
大量の生野菜ジュースに救いを求める – 2
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
では栄養・代謝の乱れをどうやって治すのか? 詳しくはこの記事末尾に掲載の参考書籍を見ていただくとして、「大量の野菜ジュース」と「無塩食」がゲルソン療法の特徴です。ゲルソン博士は野菜ジュースを抗がん剤と位置付け、無農薬・有機栽培野菜を使った野菜ジュースを1日に13回(合計2~3リットル)も患者に飲ませました。
私はさっそく低速回転式ジューサーを購入して、野菜ジュースを作りはじめました。このジューサーはカッター不使用の低速スクリュー(毎分90回転)で、野菜の栄養を活きたまま絞り出せると言います。
大量の生野菜ジュースを飲む
私はすでに退職していて毎日が日曜日だったので、妻の世話にはならず自分でジュースを作りました。毎日毎日、しかも、当初(2008年から数年間)は、1日に3回、朝、昼、夜と作りました。
朝と夜は「ニンジン、りんご、レモン」のジュース、昼は「青菜、りんご、レモン」ジュースです。大量の野菜から、1回につき350mlのガラスコップ1杯のしぼりたて生ジュースを作り、できたてをすぐに飲みました。
1回につき350mlですから、1日1リットルくらいは飲んだことになります。1日1リットルの野菜ジュースは本来のゲルソン療法の半分から1/3程度ですが、それなりの効果が期待できます。私の手のひらは少し黄色くなりました。
はじめてこのジューサーでニンジンジュースを作った時の感動は忘れません。中サイズのニンジン3本を水でよく洗って細かく切り、ザルに入れます。ザルの半分くらいがニンジンで埋まります。
この固いニンジンをジューサーに入れ、低速回転のスクリューで圧搾すると、見事にだいだい色の液体が流れ落ちてきます。ニンジンの中に、よくもまあこれだけの水分が入っているものだと驚きました。
次にレモンです。よく水洗いして縦に4つ切りにし、ジューサーに入れます。りんごも同様に大きく切ってジューサーへ。搾りたての「ニンジン・レモン・りんご」ジュースを一口飲んだ時の感動も忘れられません。「美味しい~!」です。
私は朝と夜、1日2回ニンジンジュースを飲みましたので、1日にニンジン5~6本の栄養素(ビタミンやミネラル)を摂っていたことになります。ニンジンにはビタミンAになるβカロチンをはじめ、ビタミンB類、ビタミンC、ミネラルが豊富に含まれています。カロチン類は抗酸化作用を持つファイトケミカル(フィトケミカル)として知られており、がん予防の効果も期待できます。
昼は青菜中心の野菜ジュースです。はじめて「青汁」を作った時も感動しました。キャベツ、小松菜、ホウレン草、セロリ、パセリなどをしっかり水洗いし、次々にジューサーに入れていくと、青い液体が流れ落ちてきます。正真正銘の青汁です。レモンとリンゴを入れると美味しくなります。葉野菜もニンジン同様にビタミン、ミネラルの宝庫です。
その後の私のがん治療
しかし、野菜ジュース作りは非常に面倒で時間がかかります。最初は気合いを入れて1日3回作っていましたが、そのうちに1日2回になり、最後は、夜だけになりました。
夕食の時の「ニンジン、青菜(主に小松菜)、レモン、りんご」ジュースは、現在でも継続しています。2008年スタートですから、何と14年間も続いています。
この野菜ジュースは私のがん治療の「最初の一歩」に過ぎません。
何度も書きますが、私は物理出身で疑り深い人間です。確かなデータ、科学的な根拠がないと信用しません 1 。ですから「funasan流ゲルソン療法」は継続しつつ、他のがん治療もどんどん試していきました。
面白いものですね、大型書店のがんコーナーには「隠された宝物」が眠っているように感じます。私は書店巡りから、食事療法とは全く別のアプローチでがんの完治を目指すという治療法に出会いました。次回はその話です。
参考文献
最後に、今回の記事に関する参考文献を紹介します。
ガンと闘う医師のゲルソン療法 星野仁彦著、マキノ出版、1998年6月
ガン食事療法全書 マックス・ゲルソン著(今村光一訳)、徳間書店、1989年8月
(続く)
【次回】第20回・生き方そのものを変えたがん治療「福田・安保理論」 – 1
【前回】第18回・大量の生野菜ジュースに救いを求める – 1
(編集部注)「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」の著者による以下の記事によれば「ゲルソン療法ががんの進行をゆっくりにしたり、収縮させるというエビデンスはありません」とされる。(糖質制限はがんに効くのか? | 世界中の医学研究を徹底的に比較して分かった最高のがん治療 | ダイヤモンド・オンライン) ↩︎
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
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(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」