大量の生野菜ジュースに救いを求める – 1

「がん患者よ、旅に出よう!」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載です。早期退職でリゾートライフを満喫する日々の裏には、2度の手術を含めた「がん」との闘いがありました。「旅は生きる喜び。その喜びをがんに奪われたくない」
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)

ある本との出会いが、私のがん治療の方向性を決めました。星野仁彦著「ガンと闘う医師のゲルソン療法」(マキノ出版、1998年6月刊)です。この本は、大腸がんの肝転移により5年生存率0%を宣告されたという医師、星野仁彦氏のがん克服物語です。

星野式ゲルソン療法

5年以内に必ず死ぬと宣告された星野氏は、まだ42歳の若さでした。当時の彼は大学病院の医師(神経精神科臨床副部長)として充実した仕事をしており、愛する奥さんと2人の子供もいました。このままでは無念で死にきれません。

ここから彼の必死のサバイバルがはじまります。彼の運命を変えたのは前回(第16回・民間療法に魅せられた私の本音 – 1)も紹介した今村光一著「ガン勝利者25人の証言」と、マックス・ゲルソン著(今村光一訳)「ガン食事療法全書」でした。

これらの本によって彼の運命は急旋回します。しかし、がんを食事で治すという本来のゲルソン療法は厳格すぎて、現役の社会人である星野氏にとっては実行不可能でした。そこで彼はゲルソン療法の原則は踏襲し、実行しやすい「星野式ゲルソン療法」を考案して実行しました。

星野氏は最初のガン発見から30年以上経つ現在も、元気に活躍されているようです。

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ガンと闘う医師のゲルソン療法(自らのガンを克服した精神科医が選んだ究極の栄養療法)

食事療法を中心とする生活改善によって、生存率0%からの生還を果たした星野氏 1 に対して、同じ大腸がんながら、私の兄は抗がん剤治療の末、絶命しました。この違いはどこからくるのでしょうか?

星野仁彦氏というたった一人のがん克服体験ストーリーですが、私はここにがん治療の真実がありそうな気がしました。

私が食事療法に魅せられた理由

私が食事療法に本気に取り組むようになったのは、「がんは全身の栄養・代謝障害による病気で、体全体の栄養・代謝を正せばがんは治る」というゲルソン療法の基本認識でした。

ゲルソン博士は言います。「がんの腫瘍はがんの症状の一つであってがんの全てではない。手術でがんを取り除いても根治にはならない。今までと同じ生活を続ければ、何ら原因(栄養・代謝障害)は改善されていないので、がんは再発・転移を繰り返す。しかし、がんの原因となった体全体の栄養・代謝を正せばがんは治る」と。

このゲルソン理論が医学的に正しいかどうかは別にして、すでに再発転移してしまった私のがんをこれ以上転移させないために、ゲルソン理論の考え方は、私にとって「都合がよかった」のです。

がんを完治させる「希望」が出てきたからです。

(続く)

【次回】第19回・大量の生野菜ジュースに救いを求める – 2

【前回】第17回・民間療法に魅せられた私の本音 – 2


  1. (編集部注)星野氏が著書で「生存率0%」と記していることについては以下のような批判がある。現東京目白クリニック院長の大場大氏によれば「(星野氏は)エタノールを注入する局所治療を受けており、結果はうまくいき、腫瘍は2つとも壊死したとも書かれています。この時点で、星野氏のがんは治ってしまったのではと私なら考えるところです」と、ゲルソン療法による治療効果に否定的な見解を「週刊新潮」2017年8月31日号で発表した。その記事は以下のリンクより読むことができる(食べものだけで余命3カ月のがんは消えない! 「がん食事療法本」が「がん患者」を殺す | デイリー新潮)。 ↩︎

本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました

本連載は、本サイトに掲載した舟橋栄二さんの記事から、がん闘病に関する回を再配信したものです。時期に関する記載は2022年現在のものです。

(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」

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