名古屋のホテルシーンを概観する連載の最終回です。今回は、三井不動産と三菱地所のホテルについて紹介します。いずれも名古屋駅から徒歩ですぐの好立地に宿泊特化型ホテルを出店しています。
僕が主宰している勉強会、KASAの会では、2020年にクレジットカードをテーマにした会を開催したことがありました。そこでは、色々な切り口でクレジットカードシーンを解説したのですが、その中で不動産会社を軸とした選び方を紹介しました。
今回取り上げている三井不動産と三菱地所は、その時も取り上げた日本を代表する2大不動産ブランドであり、ホテル利用やショッピングなどの都市生活には理解が欠かせない企業群です。
三井ガーデンホテル名古屋プレミア
まずは三井不動産から。三井不動産は「三井ガーデンホテル」ブランドで、宿泊特化型ホテル(ビジネスホテル)を全国展開しています。今回紹介する「三井ガーデンホテル名古屋プレミア」は、2016年に開業した、三井ガーデンホテルで東海地方初進出となるホテルです。
(公式)三井ガーデンホテル名古屋プレミア
このホテルは、現代の宿泊特化型ホテルのベンチマークとでも言うべき、典型的な特徴をいくつも備えています。このホテルを例に、それらの特徴を5つ、紹介してみましょう。ユーザー目線としては、ホテル選びのチェックポイントとしても使えると思います。
1つ目は、ターミナルホテルからのアクセスの利便性です。このホテルの場合、名古屋駅から徒歩5分の場所にあります。
2番目は、ビルインタイプの高層ホテルであるという点です。このホテルは、シンフォニー豊田ビルというビルの中の18階から25階に入居しています。冒頭の写真とこちらが18階のロビーですが、名古屋の街並みが広がるスペースとしてデザインされ、大窓を配して「天空感」を強調しています。
客室は19階から25階なので都会的な夜景が楽しめます。ただ、ロビー写真でわかるように、方向によっては建物が迫ってしまうケースもあるようです。
3番目は大浴場です。このホテルはロビー階の18階に大浴場があり、朝と夜とで照明を変更してリラックス感を出すような工夫があるようです。
価格帯や立地からして、このホテルのライバル(選択時の比較対象という意味)は名古屋JRゲートタワーホテルとなると思いますが、大浴場のあるなしが選択の分かれ目となるでしょう。
4番目はレストランです。宿泊特化型ホテルでは朝食の位置付けが極めて大きいですが、そこをどうやって経営するかにはひとつのパターンがあります。
このホテルに見られるように、ロビー階に「いい感じの」レストランを配して、朝食会場として使い、ランチとディナーは一般向けレストランやバーとして景色の良さを売りに多目的に営業する、というのが定番のパターンです。
(公式)The Living Room with SKY BAR (ザ リビングルーム ウィズ スカイバー)| 三井ガーデンホテル名古屋プレミア
最後の5番目は、ロイヤリティプログラムとアプリによる顧客囲い込みです。三井不動産では「MGH Rewords Club」という会員制度がこの4月1日からスタートしました。ポイント獲得や会員のステイタス、スマホアプリでの予約やチェックインといった、近代的な要素がひと通り備わっているようです。
ただし、宿泊特化型のホテルがメインなので、フルサービスホテルに見られるアップグレードが行いにくい面があります。そのため、このロイヤルティプログラムには客室アップグレードという概念がありません(朝食無料はあります)。
(公式)会員ステージについて – MGH Rewards Club
以上、現代の宿泊特化型ホテル開発の典型となる5つの要素を紹介しました。ともあれ、この三井ガーデンホテル名古屋プレミアには、それらが全部入りであるところが特徴であろうと思います。
本連載の他の記事と同様に、宿泊価格の参考価格を求めてみると一泊1万円から1.3万円程度でした。ビジネスホテルとしてはハイエンドな価格帯となっています。
(画像出典:トリップアドバイザー。2021年4月28日調べ)
最後にホテル客室について補足します。このホテルの客室はあまり広くありません。通常タイプは18.5平米で、デラックスタイプでも24平米です。客室の広さを求めるのであればコスパは悪いかもしれません。客室は全295室です。
ザ ロイヤルパーク キャンバス 名古屋
次に、三菱地所の「ザ ロイヤルパーク キャンバス 名古屋」を紹介します。このホテルもアクセスがよく、名古屋駅から徒歩5分の街中にあるビジネスホテルです。12階建ての2階から12階を賃借して営業する153室の中規模ホテルで、1階にはコンビニが入っています。
2013年開業なので、最新のホテルと比較すると見劣りする部分がありますが、その分、価格もこなれていますし、ロイヤルパークブランドには安心感があるでしょう。
写真はロビーフロアの様子です。ロイヤルパークでは数年前にブランドを整理して、フルサービスの「ロイヤルパークホテル」、宿泊特化型の上位ブランドを「ザ ロイヤルパークホテル」、下位ブランドを「ザ ロイヤルパーク キャンバス」と改称しました。このホテルはそのキャンバス名義のホテルで、ロビーにはそれを表現するように黒板が設けられています。
先ほど紹介した5つのポイントをこちらにも当てはめてみましょう。
1. 交通至便である点はほぼ満点。
2. ビルインタイプの高層ホテルではないので、夜景や眺望に特徴はないでしょう。
3. 大浴場は備わっています。
4. レストランについてはロビー階2階に「ムッシュいとう」と言う料理長名前出しのレストランがあります。
(公式)カジュアルダイニング ムッシュいとう | 円居グループ京都
5. ロイヤルパークにはかなりちゃんとしたロイヤルティプログラムがあります(僕も活用しています)
(公式)ロイヤルパークホテルズ ザ クラブ | クラブ会員プログラム
この他の特長としては、セルフラウンジがあります。
客室の浴室と大浴場との関係と同様に、セルフラウンジは、客室のデスクとセルフラウンジという対称でとらえられる、現代の宿泊特化型ホテルの新しい流れです。飲食エリアとのからみでこうしたパブリックなワークスペースに特色を持ってくるホテルも増えていると感じます。このホテルの場合は2013年開業時の仕様であって、それほど進歩的ではありませんが、宿泊客はここで自由にコーヒーを飲むことが可能です。
写真のガラス張りの左側がレストランで、右がセルフラウンジです。ロビー階にあって、レセプションの向かいで常に監視されているので、利用には安心感があります(他のビジネスホテルでセルフラウンジが独立したエリアにあるケースも見ますが、そういうケースだとおしゃべりのグループを避けられないので、ワークスペースとしては不向きなときがあります)。
客室は広くありません。シングルタイプでおよそ16平米、ダブルやツインで18平米です。ただ、ロイヤルティプログラムの上級ステータスを使えばアップグレードが期待できるケースもあるでしょう。デラックスタイプだと28~29平米あって十分な広さです。
このホテルに関しても参考価格を求めてみます。およそ7~8000円程度と、標準的なビジネスホテルよりやや高い程度です。
(画像出典:トリップアドバイザー。2021年4月28日調べ)
このホテルとは別に、三菱地所は新規のロイヤルパークホテルを名古屋で建設中です。名古屋いちの繁華街である栄で、中日ビルの建て替えが進んでいますが、これを三菱地所が手掛けており、建て替え後にロイヤルパークホテルが出店します。
新しい中日ビルは地上32階建てとなり、ロイヤルパークは24階~32階に250室を擁する宿泊特化型のホテルとして、2024年にオープンする予定です。発表資料によればフルサービスではなくビジネスホテルとしてのオープンになるようですから、上記の三井ガーデンホテルプレミア名古屋のライバルと位置づけられるホテルになるでしょう。
名古屋はホテルがとても増えましたね。
三井ガーデンホテルのスカイバーは、ディナータイムに友人や娘達と何度か利用してます。
フリードリンクとお食事がちょうど女子会向けでいい感じなのです(笑)
7月にはコロナが落ち着くかワクチン接種したら、ミュージカルを見に東京に行く予定ですが、
日本橋三井ガーデンプレミアにある浅田の朝食をいただくのが楽しみです。
hiroeさん、コメントありがとうございます。フリードリンクは長居するには大事ですよね。
ご紹介いただいた日本橋浅田の和食ブッフェって、ちょっとそそられますね。三井ガーデンホテルというか三井不動産は、昨年からかなりなりふり構わない安値を出しているので、機会があれば僕も泊まってみようと思います。
じゃらんで調べてみると、ダブルのシングルユース、朝食付きで10,970円。じゃらんのポイント10倍キャンペーンを使って実質1万円ってなところでした。