旧泉郷、ホテルの名を捨て、完全セルフサービスを導入

リゾート会員権を研究している当サイトでは、2025年の7月にセラヴィリゾート泉郷の経営変更について詳細なレポートを連載しました。その時点でアイコニア・ホスピタリティによって再投資対象とならなかった施設について、その後の方向性が明らかになりましたので、補足レポートを数回に分けてお届けします。

今日は冒頭の写真、「AMBIENT伊豆高原コンドミニアム」と「伊豆高原わんわんパラダイス コンドミニアム」についての今後を解説します。

これらホテルはもともとコンドミニアムとして分譲されたものでしたので、7月の段階では権利関係の整理ができていなかったのでしょう。他の施設のように休館してリニューアルするという計画はありませんでした。

そして迎えたこの11月、これらの2ホテルはセラヴィリゾート泉郷時代からのブランド(AMBIENTとわんわんパラダイス)から離脱し、一体となってリブランドすることになりました。

そのブランド名は「ほったらかしの宿 ゆうふり」というものです。

完全セルフサービス

「ゆうふり」とはアイコニアが既に展開しているブランドで、極端にサービスを削減したタイプの「宿泊特化型ホテル」です。

アイコニアはもともとビジネスホテルチェーン「マイステイズ」だったわけですが、買収を重ねてホテルポートフォリオが多様化した結果、ビジネスホテル運営会社というイメージから脱却するために社名変更を行いました。その変革の中で今年、セラヴィリゾート泉郷を買収して傘下に収めました。

そして手に入れたホテルに次々と再投資が行われているのですが、7月の段階(本サイトで詳細レポートを行った時点)で再投資対象となっていなかった施設群について、ビジネスホテルの手法を大胆にリゾートホテルに適用するという策で事業展開していくことが明らかになりました。

伊豆高原の2つのコンドミニアムは、2025年12月20日に「ほったらかしの宿 ゆうふり伊豆高原」としてリブランドオープンします。もはやホテルとは呼べないかもしれません。「ほったらかしの宿」とあるように、完全なるセルフサービスの宿泊施設となり、人的なサービスはほぼ存在しません。

冒頭の写真はかつてのレストラン棟ですが、ここがレストランとして使われることはないのです。このホテルで食事は提供されません(お弁当販売はあるようです)。

逡巡

しかし、この「ゆうふりモデル」への転換は、すんなり決まったものでもないように見えます。

7月の段階ではこのホテルへの再投資計画が明らかではありませんでしたが、現在のホームページを見ると、一部客室は素晴らしくリニューアルされ、ぜひ一度体験してみたいと思わせられる仕上がりとなっています。

ゆうふりブランドになった後も、従来同様にドギー対応と一般とで棟を分けた運営となるようです。

上記サイトは一般側(現AMBIENT)ですが、リニューアルされた客室はとても現代的です。ドギー対応(現わんわんパラダイス)のリニューアル具合はそこまででもなく、統一性がないように見えます。当初は従来通りにダブルブランドでの展開を模索していたものの、途中から方針転換して、全体を完全セルフサービスとすることにしたのではないでしょうか。

その背景については後日の記事で解明しますので、どうぞお楽しみに。

既にある「ゆうふり」

このゆうふりブランドは既存のもので、伊豆高原は、栃木県にある「ほったらかしの宿 ゆうふり那須塩原」「ほったらかしの宿 ゆうふり那須高雄温泉ロッジ」に続く3施設目となります。

【公式】ほったらかしの宿 ゆうふり那須塩原|おもてなしのない贅沢

【公式】ほったらかしの宿 ゆうふり那須高雄温泉ロッジ|おもてなしのない贅沢

この既存の施設はいずれも、かつて関東近郊のシニア層に圧倒的な支持を受けた格安温泉チェーン「おおるりグループ」であったものです。これら旧おおるりグループの資産はアイコニアの中で特殊な立ち位置にありました。

建物が古く、従来のフルサービスを提供するには設備投資と人件費がかかりすぎる一方、源泉の質や立地環境といった得難い価値を有しています。

そこに、ビジネスホテル的な概念を大胆に導入してサービスを削ぎ落として誕生したのが「ゆうふり」ランドです。これら施設のレビューについては当サイトのフォーカス外になるので、必要があれば後日、追記したいと思いますが、なにしろレストランがありませんから、食事は(例えば)冷凍食品をレンチンするという割り切りなのです。

つまり彼らは、ビジネスホテル運営で培った「自動精算機」「アメニティバー」「最小限の人員配置」といったノウハウを、リゾートという非日常空間に移植する実験を行っているわけです。

そんなアイコニア流の合理主義を、情緒的なストーリーで表現するために「ゆうふり」という名が付けられました。これは「あなた=you(ゆう)」 が好みの過ごし方を「自由=free(ふりー)」に行える、という意味を込めたものです。

温泉と快適なお部屋を提供し、それ以外はなにもない、というところを、逆手にとって施設の売りにしているのです。

いわく「おもてなしのない贅沢」。

サステナビリティはここにしかない

僕が思うに、この方向性は実に正しいし、かつてのガラ権施設がこの域に達したということは、現在隆盛を極める「パーフェクトおもてなしガラ権」との対比において、実に面白い思索を与えてくれます。

この「放置型モデル」にしかリゾートホテルの未来はないと、僕は考えています。それがついに身近な場所ではじまった(エクシブ伊豆の隣です)ということに、少しワクワクしています。

この「ゆうふりモデル」では、運営における損益分岐点が劇的に引き下がります。従来型サービスでは、稼働率が低い平日にも一定数のスタッフ配置が必要である一方、このモデルであれば極端な話、夜間は警備員1名とオンコールの管理人のみで運営が可能になります。

これによって低稼働時でも赤字が出ない筋肉質な収益構造が実現します。これは、季節変動の激しいリゾート運営において、長期的に見て最強の経営的武器となります。

そしてこのモデルこそが、サステナビリティに問題のあるガラ権にとって、最後の頼みの綱となるのではないかと、僕は大いに期待しています。

現在のガラ権成功モデルは、過度なヒューマンタッチを求めるものです。人口減の日本ではサステナビリティに疑問があります。しかも(ある会社においては)長期のリニューアル計画もなしに分譲しているのですが、分譲した不動産を会員から預かってビジネスを行うのであれば、末永く施設を維持するための誰もが納得できる経営哲学が必要です。

しかし、現在生き残っているガラ権事業者は残念ながら今がピークで、恐ろしく手間のかかるおもてなしを売り物にする真逆のモデルなのです。そこにサステナビリティは期待できないのではありませんか?

この話には続きがあります。そう、泉郷のふるさと、八ヶ岳です。

というわけで、次回は八ヶ岳の話をしましょう。

1 comment

  1. 「ほったらかしの宿 ゆうふり」は、初めて知りました。

    良質な温泉を備えた広いホテルが、1泊4,500円〜とは、すごい価格インパクトです。
    4,500円なら、ここまでお安いのなら客足が途絶えないでしょう。
    なんだか、昔、衣料品界にユニクロが現れた時のショックみたいです。

    そして、泉郷が、もうこちらに買収されているのですね。

    お食事は、外に食べに行く。もしくは、冷凍お弁当(種類多)をレンチンできる。

    なるほど。
    振り切っていますね。

    ただ、昔、活用していました
    東急電鉄の出していた「ビッグウィーク」も似た感じはします。
    あちらは、「別荘」という建て付けでしたが。
    「別荘」タイプのビッグウィークより、「ゆうふり」の方が、使い勝手は良さそうにも見えます(ビッグウィークでは、食事は完全に自己調達でした。)。

    RT社においても、
    ゆうふり系エクシブと
    過剰ケア系コート に、振り分けをしていくことになって来るのかな・・・・。

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