Passを盛り上げ魅力的なサービスとして注力する一方で高額な会員権を新たに販売し続けることは、商業的に非合理的であるだけでなく、新たな会員権顧客に対して不実告知と見なされかねないリスクを伴います。
一方で、海外でタイムシェアリゾートが存在するように(例えばヒルトングランドバケーションズ)、ホテルチェーンがマーケティング手法の一環として会員権的なものを見る考え方も、あるにはあります。でも、アイコニアはそういう会社ではないように感じますね。
むしろ一連の流れは、「ガラ権の戦略的陳腐化」と呼ぶべき、巧みな戦術のように見えます。運営会社は、会員権契約を段階的にしろ破棄するという直接的で法的リスクが高い手段を避け、代わりに市場の力学そのものを操作しているのかもしれません。
旧モデルが自ずと存在意義を失い、自然消滅へと向かう環境を、意図的に作り出しているのではないでしょうか。
永久会員
現在、セラヴィリゾート泉郷の既存会員は極めて不安定な立場に置かれているように見えます。
現在もホームページでは「永久会員」を謳い、相続や譲渡も可能な、半永久的な「資産」として位置づけて販売されてきました。しかし、まず名義変更料の引き上げによって中古市場での流動性が奪われ、資産価値がゼロになりました。今後は、親会社全体のロイヤルティプログラムの中で、徐々に利用における会員特権も失われていくかもしれません。
後は特権的な予約枠や、金額的な割引が残るのみですが、心が離れて利用しなくなれば、割り引きもクソもありません。リゾートクラブは「気持ちが一番」ですから、このあたりは実際の会員の方々にヒアリングをしてみる必要があります。というわけで、今回で一度終わりにしますが、続編をお楽しみに。
利用権方式
最後に指摘しておきたいのは、セラヴィリゾート泉郷の会員権は、法的後ろ盾がまったく何もない、利用権方式だということです。不動産の区分所有権を伴うものがいいわけではないのですが、リゾート会員権に関する法律がない以上、法的保護は比較的弱いと考えられます。
しかし今後、事業者が意図的に会員権の価値をさらに低下させる行為を行うのならば、消費者契約法などの観点から問題視される可能性があります。僕がここで外野からガミガミ言っているのも、そうしたことが起きないようにと情報共有で牽制する意図があります。
ただそんなことも、グローバルな資本と現代的なビジネスモデルへの転換という大きな潮流を押しとどめる力とまでは思っていません。このセラヴィリゾート泉郷の変容劇は、より大きな社会構造の変化を象徴しているからです。
伝統的なリゾート会員権は、「所有」という概念と長期的なコミットメントを前提に設計された、20世紀型のビジネスモデルです。一方で現代の消費者は、固定資産の所有よりも、柔軟性、多様性、そしてSNSで共有可能な「体験(コト消費)」に価値を見出す傾向が強いです。
だから、すぐに飛びつけてエンジョイできる、全世界的なロイヤルティプログラム、例えばマリオットのボンヴォイやヒルトン・オナーズのようなものの方が適しているのは、僕は明らかだと思っています。
アイコニアのGoTo Passにその可能性があるとは今は思えませんが、彼らは生粋の外資。先例から学び、グローバル基準を基盤としたオープンなロイヤルティプログラムとして設計すれば、新しい価値観に合致するものとしてうまく機能する可能性はあるでしょう。
一方で、ガラ権モデルには未来はないと思います。
セラヴィリゾート泉郷が会員権の新規募集を停止したことは、この数年のすべてのステップの一つの到達点であったように見えます。その中で、ガラ権は強化されることなく、むしろ解体され、その下敷きとなっていた不動産資産の価値が解き放たれました。
この壮大な企業変革の過程において、会員がどう扱われるのか、そしてかつてはそのビジネスを支えたはずの「リゾート会員権」が今後どうなるのか、目が離せません。








本日、you tubeで自然豊かな田舎で休日に楽しむことの出来るリゾート施設を作りたいと志す若者は数多いが経営は厳しく10年事業が続くことはほとんどないとやっていました。
リゾート施設経営というものは本当に大変なのですね(泣)
永く事業を継続させようと思うのなら、リゾートトラストのような強引なやり方がどうしても必要なのかもしれませんね(泣)
どのような形になるかわかりませんが、セラヴィリゾートをこよなく愛するものとして今後の趨勢を注視していきたいと思っています。
resortboyさん、渾身の「セラヴィリゾート泉郷」の総括レポート4部作ありがとうございました。知らないことが多く勉強になりました。H&Mさん同様、「セラヴィリゾートをこよなく愛するものとして今後の趨勢を注視していきたいと思っています」
さて、夏休みにセラヴィの「ホテルアンビエント蓼科」に2連泊予約済です。我が家の夏の年中行事で、もう10年以上続いています。標高1540mの女神湖畔に建つこのホテルは夏の高原リゾートとして最高です。しかも、宿泊代金が圧倒的に安く、会員メリットが最大限に生かせます。このメリットが今年の夏で最後になるかもしれないので、その証拠として、以下、宿泊予約を詳しく記しておきます。
今年の予約(お盆を外した日曜日から2連泊・3部屋)は以下です。
■宿泊料金:飲み放題付夕食・朝食の2食付きプラン(消費税・サービス料込)
通常価格:28240円×2名=56,480円
オアシス会員:9700円×2名=19600円
■お部屋:スタンダード和洋室(広さ63平米)禁煙、3部屋予約済
ツイン洋室+4.5畳の和室+フルキッチン+ダイニング・リビングスペース
(2名で泊まっても差額代金なし)
子供料金(中学生以上大人料金)は以下です。
○お子様A:小学生のお子様 大人料金の70%
○お子様B:4歳以上~小学生未満 大人料金の50%
■夕食:飲み放題付バイキングプラン
バイキング会場「RAFEREA-ラフェリア-」で夕食を楽しむ90分の食べ放題&飲み放題バイキング。スタジアムキッチンでのグラナパダーノチーズのフロマージュパスタの実演、揚げたて天ぷら、季節の高原野菜を使用したサラダコーナー等、多種多様な信州ならではの食材をご堪能いただけます。デザートにもこだわり、お子様から大人まで楽しめる時間をお届けしています。さらに生ビール・焼酎・ウィスキー・ワイン・サワー等のアルコール、ソフトドリンクも飲み放題付き!信州のご馳走と選りすぐりの厳選メニューをどうぞお召し上がりください。
■朝食:和洋30種バイキング
ホテル代金高騰の今、夏休みの高原リゾートに、1泊2食(アルコール付き)1万円程度で宿泊できるセラヴィは貴重です。この夏休みの会員メリットがなくなった時、私のセラヴィとのお別れです。
H&Mさん、funasan、コメントありがとうございます。実際にオアシスクラブの会員でおられるお二人にさっそくご反応いただいて光栄です。
今回、研究家としてけっこう頑張ってレポートを書いたんですが(仕事が忙しいので現実逃避がはかどりました)、それはガラ権が「終わって」いく中で、今回のドラマで描いた「金融的手法」が最大の事業ドライバーとなっていることが、僕のここ数年の研究で明らかとなったために、その典型事例としてちゃんとまとめておきたかったのです。
なにしろ、こんなことを総合的に研究しているのは日本でここしかありませんからね。
リゾートホテルというものを考えるときに、フォートレスが行っているようなドライな視点があってこそ、「不動産資産の価値が解き放たれる」のであると思いました。その金融的手法は、実は、生き残っているガラ権メーカーも同じなんです。
東急ハーヴェストクラブは資産性にフォーカスすることで金融的な価値を見かけ上、保つことに成功しています。そしてリゾートトラストのビジネスも、そのように指摘するひとはいませんが、高度に金融的です。
リゾートトラストの解剖はここでは行いませんが、FANBOXの方で今後、同社の金融手法について明らかにしていく計画です。そのことを踏まえて、H&Mさんのコメントに戻りますが、本当にそのとおりです。
「リゾートトラストのような強引なやり方がどうしても必要なのかもしれません」
同社は強力な営業活動を通じて、未開業のホテルを同時並行的に売りまくることで、新規会員を集めて事業資金をファイナンスしています。建築コストが高騰する今の時代に、まさに「どうしても必要」な事業展開であり、いい悪いとか正しいかどうかは別として、企業として合理的な方向性であるとは言えると、僕は考えるようになりました。
リゾートホテルという困難な事業を支えるものは、カネなのです。
先日、久しぶりに女神湖、セラヴィリゾートに宿泊しました。
うだるような自宅とは別世界!蓼科山を望むこじんまりとした美しい女神湖畔は涼しくて最高に気持ちいいです
涼しく快適で最高でした。コテージはエアコンが付いていませんでしたが寒いくらいで問題なし、食事は夕食は炊飯器で自分で炊いて、信州牛のしゃぶしゃぶ、とても美味しい(嬉)。たまには自分で作るのもとても新鮮で良い(笑) 朝はアンビエントホテルでビュッフェ! ホテルも満室なのか大混雑、でもここはまだ外国人には知られていない穴場なのか、ほとんど日本人のみ、また、若い人が多く、綺麗な会員ラウンジはありますが人がおらず、一般のお客さんが多いよう。ホテルスタッフの対応も会員だと意外なような対応であった。
ホテルもリニューアルされたか?新しい感じがするし、露天風呂は八ヶ岳よりずっと広くて快適そのもの!
セラヴィのフラッグシップ的ホテルだけのことはあるか?
何より女神湖は小さいのでセラヴィアンビエントホテルがほぼ独占している。
残念なのはホテルのフラワーガーデンテラスが営業していないことであるが、女神湖センターのテラスで代用出来る。
とにかく夏の避暑には最高で来年もまた来ようと思います。
ただ名古屋方面からだと中央自動車道がずっと工事をしており大渋滞するのでそこが
とても困ります
H&Mさん、私の愛する女神湖畔のセラヴィを気に入って頂き嬉しいです。
私も7月下旬にホテル棟に2泊してきましたが、女神湖畔の爽やかさは特別でしたね。森の中のコテージに泊まれば、酷暑の夏でも寒い?それほど、ここは避暑に適したリゾート地です。
私は一時期、セラヴィの「ホテルアンヴィエント蓼科・コテージ」に夢中になって自分の別荘みたいに四季折々泊まっていました。このセラヴィが今後、どこにいくのか?興味をもって見守っていきたいです。
以下、ホテルアンヴィエント蓼科・コテージの旅行記が沢山あります。
http://www.e-funahashi.jp/japan/cest/index.htm
参考までに、今回のセラヴィ(ホテル棟)宿泊で気が付いたこと(スタッフからの情報を含めて)メモしておきます。
・お客が例年より減っていて、全体的に活気がない
・夕食ビュッフェ・朝食ビュッフェの中身は変化なし
・スタッフがほとんど日本人、以前はフロイントにも裏方(室内清掃係り)にも外国人がいたのですが、見当たらない
・アネックス①号棟の3階と4階の「スタンダード・和洋室」に泊まったのですが、3階の部屋にはキッチン用の食器類、炊飯器等全て撤去されていました。4階の部屋には全部そろっていました。その理由を聞くと、「キッチン類の清掃に時間がかかり、スタッフで手がまわらない。4階だけ残して後は全部撤去した。アネックス②号棟は全部そろっている」ということでした。
・フラワーガーデンテラス(注)は解体して再建しない
注:もともとこの施設はフレンチレストランの庭側に簡易的に創ったもので建築基準法に抵触?するらしく、解体してもとに戻す。
・現在ある露天風呂の洗い場を撤去して、新しく「ドライサウナルーム」を作る。内風呂にあるサウナも営業する。
セラヴィよ、どこに向かっているのか?
1~4を読ませていただきました。
「株式会社セラヴィリゾート泉郷」と言う法人は、残したままでの展開なのですね。
オアシスクラブの会員さんたちの権利を行使する先は、あくまでリゾート会員契約を締結した「株式会社セラヴィリゾート泉郷」ですから、ここが実質、無力化しているのは、痛いですね。
静かにサービスの質を低下させていく方針なのでしょうか・・・。
リゾート会員権商法で、残ったものは、ほぼ東急ハ-ヴエストとRTの2社の商品のみなんですね。
RTの永遠に、新規高級リゾート会員権を販売し続けるという商法も、この狭い日本でいつまで続けれるのだろうか・・・という疑問も湧いてしまいます。
ただ、会員権の販売で優良なホテル(土地・建物)を多数所持しているので(それも固定資産税等の支払いは会員持ち)、現在のRT社の経営者が次世代に世代交代した時には、ホテル経営方針を整理していけば(サービスのシンプル型ホテルと高級ホテルの2分化等)、やっていける会社だとは、思っており会員権を保持しています。
皆さんこんにちは。るるるさん、コメントありがとうございます。
セラヴィに関しては、その後の記事を書かなければならないと思っています。伊豆高原の「ゆうふり」については記事を書きましたが、実際にお正月に行ってきました。
また、以下のようなリニューアルが予定されていて、女神湖からはアンビエントという懐かしいブランドが消えることになりました。
リニューアル | 【公式】AMBIENT 蓼科ホテル
また、わんわんパラダイスはWan’s Resortと合体して、新生「わんわんパラダイス」となります。
2026年2月11日「わんわんパラダイス」が生まれ変わります | 【公式】セラヴィリゾート泉郷(いずみごう)
来年度(4月以降)の料金表なども手に入ったので、時間を見つけて続報を執筆予定です。