生き方そのものを変えたがん治療「福田・安保理論」- 2
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
安保先生の説く健康な人のリンパ球比率は、35%~40%、リンパ球数は2000でした。私のリンパ球は1000に満たず、このレベルでは末期がん、エイズ患者並みと言います。しかも、私は抗がん剤治療をしていません。薬の影響なくしてこの低さです。
私のリンパ球は激減していた
参考までに以下正確に記します。
2007年12月17日:白血球数3880、リンパ球比率23.6%、リンパ球数915
2008年3月4日:リンパ節切除手術
2008年3月5日:白血球数6910、リンパ球比率11.1%、リンパ球数767
2008年4月21日:白血球数5390、リンパ球比率16.9%、リンパ球数910
このデータに私は本当に驚き、「がん再発の原因はこれだったのか~」と納得しました。
何事も徹底的にやる、超多忙、攻撃的でストレス過多。このような日常生活を送っていると、常に交感神経が活性化し、顆粒球が増え、リンパ球が減る。リンパ球が減ればがんと戦えなくなり、がんは次々と再発・転移をする。
安保理論によるこの解釈には納得がいきました。この視点から自分の生活を見直してみると、がんの再発・転移した理由が浮かび上がってくるのです。
甲状腺がんの1回目の手術をした2006年9月当時は、兄のがん闘病がいよいよ行き詰まり、兄はホスピスへの転院を希望しました。私は自分のがんの手術直後にもかかわらず、兄のホスピス探し、入院、見舞い、そして、2007年1月の兄の死まで見届けました。
同時に、旅好きの私は毎週のようにエクシブに宿泊をし、冬には志賀高原にスキーにも行きました。さらに、兄の死後はもっと積極的にエクシブ、セラヴィリゾート、マリオットなどへ国内旅行に出かけ、海外旅行も爆発的に増えました。同時にインターネット上や書籍の執筆で旅行記も書きまくり。交感神経が休む暇がありません。
本来、がんの手術をした後は体をゆっくり休め、自律神経を調整してリンパ球を増やさなければなりません。私のように交感神経が高ぶりっ放しの生活を送っていたら、リンパ球は激減してしまいます。
これではがん細胞の増殖を助けているようなものです。
無血刺絡療法(自然免疫療法)
では、どうやってリンパ球を増やすのか?
安保先生の共同研究者だった福田稔医師は、東洋医学の理論を応用して、副交換神経を特殊な針で刺激することでリンパ球比率を上げる「無血刺絡療法(自然免疫療法)」を開発しました。
具体的には、先端の尖ったセッシで、手足の爪の生え際など、頭部から頸部・背中・腹部にかけての「治療点」を鋭く刺激します。この時、患者はチクッとした鋭い痛みを感じます。この「痛い」という、いやなものへの反応が自律神経の偏りを治す、と福田・安保理論は説きます。
針治療でがんを治す? 私は従来の民間療法には否定的だったので、まずは専門書を購入してじっくり読んでみました。「無血刺絡の臨床 ― 痛圧刺激法による新しい臨床治療」(長田裕著、三和書籍、2006年2月)は11,000円もする本格的な医学書です。
本書によれば、多数の臨床事例により、リンパ球比率35~41%が正常レベル、30~34%が軽度の交感神経緊張、20%台が中等度の交感神経緊張、そして、リンパ球10%台は高度の交感神経緊張、と分類されていました。そして各レベルでの具体的な治療方針が書かれていました。
私の2回目の手術後のリンパ球比率は16.9%、リンパ球数は910でした。上記の分類では最悪の「高度交感神経緊張」です。福田・安保理論ではリンパ球の下限が18%で、これを下回るとがん発症にかかわってくると書かれています。
「まずい!このままでは私のがんは確実に再発転移する…」
(続く)
【次回】第22回・生き方そのものを変えたがん治療「福田・安保理論」- 3
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