タイムシェア購入の思い出とアメリカでのクリスマス

「会員制ホテル今昔物語」は、35年に渡ってリゾート会員権についてウォッチされているzukisansuさんによる連載です。日本で独自の発展を遂げたリゾート会員権、すなわち「ガラ権」の歴史をたどることで、日本的文化とは何か、日本人とは何かを、過去に学び未来を見通す―そんな奥行きのある連載として、僕から特別にお願いし、zukisansuさんにしか語れないこのテーマでご執筆いただく運びとなりました。どうぞご期待ください。(企画・制作:resortboy)

今年も残すところ、あとわずかとなりました。私にとっては、resortboyさんといつかガラ権の歴史を書き残そうと、15~6年以上も前から折りに触れて話してきたことを、この連載という形でスタートさせることができた、良い年の暮れになりました。

連載は飛騨高山からスタートして北陸を回り、福井に達したところで、「見て歩き」はいったん年越しのため(?)東京に戻ることにして、年明けからはそのお隣、若狭湾エリアに出て行きます。今回は番外編としてガラ権から離れ、本場メジャーリーグの話をしたいと思います。

1995年クリスマス

ウェスティン・マウイ

私はリゾート会員権が好きで、ガラ権を35年も追っかけていますが、当然の流れとして、海外のリゾート会員権はどうなっているのかと妄想は膨らみ、1995年頃から本格的に調べはじめました。そして2000年に、ハワイのマウイ島に建設中のウェスティン・カアナパリ・ヴィラのタイムシェアを購入しました 1

きっかけは1995年のクリスマスでした。私は家族旅行で、ウェスティン・マウイというホテルに泊まって、プールサイドのデッキチェアに寝そべり、子供がウォータースライダーで遊んでいるのを見守りながら、お酒を飲んでいました 2

「赤い鼻のトナカイ」などのクリスマスソングをアレンジした、ウクレレのバンド演奏がトロピカルカクテル越しに流れる中、私は、「ああ、ここは天国だな」と思ったのでした。

当時の日本では、海外タイムシェアの販売は正式には開始していませんでしたが、代理店的な業者からのニュースで、マウイのカアナパリビーチにウェスティンが大規模タイムシェアを開発すると聞き、現地販売事務所開設と同時にメールで問い合わせました。すると日本語で国際電話がかかってきて、もう即決で購入したのです。

この物件はたちどころに完売し、続いてお隣にノース棟ができました。フェーズ8まで企画されていましたが、なぜかノース棟 3 までで止まったままです。

アメリカ本土タイムシェアの世界

その購入したウェスティン・バケーション・クラブ 4 は、20年の歳月を経て、今はマリオット・バケーション・クラブの一員になっているわけですが 5、アメリカ好きの私の旅の楽しみを拡げてくれていて、かなり良い買い物だったと思っています。

タイムシェアの購入は一般に「負動産」的に評されるのは認めますので、誰にもお薦めできる会員権とは言えません。しかし、使い方を猛勉強して習得できれば、特にアメリカ本土では、高い管理コストを十分上回る満足が得られると思います。

とはいえ、この度のコロナ禍には困りました。鎖国で2年足止めを食らい、権利利用の猶予も得られず、昨年暮れには暦年のポイント(3年先まで延長可能)が失効しそうになっていたところ、ようやくギリギリセーフで渡航出来まして、失効前の年末利用となりました。その結果、期せずして人生初の「アメリカ本土タイムシェアで過ごすクリスマス」が実現しました。

クラブ施設は全米に散らばっていますが、クリスマスシーズンのアメリカ本土は厳しい冬の季節です。私の旅の楽しみは国内外問わずドライブ周遊がメインとあって、気候面からアリゾナ州とカリフォルニア州南部のみが選択肢となりました。

そして2022年のクリスマスイブは、アリゾナ州フェニックスの郊外、スコッツデール 6 にて「きよしこの夜(Silent night)」。明けてクリスマス当日は、カリフォルニア州パームスプリングス 7 の郊外、パームデザートにて安息しました。

この両ホテル間はクルマで約5時間ですが、無料の高速道路を快走できるアメリカでのドライブでは楽勝です 8 。快晴無風の天気の中、途中に砂漠のジョシュアツリー国立公園観光 9 も入れて、素晴らしいクリスマスギフト・ドライブとなりました。

2022年クリスマスイブ

アリゾナ州スコッツデール ウェスティン・キアランドヴィラズ

フェニックスは、アメリカ本土、西海岸エリアで、大都市、大空港のある町なのに、日本からのアクセスにはやや難があります。ですが、訪問5回、約30日滞在した私の経験から、全米最高クラスのリゾートであると断言できます。

フェニックス郊外スコッツデールは、天候も安定し、治安が良く、かつ高級感あふれるモダンな場所であり、アメリカ本土の最初の滞在地とするにも最適です。ここを拠点に、北上してセドナからグランドサークルに行くもよし、南に走って砂漠地帯でサボテンに囲まれるもよし。

スコッツデールのマリオット・バケーション・クラブ施設は、ウェスティンブランドのキアランド 10、シェラトンブランドのデザートオアシス 11 があり、どちらも良いですが、規模が大きく新しいキアランドがやや人気が高いです。

この施設の訪問は3度目、広大なエリア(ホテル・ゴルフコース・コンドミニアム)にも慣れました。なお、シェラトン・デザートオアシスは、コンドミニアム単独施設です。

2022年クリスマス

カリフォルニア州パームデザート ウェスティン・デザートウィローヴィラズ

パームスプリングスは、ロサンゼルスの喧騒を離れ、治安も良く雄大な景色に目を見張らせられる、まさに砂漠のオアシスです。一流のゴルフ場が並ぶスポーツリゾートのイメージも感じますが、それだけではありません。

日本から最もアクセスの優れるロサンゼルスから、空港混雑や道路渋滞はあるにせよ、市街地を抜ければその後は車で約2時間。アメリカ本土で最も近い高級リゾートとなります。

ここを拠点とすれば、混み合うロサンゼルスからでなく、快適なドライブで西海岸最南の魅力的なビーチや大都市サンディエゴに行くもよし、前述の砂漠地帯を巡りジョシュアツリー国立公園に行くもよし、動きたくなければパームスプリングス自体で世界最大級の回転ゴンドラリフト 12 から驚異の景色を楽しめる山岳ハイキングで過ごすこともできます。

マリオット・バケーション・クラブ施設は、ウェスティン・ミッションヒルズ・リゾートヴィラズ 13 と、ウェスティン・デザートウィローヴィラズ 14 から選べます。甲乙つけ難いものの、過去に泊まり比べた経験から、やや新しいデザートウィロウをクリスマス滞在に選びました。いずれの施設も、ホテルやゴルフコースは併設せず、コンドミニアム単独開発です。

今回はガラ権連載をお休みして、会員権本場タイムシェア購入の思い出話と、昨年のクリスマス滞在、そしてタイムシェア利用のアメリカ本土滞在の楽しみ方の一端を書かせてもらいました。

アメリカのクリスマスは、日本の宗教色のないイベントとは異なり、聖なる静かな休日です。新年も、日本の大晦日と正月という伝統儀式ではない、新年カウントダウンの花火が打ち上がるだけの、普通の日常だったりします。

人の動きも少ないことから飛行機には空席が目立ち、ホテルには空室がたくさんあります。冬至を挟んだ前後の2か月は最もオフシーズンですが、混んだ日本を脱出し、アメリカ本土リゾート(南部に限る)の滞在型旅行には、意外に良い時期とも言えます。検討対象に入れてみてはいかがでしょうか。

来週は休載し、次回は年が明けてからとなります。皆さま、楽しいクリスマスの後は、何かと忙しい年末を乗り切り、どうぞ素晴らしい新年をお迎えください。


  1. ウェスティン・カアナパリ・オーシャンリゾートヴィラズ(マリオット・バケーション・クラブ・インターナショナル) ↩︎

  2. ウェスティン・マウイ・リゾート&スパ,カアナパリ(マリオット・インターナショナル) ↩︎

  3. ウェスティン・カアナパリ・オーシャンリゾートヴィラズ・ノース(マリオット・バケーション・クラブ・インターナショナル) ↩︎

  4. Westin Vacation Club | The Marriott Vacation Clubs(Marriott Vacation Club International) ↩︎

  5. Timeshare Vacation Club Brands | The Marriott Vacation Clubs(Marriott Vacation Club International) ↩︎

  6. アリゾナ州スコッツデールの旅行 – 高級スパなど(アメリカのオフィシャルトラベルサイト GoUSA.jp) ↩︎

  7. カリフォルニア州パームスプリングス:モダニズムの魅力とエキサイティングなアウトドアアクティビティ(アメリカのオフィシャルトラベルサイト GoUSA.jp) ↩︎

  8. 砂漠のロードトリップ - フェニックスからパームスプリングスまで、美食を堪能(アメリカのオフィシャルトラベルサイト GoUSA.jp) ↩︎

  9. ジョシュアツリー国立公園での楽しみ方 | Visit California(カリフォルニア観光局 Visit California) ↩︎

  10. ウェスティン・キアランドヴィラズ(マリオット・バケーション・クラブ・インターナショナル) ↩︎

  11. シェラトン・デザートオアシス(マリオット・バケーション・クラブ・インターナショナル) ↩︎

  12. パームスプリングスエアリアルトラムウェイ ↩︎

  13. ウェスティン・ミッションヒルズ・リゾートヴィラズ, パームスプリングス(マリオット・バケーション・クラブ・インターナショナル) ↩︎

  14. ウェスティン・デザートウィローヴィラズ・パームデザート(マリオット・バケーション・クラブ・インターナショナル) ↩︎

文・撮影:zukisansu、企画・考証・制作:resortboy。バックナンバーはこちら

3 comments

  1. zukisansuさん、本格的なアメリカのタイムシェアリゾートの報告ありがとうございました。楽しく読ませて頂きました。

    偶然ですが、私は2012年1月「ハワイ4島周遊クルーズ」でマウイ島を訪れ、ラハイナ観光のあと、カアナパリにある高級ホテル「ウェスティン・マウイ・リゾート& スパ」に施設見学&ランチに行きました。

    以下、私の著書『夢の豪華客船クルーズの旅』より一部抜粋。
    「広大なゴルフ場を抜けてロビーに入ると、そこは現代の楽園でした。ラグーンを模した池に滝が流れ落ち、フラミンゴが遊ぶ。流れるような外観のホテル棟とガーデンプールはいかにもリゾートらしい。冬とは思えない暖かさなので、プールで泳ぎ、チェアーに寝転がって常夏のリゾートが満喫できます。プールサイドを通り抜けるとビーチに出ます。ウェスティン・マウイの隣にある高級コンドミニアムも良さそうです。キッチン付きのコンドミニアムなので1週間くらい滞在してみたい。私は見知らぬ外国に来るとすぐ盛り上がります。」

    zukisansuさんは既に、このコンドミニアムのオーナーだったのですね。驚きと同時に、会員権購入理由に納得しました。

  2. funasanさん、

    コメントありがとうございます。
    ハワイクルーズの旅でマウイ島に停泊され、ウェスティン・マウイ(ホテル)を訪問
    されたことについては、読ませていただいておりました。

    ハワイの主要4島(オアフ・マウイ・ハワイ・カウアイ)は、隣接して列島を
    成しているにも関わらず、それぞれにかなり違う良さを持っていて、
    日本・アメリカ本土のみならず世界中の人々が、それぞれの好みに合う島を見つけられ、
    何度も通うようになる魅力的なリゾートですね。

    私の場合は、マウイ島が一番気に入り、それもラハイナ近辺が最高だと思いまして、
    すぐ北側のカアナパリ・ビーチ(最も長い砂浜)を調べて見ましたが、一流ブランドホテルが勢ぞろいする中で、直感的に?ウェスティン・マウイの落ち着いた雰囲気が気に入り、
    数日滞在しました。まさに書いておられる通りのリゾート、「現代の楽園」でした。

    北側のお隣は、ホエラーズ・ヴィレッジで買い物に便利、さらに北にはシェラトン。
    続く、ロイヤル・ラハイナ・リゾートのサンセット・ルアウは、ビーチフロントでの
    夕陽を背景とした伝統的スタイルのショーで、涙が出るほど感動しました。
    これらに、すぐに行けるタイムシェア。購入するに迷いはありませんでした。
    世界各地のリゾートの経験ある達人トラベラーのfunasanさんにご納得頂けて嬉しいです。

    ラハイナですが、残念ながら今年の山火事で壊滅的打撃を受けました。隣接である
    カアナパリエリアのホテルやコンドミニアムも多大な影響を受け、来年の管理費と
    維持費の大幅アップとなり、円安も重なって、私も打撃を受けておりますが(泣)、
    復興への応援費だと思って快く支出したところです。

    別件ですが、マウイ島には、最南のワイレアエリアの高台に、ダイヤモンド・ソサエティ系の施設の「ダイヤモンドリゾートオブハワイ」が1991年に開業していました。ハワイ唯一の日本人向け本格的滞在型リゾートホテルで、3階建て本館、18棟からなる2階建ヴィラタイプで100平米近い各部屋にはミニキッチンも付き、ハワイで初めてのクアハウス(大浴場)、オーナーラウンジ、日本食レストラン、日本庭園、植物園、果樹園、提携超一流ゴルフコースと約2万坪を贅沢に使ったユートピアとなっていました。

    もちろん?その当時の私には手が出せない会員権価格でしたので購入に至らず、幸い?無傷で済みましたが、バブル崩壊とともに会員権は消滅(会員がどう処遇されたかは不明)、ダイヤモンド・ソサエティ系の提携施設として、その後しばらく残っていた記憶があります。
    こちら、私の連載の対象外施設となるので、ここに記録させてもらいました。

    https://www.hotelwailea.com/?_ga=2.223181790.47721169.1703350013-1833295336.1703350013
    ちなみに、この施設は立派だったので、引継ぎ先もあり、大幅なリニューアルのあと、
    ホテルワイレア(Relais & Châteaux)として最高級・高評価ホテルとして現役バリバリの
    様子です。ガラ権連載を書きながら、思い出して、日本の良き時代に思いをはせています。

  3. zukisansuさん、詳しいマウイ島の報告ありがとうございました。
    ラハイナの山火事は驚きました。この火事でラハイナは壊滅的打撃を受け貴重な歴史的遺残が失われました。実際に自分の目と足でラハイナの街をくまなく探索したので残念です。この大火事で亡くなった人も大勢いました。ご冥福をお祈りします。

    実は「ダイヤモンド八ヶ岳」の会員権を買う時、マウイ島にある「ダイヤモンドリゾートオブハワイ」も利用するつもりでした。もともと私は国内・海外含めて“安くて豪華に旅する方法”を求めて早期退職したので、泉郷ベストクラブ(現セラヴィリゾート泉郷)やエクシブの海外リゾート交換RCIと同じよう「ダイヤモンドリゾートオブハワイ」も考えていました。私が会員権を購入した数年後、ダイヤモンド・ソサエティはこの超豪華なハワイの施設を売却しました。結局、宿泊せず、です。

    zukisansuさんの次の「ダイヤモンド八ヶ岳美術館ソサエティ」のコメント記事を読んで驚きました。
    「1991年6月(バブル真っ最中)開業、鹿島建設設計・施工の112室(1室18口にて2,016口の共有型)の豪華ホテルで、ルノアール・ミレー・ゴッホ・モネなどの有名絵画とアルプスの景色を楽しめ、加えて健康志向型ドイツ式クアハウスを備えるものであり、当時の募集価格は1口720万円でありました。」

    何と1口720万円の超高額リゾート会員権だったのですね。知りませんでした。そして、ダイヤモンド・ソサエティは同じく1991年ハワイ・マウイ島に進出し、ワイレアエリアの高台に「ダイヤモンドリゾートオブハワイ」を開業しました。ダイヤモンド・ソサエティは何という凄いリゾートクラブだったのでしょう。たった30年前です。このダイヤモンド八ヶ岳の会員権が今や売値1円、売主は販売手数料を払っても売却したい訳です。見事に「ガラ権」に没落しました。

    ちなみに、私がハワイクルーズに行ったのは2012年1月です。その時の為替は1ドル77円でした。10年前、日本円は強かった。クルーズ代金は「ハワイ4島周遊(7泊)」で海側バルコニー付きで1人約16万円、飛行機代金は成田・ホノルル往復(ユナイテッド航空エコノミー)で1人約11万円でした。乗船してしまえば3食とも食べ放題(クルーズ代金込)です。

    今や為替は1ドル140円~150円、世界のインフレと円安でマリオットやヒルトンという世界に展開するフルサービスの高級ホテルは価格爆上げで(私は)もう泊まれなくなってしまいました。コロナ明け、何だか日本全体がガラパゴスになってきた?そこでシニア世代、特に年金生活者の新たな戦略が必要です。私は「ガラ権」回帰にその答えがあるような気がします。

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