いま、リゾート会員権は建築費の高騰で不遇の時代を迎えようとしています。戸建て別荘的なものに誘導されているように見えるのはその現れの一端であり、トレンドのもう一端は「ペイバック(配当)」です。前者は建築費を抑えるためであり、後者は必要のない人に売るためです。
研究家として、こうしたトレンドを押さえてこのサイトで記事を発表しようと考えています。その考察は過去と現在、リゾートと都市、実需と投資をミックスした立体的なものとして取り扱う必要があり、この話題だけで大事業ですが、ひとまずできる範囲で研究メモを発表していきます。
まずは、都市における代表的なホテル分譲の事例について、東京と名古屋について事例を調査しています。続いて、リゾート会員権におけるペイバックの歴史にも踏み込んでいきますが、それは「今昔物語」の連載枠とFANBOXを併用して行っていきます。
1985年、投資目的のホテル分譲
今日の舞台は東京新宿。時は1985年です。2024年の僕は、新宿三井ビルディング二号館の地下「天津飯店」に来ました。
ここは以下のような個室があり、密談に便利な、まぁまぁの中華料理店です。あまり美味しいとは思いません。ファンサで「翆陽の方が2倍うまい」と言っておきましょう。
ここで食事をしながら下取材をして、現場に乗り込んでいきたいと思いますが、この中華料理屋があるビルは、以下のような場所にあります。
甲州街道に面しているビルですが、実際には、その背後にある新宿ワシントンホテル本館と同時にできた建物です。上記のGoogleマップでピンが立っているのはワシントンホテルですが、まるで新宿三井ビルディング二号館を指しているように見えますが、これらの建物は同じ街区の再開発の産物だったのです。
興味のある方は、Wikipediaをご覧ください。
新宿ワシントンホテル新館
記事の主題である投資・配当に関して、主人公になるのはワシントンホテルの本館(1983年。新宿三井ビルディング二号館も同じ)ではなく、1986年にこれら西側に建設された「新宿ワシントンホテル新館」です。
これら3つの建物の関係は以下のようになります(画像出典:藤田観光)。
上記のWikipedia記事によると、ホテル分譲について以下のように書かれています。
パートナーズシステムを導入し、投資システムの新分野を切り開いた。客室一室相当分を一口として所有するこの新・共有制オーナーズホテルは、一室独立の所有権ではなく室料売上の43%がオーナーに還元されるという新システムの第一弾だった。
これは間違ってはいないのですが、僕としてはやや意味が不明でした。ちょっと正確な意味がわからないところがあります。
・客室一室相当分を一口として所有する
・新・共有制オーナーズホテル
・一室独立の所有権ではなく
・新システム
なにやら、当時の記事には「画期的な新システムだ」と書かれていて、そこの表現を写したのでしょう。「??」と僕の頭にはてなマークが飛び交いまして、調査をしてみることにしたのです。所有権ではなく、預託金制なの?という読み方も、会員権フリーク的にはできるのですが、実際は共有持分権でした。
3,500万で飛ぶように
結果、販売を手掛けた住友信託銀行不動産業務部の直々の資料を入手することができました。長くなるので次回、その全容をつまびらかにしたいと思います。
ちなみに1985年の販売時の価格は3,500万円です。この新宿のホテル分譲は飛ぶように売れますが、その後は土地が高くなりすぎて、どんどん地方に出ていきます。ワシントンホテルも千葉や秋田などで同様の分譲を展開します。
こうしたホテル分譲は、当時ブームとなりました。僕の過去記事では、高野敏男商店のシャトレーインについて、リゾートトラストの話も交えて書いたことがあります。リゾートトラストがこうした分譲ホテルを手掛けるためのブランドこそが、「信託」の名を込めた「ホテルトラスティ」だったわけです。
というわけで、続きます。



