ディナーチョイスプランをめぐる冒険 – 2

今回は、僕がディナーチョイスプランの適用を断られた状況について、プラン説明の内容とともに検証します。結果的に、リゾートトラストの案内は不正確で、一般的な語義を外れている印象を持ちました。

まず、このプランのルールの確認です。価格やプランの適用日はホテル別に異なりますが、以下で取り上げる基本的なルールについておそらくはホテルごとの違いはなく、統一されていると思います(突き合わせて確認するまでのことはしていません)。

客室料金と朝食のセットプラン

プラン料金は1泊朝食のもので、コース夕食(アラカルトは対象外、ブッフェは対象)を別料金で組み合わせることができる(=組み合わせることが条件)、というのが基本的な考え方です。

会員本人だと1名利用が可能

今回の記事で焦点となる部分です。このプランはオールドエクシブの場合、2名以上の利用が前提ですが、例外的に「会員本人」だと1名利用が可能になるのです。

この場合の「会員本人」とは、エクシブオーナー(配偶者などのオーナー対応者1名を含む2名)、ベイコート倶楽部メンバー(12泊の場合2名、24泊の場合4名)、サンクチュアリコートメンバー(10泊タイプは2名、20泊タイプは4名)、サンメンバーズメンバー(本人のみ1名)です。

このように、「会員本人」の定義については、見解の相違は起きえません。 

歴史的経緯について

前回、離宮シリーズなどではディナーチョイスプランに1名利用が設定されていて、「別にお得ではない」ことを示しました。逆に、オールドエクシブで2名料金で1名利用できる(=お得である)理由は何でしょうか?

それはかつてあった「ルームチャージ差額」という制度の名残りです。少し長くなりますが、なぜこのような制度があるのかを理解する上で重要ですので、お付き合いください。

以下の記事でも多少触れていますが、数年前までの長い間、エクシブのプラン料金は一般に「一本値」で、利用する客室タイプと人数によって「差額」を支払うという考え方でした。

メリットが消えてゆく

それは、エクシブがパーソンチャージ(1人ごとの積み上げ料金制)でスタートしたことに由来します。それが段階的にルームチャージ(1部屋ごとの料金制)に移行したため、「定員に足りない」という概念が生まれ、「その不足人数分を差額調整する」という考え方が登場したのです。

結果として長い間、オーナーならばスタンダードグレードのお部屋を差額なしに、宿泊プランのお得な料金で利用できました(ただし、後年には1名利用を不可とするプランが現れ、徐々に「改悪」が進みました)。それが2017年以降、プランごと、人数ごと、ルームグレードごとに、細かく分かれた料金表が提示されるようになります。

これは一連の、会員の権利を軽視するような各種制度と同時に訪れ、「リゾート会員権の権利とは何か」を問う僕の旅のはじまりともなりました。当時の議論は上記の記事のコメント欄でご覧になれます。

一方でこれは、日本型リゾート会員権のビジネスモデルの完成形でもありました。建物を区分所有し、管理費や租税公課を会員が負担し、それらの対価である「占有日」「権利日」を供出しながらも、利用の度に普通のホテルや旅館と同様の考え方で料金を負担し、そしてそれを会員本人も不思議に思っていない(不思議に思った方はコメントをください)。

その後、同社の宿泊プランはさらに複雑さを極めていくわけですが、こうした歴史的経緯の中で、ディナーチョイスプランの会員1名利用という、かつての「ルームチャージ差額なし」の伝統は引き継がれました。

1名利用の条件とは

話をディナーチョイスプランに戻します。このプランを会員が1名利用するための(歴史を踏まえれば、差額を支払わなくてよいための)条件は、以下のような記載で表現されています。

以下は、とあるホテルの同プランの案内ページにある公式の文言です。

会員本人1名様でのご利用時のみ、1室2名様料金にて1室1名利用を承ります。 (ご同伴者様がいらっしゃらない場合に限ります。ご同伴者様と予約を分けてご宿泊の場合はご利用になれません。)

このルールは大事らしく、同じページに別の表現で再度登場します。

会員様ご本人1名でのご宿泊時のみ、1室2名様ご利用時の料金で1室1名様でのご利用が可能です。同日同施設でご同伴者様と予約分けをしての1室1名様ご利用の場合はご利用になれません。

「同日同施設」「同伴者」「予約を分けて」

上記の表現で、プラン適用の上で問題となる文言は、以下のような部分になるでしょう。

会員様ご本人1名

会員については上記の通りで、明確です。リゾートトラストの台帳に登録があるかないかで決まります。

同日同施設

これは読んで時のごとくのように見えますが、問題となりえます。

同じ日に同じ施設を、と読めるため、「1日単位」で判断していることが推察されますが、ホテルの予約は1日だけとは限りません。2泊3日、3泊4日などさまざまであり、それら予約全体を単位として考えることも可能です(むしろ旅の予約としてはそれが自然でしょう)。

僕の経験や取材から得た結論から言うと、リゾートトラストは1日単位でこのプランの利用可否を判断していました。

同伴者

「同伴者」とは何を指すのかが明確ではありません。同伴者とは、同伴する者、ということですが、「同伴」の語義は以下のとおりです。

どう‐はん【同伴】
〘名〙 (「どうばん」とも) いっしょに連れだって行くこと。また、その仲間。特に、男女、夫婦が二人で連れだつこと。

(出典 精選版 日本国語大辞典)

同伴の語義には、「一緒に」「行く」こと、つまり目的地(この場合はホテル)への移動という概念が含まれています。さらに、その相手は、親密な関係であることが想定される言葉です。

しかし、僕の経験や取材から得た結論から言うと、リゾートトラストはこのような一般的な語義で「同伴者」という言葉を使っていません。

「予約を分けて」「予約分け」

最後に、「予約を分けて」「予約分け」という表現です。

プラン案内を素直に読めば、「家族旅行やグループ旅行での、本来1つである予約を分割した結果、1名利用が出た場合には、ディナーチョイスプランは使えません」との解釈が普通だと感じます(違う意見があればコメントをお願いします)。

それはこの「予約を分けて」「予約分け」という言葉からも明らかなことで、分けるということは「元は1つだった」ということを意味します。

しかし、僕の経験や取材から得た結論から言うと、リゾートトラストはこのような語義で「予約を分けて」「予約分け」という言葉を使っていません。

断られた事例について

以上がルールの検証でした。以下に僕が同プランの利用を断られた、実際の事例について紹介します。

・あるホテルの客室定員と同じ人数で、僕の家族(離れて暮らしている)が予約をしていた

・その後、僕がそのホテルにおひとりさまでディナーチョイスプランで予約をした。統合予約サイトでプランが表示され、宿泊契約が成立した

・予約の翌日、メールでプラン不適用の連絡があった。具体的には以下のような文章でした。

ご同伴者様がいらっしゃいます場合につきましては、1名様でのディナーチョイスプランの適用は出来かねます。

・2つの予約は日程が異なる上、夕食予約が同じレストランになる日はなかった。しかし、1回だけ朝食予約が重なっていた。

この場合、旅程自体が別々(出発地もチェックインも別)ですから、一般的な語義で「同伴」とはなりません。

また「予約を分けて」という点も、日程が違うのですから、もとは1つでない以上、分けるという考え方には当たりません。それに先の予約はホテルの客室定員と同じ人数ですから、それに追加することができない以上、「分ける」ことはどのように考えたとしても不可能です。

プラン利用を断られたのは理不尽だと思いましたが、一度受け付けた予約を覆したのには、彼らなりのルールがありました。それがいかに理不尽なものだったとしても、会員は運営会社のルールに従うのが定めです。

次回、僕のこの予約がなぜ断られたのかを検証していきます。

参考資料

2004年の全エクシブルームチャージ制導入時のルームチャージ差額に関する資料(出典:リゾートトラスト)

(以下の記事に続きます)

ディナーチョイスプランをめぐる冒険 – 3

6 comments

  1. (不思議に思った方はコメントをください)
    とのことなので、日頃思っていることを…
     
    リゾート会員権はエクシブを購入後(もちろん仲介で)
    東急ハーヴェストも追加しました。
    年会費を支払い、宿泊時は一般のホテルに泊まれるほどの料金を払う…
    料金の割には豪華な施設だったり部屋が広いのですが
    1泊もしない年でも年会費は支払います(損してる)

    その後、ポイント制のディズニーの会員権を購入したら
    年会費はエクシブやハーヴェストと同じくらいですが
    旅行会社で5~6万の部屋に3泊出来るのです。
    前後の年のポイントを合算して長期滞在にしても良いし
    10万超えのアメリカンな広いキッチン付きの部屋にしても良い。
    持ち出し無しで一般予約の人より3割ほどお得に泊まれます。
    ディズニークルーズもポイントで同行者は割引料金で乗船出来ます。
    これぞリゾート会員権、日本の大手2社のシステムと大違いです。

  2. こんにちは、しめじです〜。
    たまたま記事を拝見したのでコメントを残してみます。

    しめじもたま〜にエクシブを利用しますが長い歴史から仕組みも煩雑化してるんですね〜、難しい〜。

    ちょっとよく分からなかった点として、
    今回の事例は出発日が違う家族と、ホテル内で合流される予定だったってことですか?
    なら同伴者と言われても仕方ないのかなぁと思う部分もあり。

    それって家族との合流も利用目的の1つってことですよね〜、日々常用されてる「同伴者」の言葉の範囲内じゃないですかね〜。
    (語義云々のお話は、しめじなのでわかりません。ご勘弁を)
    偶然日程が被ってしまったってお話しでしたら一緒に戦いたいですけど、前もって合流する計画でしたらしめじ的には同伴者と言われても納得かな〜。

    でもでも高い年会費払ってる会員本人のシングルユースくらい許してくれよ〜とはしめじも思うのであります。

  3. リラックマ、大好きさん、コメントありがとうございます。米タイムシェアとの比較、つまりガラ権の特性については、今年のKASAの会で取り上げたいと思っております。よろしければぜひご参加くださいませ。

    しめじさん、コメントありがとうございます。「合流」という表現をいただきましたが、そこはまさに次回、取り上げるポイントとなります。お楽しみに。

  4. 悲報、というか、なんというか。言葉もなく…。

    ディナーチョイスプラン2024|おすすめ情報|グランドエクシブ鳴門|ホテル|リゾートトラストグループ サービスサイト

    2024年のディナーチョイスプランは、オールドエクシブでも1人料金が新設され、つい1カ月ほど前のこの記事の前提は、すっかり崩れ去ってしまいました。

    売却祭りのはじまりかな?

  5. エクシブ鳴門のディナーチョイスプラン、2023と2024の比較ができるように、画像ですけれども作表してみましたので、ご覧ください。

    おひとりさまの僕は、やる気を喪失しております。

    エクシブを売るか、恋人を作るか…。

    冗談ですよ🤣

  6. エクシブ鳥羽のデータも入手できました。明日には全国のエクシブで2024年度のディナーチョイスプランの価格が公表されることでしょう。

    おひとりさま利用を促すような記事を書いてしまい、読者の皆さまには、本当に申し訳ございませんでした。僕の記事で期待を持ったり、ビジョンを描かれたことがあったかもしれません。リゾートトラストの見かけ上の好調さを真に受けて、本当の事情が見抜けていませんでした。この場を借りてお詫びします。

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