東急バケーションズ大阪 御堂筋 – 1

今回と次回とで、久しぶりに「東急バケーションズ」というリゾート会員権(もはや会員権と呼んでいいのかは議論があります)について取り上げてみようと思います。というのも、このリゾートクラブの大阪の拠点がいま、大きな話題になっているからです。

まず、大枠の説明をします。東急バケーションズは、東急株式会社(不動産ではなく本体の電鉄の方)が全国16カ所に展開しているリゾートクラブです。その最も新しい施設の一つが2019年開業の「東急バケーションズ大阪 御堂筋」です(最新は2020年の「富士山 三島」)。

(公式)人気のホテル・別荘をシェアできる会員制リゾート「東急バケーションズ」|

寺院山門一体ホテル

東急バケーションズ大阪 御堂筋は2019年11月1日に、「大阪エクセルホテル東急」の開業とともに、同ホテルの15階に3室を間借りしてオープンしました。今日話題にしたいのは、そのエクセルホテルが「日本初の寺院山門と一体となったホテル」であるということです。

場所は、心斎橋・本町エリアの御堂筋沿いという絶好のロケーションです。エクセルホテル自体も間借りであって、この建物を作ったのは積和不動産関西です。ビルの名前は「積和不動産関西南御堂ビル」と言います。

このビルは、通称「南御堂」と呼ばれる真宗大谷派難波別院の「山門」でもある、ということになっています。以下はGoogleマップによる空撮ですが、その珍しい建設スタイルがよくわかると思います。

この寺院の山門を兼ねた17階建ての建物には、山門北側1~4階にもともとここにあった寺院の「御堂会館」があります。そして南側1~4階は積和不動産が賃貸店舗としています。

そして大半を占める5~17階に東急ホテルズ&リゾーツ(東急=旧・東京急行電鉄の子会社。東急リゾーツ&ステイとの混同に注意)が大阪エクセルホテル東急を運営していて、そこにガラ権が設定されている、という構造になっています。

いろいろ面倒くさい説明ですみませんが、現代の不動産事業というのはこういうものなのだなと、ガラ権を通じて理解を深められればいいなと思いますので、引き続き、このどうでもいいような話を最後までお楽しみくださいね。

ビルの土地は非課税か

さて、ガラ権としてのこのホテルについては次回書くとして、今日は「ある裁判」について触れます。

この南御堂が作った「山門一体型ビル」をめぐって、参道部分の土地が「境内地」なのか、という争いが起きています。もちろんカネの話です。宗教法人の優遇措置として、この土地が非課税として扱えるかが争われたのです。

実際に現地に行った印象では、バリバリの商業ビルであって、「ここが非課税のわけないだろ」と思うのですが、裁判では意見が分かれ、最高裁まで行ったのです。

そして今回、最高裁が「課税は妥当」と判断し、寺院側の逆転敗訴が確定しました。1審大阪地裁判決は非課税にはできないと判断したのですが、2審の大阪高裁判決はそれを覆し、約480万円の課税処分を取り消していました。

争点

争点は、山門の開口部(参道として通行できる空間)がある一方で、同じ土地の上にホテルを中心とする商業ビルが建っている場合に、固定資産税の非課税を部分的に認められるか、という点でした。

この写真の通り、このビルは山門とも取れるデザインを取っていて、宗教施設として土地が非課税になることを意図して設計されたようにも見えます。

これを今回の判決(最高裁第2小法廷)では、「参道の上に商業施設があり、土地は参道以外の用途にも使われている。課税・非課税は分けられず、課税対象になる」と判断されました(ただし、弁護士出身の高須順一裁判長長は、課税の一部は不当だとする反対意見を述べたとされています)。

お寺ホテル

実は、こういう感じの「お寺ホテル」は結構あるように僕は思っていて、以前、とある研究会で調査しようとしたことがあります(今回の記事はその下取材の成果でもあります)。

当然ながら、特に京都にそうしたホテルは多く、以下の「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」なんて「お寺そのもの」という印象の建築になっています。

こうした宗教法人のホテル進出は、素人の僕が「なんか変だな」と思うような現象であったのです。

別のところで「最高のディスティネーションホテルは比叡山の延暦寺会館である」と書いたことがあります。

大きなお寺にあるカフェやレストランに行くのも僕は大好きです。これら、宿坊から発展した宗教ベースのパブリック施設と違って、単なるテナントとしてホテルを入れるような宗教法人の不動産事業について、今回の最高裁判断では、固定資産税課税に関する線引きを厳格化した形になりました。

「土地(筆)や区分の切り方で非課税余地が残るのか」「賃貸借スキーム(定期借地など)と課税判断の関係」「参道空間と商業床が重なる設計でどう非課税を企図したのか」などなど、いろいろ興味はありますが、このサイトの守備範囲を超えるので、今日はここまでとしたいと思います。

(参考記事)山門一体型ホテルの土地は「課税対象」 大阪・南御堂の逆転敗訴確定 | 毎日新聞

このホテルを訪れたことをきっかけに、次回は迷走を続ける東急バケーションズについて、現況をまとめてみたいと思います。「電鉄」と「不動産」の接近は別のところでも現れていて、ここでもそんな現象が見られます。

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