前回は、名古屋の地場リゾートクラブの代表格「オテル・ド・マロニエ」の3施設を、岐阜・愛知・三重の順にご案内しました。これらの健在さを確認した筆者は、安心して千葉の自宅に帰り、次なる旅の準備に入ることにします。次の目的地は本連載シーズン2のメインテーマである「ガラ権の源流」であり、準備にも気合が入ります。
次は本格的な旅になるかと思うと、めったに来ないこの東海エリアでもう少しガラ権の世界を楽しみたいと、欲張った気持ちになります。帰宅ルートの選定として、名古屋から羽田に飛んで帰ることとし、この日の夜便でセントレアから帰宅することとしました。
夜の便まではたっぷり時間があります。マロニエのぴんころ地蔵から元気をもらった筆者は、この夜までの時間を最大限活用すべく、まだ見ぬガラ権施設を追って三重は湯の山から、名古屋を中心に南西部を環状に大周回してセントレアを目指すこととしました。
ゆせんの里
早速出発です。湯の山温泉を後にした筆者は、そこからほぼまっすぐ北上し、再び前回の「マロニエ街道」の始点であった下呂温泉を擁する岐阜県に向かいます。
湯の山から約1時間のドライブで辿り着いた岐阜の西で見たのは「養老温泉 ゆせんの里 ホテルなでしこ 1」。知る人ぞ知る、単独施設ガラ権でした。
古くからのエクシブ会員の方であれば、その昔、RCIジャパンがあったころに毎年送られて来ていた小冊子「エンドレス・バケーション」の愛読者であった方もおられるでしょう 2。そんな方ならきっとご記憶があるはずの、マニアックなガラ権であります。
超マニアを自負する筆者にしても、こちらに関しては予備知識がほとんどなく、失礼ながら廃れた雰囲気となっているかも、と覚悟して向かったわけですが、あにはからんや全く逆。さすが養老温泉の名前にふさわしく、元気に大繁盛であったのでした。
エンドレス・バケーション
とかく、施設名やクラブ名に高級感ただようネーミングが使われるガラ権ですが、本施設は妙に田舎風味ののどかな名称で、逆に筆者の脳裏に長く刻み込まれるものでした。筆者の自宅からは非常に遠く、これまで訪問機会がありませんでしたが、今回ようやく、長年の訪問願望が叶うこととなりました。
筆者の手元には、そのエンドレス・バケーション、2005年冬号があります 3。この冊子の冒頭、開業したばかりのニューフェースとして6ページにも渡って紹介されています。記事にある施設名称は「養老蒸幕ゆせんの里・ホテルdeナデシコ(Hotel de Nadeshiko)」となっていました。
本施設は、愛知県豊田市に本拠を置く土木建築業、藤本建設 4 が造ったもので、子会社である創建ライフ(旧名 ナチュラル・リゾート)が一貫して営業しています。創業以来、経営は変わらず、破綻経験のないガラ権であり、現在も会員を募集しています 5。
コンセプトは、天然温泉、身体によい食事、適度な運動の3本柱で、各種セラピーメニューが充実しています。親会社が建築業だけあってメンテナンスが良いのか、20年を経た施設はピカピカに見えました。一般ホテルや日帰り温泉として開放もされていますので、地元の方々を中心に、これからも長寿のリゾートとなって生きていくことでしょう。
人生劇場
生存確認どころかバリバリの現役施設であったゆせんの里を後にして、筆者は次なるガラ権の確認に向けて走ります。その道は、名古屋の中心部を避け、外周を三河湾に向かう環状線でありました。
走ること約2時間。たどり着いた次なるガラ権施設は、東海エリアにお住いならご存知のはずの「三河湾リゾートリンクス 6」です。筆者の知るところとなったのは、やはりここもRCIジャパン加盟の施設だったことによります
本ホテルは海辺に建つ大型施設で、筆者は難なく走り着くことができました。そのゴール直前、道路が分岐するカーブした場所で、尾崎士郎の「人生劇場の碑 7」を示す看板を目にしました。
石碑を見るための駐車スペースも用意されていましたので、筆者はこの碑を拝んでからホテルに向かうこととしました。なんということでしょう。ガラ権を見て歩いて「人生劇場」の碑に出会うとは。
感激した筆者はさっそく車を停め、石碑に至る石段を登りました。石碑は高台にあって三河湾を望めます。ガラ権ファンの皆さまでこちらを訪ねることがありましたら、ホテルのすぐ近くですし、ぜひ行って見てください。筆者と同様にガラ権人生を振り返り、感慨に耽ることができるでしょう。
三河湾リゾートリンクス
この三河湾リゾートリンクスは、愛知県岡崎市に本拠を置くフジケングループが開発販売した会員制リゾートホテルで 8、クラブとしてはここだけの単拠点です。1991年8月の開業で、ホテル146室を会員制として分譲し、これに分譲リゾートマンション72室、分譲コンドミニアム42室の合計260室という、超大型施設でした 9。エクシブ以上の規模ですから、当然、付帯施設も充実しています。
フジケンの本業がしっかりしていることもあるでしょうが、時代の趨勢を見極めたうえで、同社は施設展開に拡大路線を取りませんでした。無理をせず堅実にクラブを維持してきたため、現在まで全く問題なく、普通に営業されてきました。
このホテルに関しては、あにはからんや、resortboyさんも気になっておられたようで、昨年と今年、数次に渡って実際に宿泊され、大変お気に入りのホテルであると聞いています。そんなわけで、このホテルの詳しい施設レポートは氏にお任せしようと思います 10。
駒ヶ根高原リゾートリンクス
先に、フジケンがバブル期移行に会員制ホテル運営でおいて無理をしなかった、と書きました。同社は宿泊業に興味を持っていて、他にリゾートホテル、温泉旅館 11、ビジネスホテル 12 をいくつか経営しています。しかしそれらは一般宿泊施設として営業しており、会員制を組み入れてはいないのです。
そうした一般施設のうち、同社としては会員制とする計画があったと当時の雑誌に記録が残っているのが、信州は駒ヶ根高原の「駒ヶ根高原リゾートリンクス 13」です。
海のリゾートである三河湾リゾートリンクスとシリーズとしての同ブランドを名乗りながら、こちらは風格ある高原リゾートです。
筆者はこの東海の旅とは別の機会にこの駒ヶ根を訪れたことがあります。とても素敵なリゾートホテルでした。
このようにフジケングループの宿泊業は一度の破綻もなく、ノウハウを蓄積しながら現在も継続中です。ガラ権である三河湾リゾートリンクスの会員募集は現在も行われており 14、この後も元気に生き残るものと思われます。
旅館RCI
こうして三河湾まで来た筆者でしたが、夜の飛行機まではまだ時間の余裕がありますので、もう少し西に向かってみました。
かつてのRCIジャパンは、世界的にはタイムシェアとは認められないような施設でも、日本独自の基準で加盟リゾートを増やしていた時期がありました。この三河湾の西浦海岸沿いにもそんな特殊なRCI加盟施設がありました。
「三河湾メンバーズ倶楽部」を称する旅館「みかわ温泉 海遊亭 15」がそれです。現在は普通の温泉旅館として盛業中でした。前回訪れた知多半島の内海海岸にも同様のパターンで「粛 海風 16」というRCI加盟の旅館がありました(今もあります)。
こうして、かつてのRCI加盟旅館への郷愁に誘われるまま、西浦温泉街まで来ました 17。西浦温泉はご多分に漏れず、「東海の熱海」として栄えたかつての面影はなく、温泉の湧出も途絶え、運び湯でやりくりするという状況でした。前回の湯の山温泉もそうでしたが、東海エリアでも需要の消えた温泉旅館街の行く末は、厳しいとしか言いようがありません。
日本の中心で、ガラ権愛をさけぶ
天気が良かったこの日、西浦海岸線の突端まで行って引き返そうと進みますと、凄く綺麗に整備された海浜公園「西浦パームビーチ 18」に到達しました。ほとんど人はおらず、素晴らしい公園と眺望を筆者は独り占めです。ここまで来て良かったなと思える瞬間でした。
しばし、この旅で見たガラ権の数々を思い出し、キラキラ光る海に見とれていたら、なぜか涙腺が緩くなりました。
確かに今の時代に会員制によるホテル開発は時代遅れです。しかし、それぞれの施設の会員やファンのニーズに応えれば、まだまだ健在である施設がこんなにある。この東海ツアーは、実際にそれを確認してきた旅でした。
愛すべきガラ権。老舗ながら今も業態を変化させながらガリバーとして君臨するのは、このエリアが本拠地であるリゾートトラストです。その東海エリアで感涙にむせぶ筆者は、自分はガラ権が好きなんだと心から再認識し、「日本の中心で、ガラ権愛をさけぶ」こととなりました。そしてこの西浦パームビーチは、それにふさわしい場所でした。
現在、会員制リゾートでまともに新規施設を作れるのは、リゾートトラストと東急不動産だけになりました。その他は、この産業が産声を上げた5~60年前に戻ったかのように、小粒の共有別荘が数多く生まれているだけです。
そんな中、グレーター名古屋に点在する古くからのガラ権施設は、「どっこい生きている」。この地には、味気ない都会(東京・大阪)の気質に染まらない田舎風情が残っていて、ガラ権を愛する独特の風土の下で、しぶとい人生劇場が今も演じ続けられています。
セントレア
そろそろセントレアに向かう時間になりました。ガラ権旅の終わりはたいてい、時代の変化にさびしい気持ちになるものですが、この時に限っては違いました。
この旅で見た東海エリアのガラ権施設たちはしぶとく生き残っていましたし、その原動力となったのは、広い客室と、きっちりとコストをかけ丈夫で長持ちするハードウェアを作った、会員制による分譲という仕組みそのものが幸いしていたのだと思えたからです。
こうして西浦海岸から走ること約1時間。夜9時発、羽田10時到着のJAL便まで、筆者はリゾートトラスト会員特典の空港ラウンジでのんびり過ごし、無事に帰宅しました。
次回からはいよいよ、「大源流」の一つである、北軽・嬬恋・草津エリアについて、長期の連載がスタートします。
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RCIジャパンについては、親会社であったリゾートトラストの契約変更(本連載チームではこれは契約違反であると認識)を含めて多くの事件・議論がある。本サイトにおいても大量の記事があるが、ここでは本連載でRCIについて取り上げた以下の記事を示すのみとする。
・RCI本部 | ガラ権語り部が、世界組織「RCI」を訪ねて思うこと | 会員制ホテル今昔物語 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究 ↩︎ -
藤本建設の社史によればこのホテルの開業は1999年。その後、2004年後半の段階でRCI加盟などのテコ入れが行われたのは、名古屋のリゾート会員権事業者「N.F.C」がこの段階で関与したためだと思われる。
・会社案内|株式会社 N.F.C ↩︎ -
もともとはバブル絶頂期に藤本建設が、養老郡養老町で大規模複合リゾート開発「リゾートシティ・ヨーローバカンザ」を行うために設立した「養老温泉リゾート開発」がここにツインタワーホテルを建て、ナゴヤキャッスルを誘致する計画を実行しようとしていた。しかし地元の反対にあって中止となり、現在のゆせんの里の計画に変更された。
・養老温泉リゾート開発、ツインタワーホテルなど建設 | NIKKEI COMPASS - 日本経済新聞
・会社案内|愛知県豊田市の藤本建設 ↩︎ -
ホテル会員権というよりもむしろ、「日帰り温泉会員権」であって、他のガラ権とは一線を画するユニークなものである。
・ゆせんの里 | 岐阜養老温泉~天然温泉ホテルと日帰り温泉~汗蒸幕・岩盤浴・露天風呂 ↩︎ -
会員権としては、1室を12分割し、146室に21ものルームタイプを設定した。多彩なルームタイプや利用日の保証など、システムにはエクシブの影響が大きく、大成功したエクシブの仕組みをより改良しようとした取り組みであったと言える。当初の募集価格は1口500万程度と、エクシブよりも安く設定されていた。 ↩︎
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resortboyはこのホテルが好きすぎて、何から書いてよいのかよくわからずにいる。ここでは朝食ブッフェについて触れた以下の記事を紹介するのみとしておく。
・三河湾リゾートリンクスの朝食ブッフェ | あるある名古屋 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究 ↩︎ -
雄大な自然と料理に癒される杜の宿 季澄香 トキスミカ 公式サイト雄大な自然と料理に癒される杜の宿 季澄香 トキスミカ 公式サイト ↩︎
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【公式】ホテル 駒ヶ根高原リゾートリンクス – アクセス良好!中央自動車道駒ヶ根インターより車で約3分!インターから全く山道を走ることなく到着できます。自然あふれる抜群の立地に佇む欧風リゾートホテルです。 ↩︎
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現在は預託金制として新規入会を受け付けている。
・【公式】三河湾 リゾートリンクス ↩︎













三河湾リゾートリンクスは現在もRCIに加入しています。
ということは、
この三河湾リゾートリンクス会員権を購入すれば
国内・海外RCI加入施設の交換利用が現在でも可能です。
現在、海外ホテルの高騰は国内のそれ以上ですから、
三河湾リゾートリンクス会員権権利で
安く海外RCI加入のリゾート施設を利用できます。
これは一種の「裁定取引:アービトラージ」ですよ。