花の房総半島に3つのガラ権を訪ねて

「会員制ホテル今昔物語」は、35年に渡ってリゾート会員権についてウォッチされているzukisansuさんによる連載です。日本で独自の発展を遂げたリゾート会員権、すなわち「ガラ権」の歴史をたどることで、日本的文化とは何か、日本人とは何かを、過去に学び未来を見通す―そんな奥行きのある連載として、僕から特別にお願いし、zukisansuさんにしか語れないこのテーマでご執筆いただく運びとなりました。どうぞご期待ください。(企画・制作:resortboy)

各地で桜が開花となり、春の行楽シーズンたけなわ。お出かけにベストシーズンの到来です。筆者は前回に続いて房総半島の先端部を行き来しながら、オールドガラ権の施設を3つ、押さえておきたいと思います。

房総半島には、バブルの頃に外房に作られた多数の大型リゾートマンションがあります。所々でそれらの立派な姿を目にしますが、温暖な気候やアクセスの良さから、本人が使わずとも賃貸に出したり、リタイア後の定住需要もあって活用されています。他の地域のような寂れた感じは全くなく、どれも綺麗にメンテナンスされていて気分が良いです。

分譲時と比較すれば値段はこなれていますから、地元の方が、田舎の古い戸建てよりも便利と、リゾマンに移り住む方もいらっしゃるようです。

筆者はバブルの頃、この乱立するマンション群を眺めて、特にアクティビティのない外房で将来はどうなるのだろうかと心配したものですが、それは杞憂で、この地のリゾマンのニーズには底固いものがあったようです。

お花畑の房総

これらリゾートマンションの中には、かつてガラ権が設定されていたものもありましたが、キリがありませんので、今回はホテル単独で開発された施設群を取り上げます。陽気もいいので、房総半島を南下し、先端部まで走ってみることにしましょう。

房総半島は春をいち早く告げる菜の花が、真黄色に咲き誇るので有名です。「菜の花列車」として、ローカル鉄道の小湊鉄道やいすみ鉄道がよくメディアで紹介されています 1

このエリアは気候が温暖で、田舎風情ながら色とりどりの花が咲き乱れる「房総のお花畑」が、春の観光の目玉となっています 2

筆者はまず、前回の勝浦の小高い丘の上から、市内(漁港)に出てきました。そしてそこから南下して、再び小高い場所に登れば、そこにゴルフコースを備えた広大な別荘地「勝浦東急サニーパーク 3」があります。

元々は別荘地ですが、いつのまにか普通の住民が住むニュータウンのようになっています。その名の通りの明るい雰囲気の住宅が並ぶ中、ゴルフコース 4 を見ながら、最も高い所まで登って来ました。

東急ハーヴェストクラブ勝浦

今回1つ目のご紹介は、ガラ権ファンなら誰でも聞いたことはあるだろう「東急ハーヴェストクラブ勝浦 5」です。

1989年6月開業の、初期のハーヴェストクラブです。自社の別荘地内に、リゾートマンションと一緒にホテルを造り、その別荘地の顔とすることでマンション分譲にも貢献させるという、ハーヴェストクラブが最初の蓼科からはじめた最もオーソドックスな手法で開発されたホテルです。

東急ハーヴェストクラブ勝浦は、2棟のほとんど同じに見えるリゾートマンションと並んで建設されています 6(構造的に連結はしていません)。ハーヴェスト棟はホテル客室のみですが、レストランやプールなどの共有施設は隣同士のリゾマン所有者も(一定の条件下で)利用できるはずです。

開業時には「ホテルハーヴェスト」の設定はありませんでしたが、現在は、普通に一般ホテルとしても利用できます 7

小高い場所に白亜のマンションが並び立つ姿は、周辺がすべて東急のリゾートタウンであることから、とてもゆったりしたリゾート感を醸し出しています。筆者はハーヴェストクラブ会員であった時期がありますから、地元施設として何度も利用したことがあります。どの部屋からも景色が良く、いつも快適な滞在だった、いい思い出ばかりです。

ここに行けば何かあると言った場所ではありませんが、行けばのんびり、リゾート感に浸れますので、これからも残っていく古参ガラ権施設となるでしょう。久々に訪れましたが、メインテナンスは十分です。

都心から近場だし、カジュアルでオールドな雰囲気が好きなら、パーソンチャージで気楽に行けますし、規模も98室あるので予約も苦ではないでしょう。根強い人気を保つものと思います。

ホテルグリーンプラザ鴨川

次に参りましょう。サニーパークの高台から再び海岸線に下り、南下します。

房総半島のお寺と言えば、日蓮宗のものが多数知られますが、とりわけ「誕生寺 8」は有名です。車10分程度でお寺の近くを過ぎますので訪ねてみるのも良いかもしれません。

それよりホテルだ、旅館だ、という方は、続いて、すごく立派な温泉旅館ホテルに遭遇します。鴨川グランドホテルと並ぶ房総出身の温泉旅館チェーン「ホテル三日月」のフラッグシップだった「三日月シーパークホテル安房鴨川 9」です。

そしてこの三日月を過ぎると、ガラ権施設はもうすぐ。さっそく「ホテルグリーンプラザ鴨川 10」に着きました。

安達事業グループの「エメラルドグリーンクラブ 11」の歴史あるガラ権施設です。安達事業グループについてはこれまでも書きましたように、北軽井沢などの巨大施設を取り上げる際に詳しく書くつもりです。今回も通り過ぎるだけですが、この鴨川は同クラブの中でも古い施設ながら、海鮮レストランに定評があるようです。

歴史を紐解きますと、1981年8月に「ホテルグリーンプラザ小湊」(正確には鴨川エリアでなく安房小湊エリアにあるため)として62室で開業。その後、2008年に「鴨川」と名称変更しています。

安達事業グループのリゾートクラブは現在、ホテルグリーンプラザの6ホテルまで絞って、「エメラルドグリーンクラブ」「日本オーナーズクラブ」を一体として運営している模様です 12

白浜京成ホテル

さて、最後が今回のメインと言える話題です。筆者は安房鴨川市を一気に通り抜け、房総半島の先端に向かいます。道は空いていて、海岸線ドライブは快適です。走ること、約1時間。

たどり着いたそこは、房総半島の完全に先端。現「白浜オーシャンリゾート 13」が目指すガラ権施設です。

このホテル、一般ホテルからガラ権施設へ、そしてガラ権施設でありながら一般ホテルでもあるという、運営が4回変わったという長い歴史を経ながらも、現在も健在であるヒストリックホテルです。ぜひ、ガラ権ファンの皆さまにも一度ご利用いただきたいものです。

房総半島最先端に建つこの歴史的ホテルは、何度もリニューアルはされていますが、建て替え等がないホテルとして、現存する最古のものの一つです。開業は実に60年前。1965年6月に「白浜京成ホテル」としてオープンしました 14

京成とは、言うまでもなく東京・上野から千葉・成田方面を結ぶ大手私鉄の1つです。同社はホテル事業を早くから手がけましたが、なぜか千葉や茨城といった不人気エリアの開発ばかりで、ほとんど成功しないままに事業を収束させました。

このため、バブル到来を待たずして1986年7月に一度閉館。そして継承したのが、那須や白河エリアで別荘地開発とリゾート会員権で名を馳せた「葵地所」でした。

リゾートイン白浜

築20年程度を経たホテルはまだ全く問題ありませんので、すぐに1987年から葵地所の「リゾートイン白浜」として再出発します。4階建て52室と小振りですが、全室オーシャンビューの白亜の建物でした。

この葵地所は日本リゾートクラブ協会に加盟しており、リゾネットで安価に利用できたため、ガラ権好きの筆者も利用したことがありました。立地が良いために人気があり、予約が大変だった記憶があります。

この葵地所についても、本拠地の那須を書く時に詳述します。

さて、葵は倒産して2006年からシティバンク系の「ナクアリゾーツクラブ」に変わりましたが、リゾートイン白浜はそのまま継承されました。

そしてナクアリゾーツクラブは2016年に、外資のフォートレスに資本が移り、マイステイズ・ホテル・マネジメントの傘下に加わるのですが、シティバンク系時代にはいくつかあった同クラブの施設は、現在は本拠地の「エピナール那須」と、このリゾートイン白浜のわずか2施設だけの運用となってしまいました 15

白浜オーシャンリゾート

こうして60年に渡り、運営や資本が変わるごとにリニューアルを施し、子供に優しい宿、ペットを同伴できる宿として愛されつつ、今日に至っているホテルなのです。2017年に現在の「白浜オーシャンリゾート」に名称変更されました 16。しかし、名前が変更されて8年も経つ今でも、旧名称が併記されることが多いです。

それほど、「リゾートイン白浜」は房総半島では有名だったのです。

この記事のためにホテルと再会した筆者は驚きました。3,000坪のオーシャンフロントに建つ本施設は、びっくりするほどきれいに、濃紺と白のコントラストで見事に化粧直しされ、60年もの時を全く感じさせない立派なリゾートホテルであったからです。

夏場の繁忙期ではない時期でしたが、にぎわっていた本ホテル。60歳の還暦を今年迎え、現存する日本最古のガラ権施設であるどころか、100歳までも生きていけるのではないかと、その歴史的たくましさに感動を覚えたのでした。


  1. 菜の花/小湊鐵道沿線|イベント|千葉県公式観光サイト ちば観光ナビ
    菜の花/いすみ鉄道株式会社|イベント|千葉県公式観光サイト ちば観光ナビ ↩︎

  2. 南房総ベーシックガイド - 南房総観光ナビ ↩︎

  3. 【公式】勝浦東急サニーパーク | 自然の中で楽しむ | 千葉県勝浦市 ↩︎

  4. 勝浦東急ゴルフコース|東急ゴルフリゾート 公式ウェブサイト ↩︎

  5. 勝浦│東急ハーヴェストクラブ -TOKYU Harvest Club- ↩︎

  6. 東急勝浦スカイタワーI及びII ↩︎

  7. 【公式】ホテルハーヴェスト勝浦 ↩︎

  8. 千葉県鴨川市 大本山小湊誕生寺 公式サイト ↩︎

  9. 現在はホテルマネージメントインターナショナル(HMI)傘下
    三日月シーパークホテル安房鴨川【公式】
    勝浦スパホテル三日月と鴨川スパホテル三日月事業承継のお知らせ | ホテルマネージメントインターナショナル株式会社のプレスリリース ↩︎

  10. ホテルグリーンプラザ鴨川【公式】 ↩︎

  11. エメラルドグリーンクラブ ↩︎

  12. 安達事業グループの連続大型倒産 | ホテルグリーンプラザ – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究 ↩︎

  13. 【公式】白浜オーシャンリゾート|南房総の宿泊、温泉、観光にはバスも便利。ペットと泊まれる宿 ペットルームも ↩︎

  14. 京成ホテル - Wikipedia ↩︎

  15. ナクアリゾーツクラブは現在、「エピナールリゾートクラブ」
    白浜オーシャンリゾート施設概要|メンバーの皆様へ|リゾート会員権で楽しむ最高品質のリゾート「エピナールリゾートクラブ」<公式> ↩︎

  16. グループ・ファミリー向け客室を拡充、 展望風呂付き客室の新設も! 『白浜オーシャンリゾート』7月12日リブランドオープン | 株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント ↩︎

文・撮影:zukisansu、企画・考証・制作:resortboy。バックナンバーはこちら

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