ケトン体回路を起動せよ!- 3

「がん患者よ、旅に出よう!」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載です。早期退職でリゾートライフを満喫する日々の裏には、2度の手術を含めた「がん」との闘いがありました。「旅は生きる喜び。その喜びをがんに奪われたくない」
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)

ケトン体のことを知って、私の登山・ハイキングの常識がひっくり返りました。今までは「登山中にエネルギー不足になって動けなくなるといけないので、おにぎり、パン、あめ玉などの炭水化物(糖質)を持参」して出発していました。登山中も、お腹が減る前に糖質を補給しました。

朝食抜きハイキングでダイエット成功!

でも、実際に空腹で森を歩き回っても、大丈夫でした。エネルギー不足にはなりません。空腹感はなかなかこたえますが、今までに蓄えた脂肪が燃焼して、次々と全身の筋肉・臓器、そして脳にエネルギーが補充されていく。そんなイメージがあります。脳はクリアで思考が深まります。

この「ケトン体回路へのスイッチ」は、私が「人体実験済」です。白澤氏の説を実証すべく、何度も朝食抜きで数時間のハイキングをしました。前日の夕食が最後の食事ですので、翌日の午前中には体内の糖質は枯渇しています。

そして朝10時頃から「朝食抜き」で「空腹を我慢」して山に入ります。ケトン体回路への起動が成功し、見事にお腹周りの脂肪が消えていきました。お腹が減っていても、本当に森の中を機敏に動き回ることができました。白澤氏の説は本当でした。ダイエット成功!

この私のダイエットの詳細は、別の記事に記したいと思っています。

体内に蓄えた脂肪は、動物が飢餓の時に生き抜く貴重な財産だったのですね。野生動物は、朝起きて朝食を食べるわけではありません。恐らく、腹ぺこのまま、獲物を探して森の中を何時間も徘徊するでしょう。

この時、お腹が減って動けなくなっては、すぐに死んでしまいます。何日間も森を徘徊して体内の脂肪が枯渇してしまうか、それとも、新たな獲物を捕らえてエネルギー補給ができるか。野生動物の生き残りのサバイバルは日常的に繰り広げられています。

糖質制限によるダイエットの実践には、さまざまなが側面があり、非常に興味深いのですが、この連載の趣旨から外れるので深入りはしません。しかし、私にとっての「がん勝利」と「ダイエット成功」の両方が、「糖質制限」というキーワードで融合しました。

もう、本気でやるしかないですね、糖質制限!

砂糖中毒からの脱出

とはいえ、甘党の私が砂糖中毒から抜け出すのは容易なことではありませんでした。しかし、白澤氏の多数の書籍(文末に参考文献を掲載)から、強力な助っ人を見つけました。それは「ココナッツオイル」です。

ココナッツオイルは「中鎖脂肪酸」を含んでおり、体内で速やかに吸収されて、直接、肝臓のミトコンドリアに入ります。この時、インスリンの血中濃度が低いと(空腹で血糖値が低いと)、非常に効率よくケトン体に変わります。

このケトン体が、ブドウ糖に飢えた脳に新たなエネルギー源として届くので、脳は満足して活動を続けます。「腹が減った~」という感覚が一時的になくなり、仕事に専念できるようになります。

うそではありません。これも私が人体実験済みです。糖質制限を始めるまでは、ちょっとお腹が空くと「コーヒーと甘いお菓子」が私の定番でした。今は違います。「ココナッツオイル入りのコーヒー」になりました。

糖質さえ食べなければ血糖値は上がりません。空腹感が我慢できない時は、ナッツ類をスイーツの代わりにします。糖質がほぼゼロのチーズを加えてもいいですね。これでケトン体回路が「オン」のまま、その後、数時間は何も食べずに我慢できます。

面白いもので、スイーツを食べる機会が減ってくると、自分の味覚が甘さに敏感になってきます。今まで普通に食べていたスイーツが「甘すぎる~」とさえ感じるようになってきました。砂糖中毒になって甘さの味覚が麻痺していた証拠です。

さらに興味深いことは、おやつのスイーツを完全にやめて1年もすると、「甘いものが欲しい、食べたい」という感覚がなくなってきたことです。

今では、コンビニに立ち寄って「あんパン」や「どら焼き」を買うことはなくなりました。スイーツなしでも日常生活は問題ないのです。ここに至って、私はやっと砂糖中毒から抜けることができました。

しかし、糖質制限の最大の難関は「炭水化物」です。ご飯、パン、麺類、これをどう制限するか?

次回は糖質制限の本丸「主食の制限」に攻め入ります。

参考文献

「砂糖」をやめれば10歳若返る!(白澤卓二、、ベスト新書、2012年5月)

2週間で効果がでる! ケトン食事法(白澤卓二、かんき出版、2012年10月)

あなたを生かす油 ダメにする油 ココナッツオイルの使い方は8割が間違い(白澤卓二、KADOKAWAベスト新書、2015年11月)

体が生まれ変わる「ケトン体」食事法: 太らない、疲れない、老けない――体と頭を「糖化」させるな(白澤卓二、三笠書房、2015年9月)

(続く)

【次回】第33回・糖質制限の実践とその劇的な効果 – 1

【前回】第31回・ケトン体回路を起動せよ!- 2

本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました

本連載は、本サイトに掲載した舟橋栄二さんの記事から、がん闘病に関する回を再配信したものです。時期に関する記載は2022年現在のものです。

(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」

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