
心身を癒やした手術後のエクシブステイ – 2
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
天気の良い日にはレンタカーを借りて、南紀白浜の「白良浜(しららはま)」に行ってみました。白浜の名の由来になったという美しい白砂のビーチには感激しました。
ビーチに立ってみると磯の香り。ひんやりとした海水が心地良く感じます。私は水着に着替えて泳いでみました。手は使えません。バタ足だけでゆっくり進みます。
プールと違って海の水はしょっぱくてカリブ海を思い出します。海水は驚くほど透明で海底までよく見えます。コスメルの海で出会ったキリスト像・マリア像が目に浮かびます。来年、本当にコスメルまで行けるのだろうか? そんなことを考えながら泳ぎました。
この時の旅行記はこちらにあります。
(フォートラベル)『エクシブ白浜(周辺観光編)』
エクシブに戻れば、お待ちかねの夕食です。プランの夕食は6,000円相当のコースでした。当時のエクシブ白浜は平日でも全レストランが営業しており、私は毎夜、レストランを変えて楽しみました。
1日目は「海幸」でモダン新和食。2日目は「ラ・ペール」でフランス料理、3日目は再び海幸で天婦羅会席、4日目は「シノワーズ・ヴィヴィエ」で海鮮中華です。どのレストランの料理も素晴らしく、とても満足のいく毎日となりました。
首が痛くても食欲は旺盛です。毎夜の豪華なディナーがとても楽しみでした。6月の平日の夜です。お客は少なくスタッフと軽くお喋りしながらのコース料理は本当に楽しいものでした。
この時のグルメ旅行記はこちらにあります。
(フォートラベル)『エクシブ白浜(グルメ編)』
こうして、わずか4泊5日の旅ではありましたが、人生に旅を取り戻す第一歩を成功させました。
これからどうやってがん治療をするのか?
兄の抗がん剤治療は悲惨でした。抗がん剤は胃腸を直撃し、がん細胞も正常細胞も無差別に破壊してしまいます。兄は極度の食欲不振、嘔吐、下痢に悩まされました。しかも、それがずっと続くのです。
人間にとって「食べる喜び」は本能であり、これを奪われたら日々の生活はどうなるのでしょう? 兄は頭痛もひどかったようです。口内炎も頻繁に起きました。生活の質が極度に落ち、生きる意欲さえ奪われていきます。
これらの苦しみがあっても、ある期間だけ耐えれば「必ず病気が治る」のであれば、トライしてもいいでしょう。しかし、現代のがん治療では何ら治る保証はありません。私は、少なくともがん治療での抗がん剤は「No, thank you」です。
しかし現実問題として、がん難民の私としては、「これからどうやってがん治療をするのか?」という問いに、答えを見つけなければなりません。
エクシブでも医学書を読み進めていた私は、この旅から戻るとさっそく、大型書店巡りを敢行しました。がん治療の答えを探して、私は次々と本を購入し、読書三昧の日々を送りました。
そして末期がんで医者から見放された患者たちが、続々と「生還」する姿を描いた書籍に、多数出会うことになりました。
次回からは、私が出会ったそれらの書籍についてと、そこから私が受けた影響についてお話ししたいと思います。
(続く)
【次回】第16回・民間療法に魅せられた私の本音 – 1
【前回】第14回・心身を癒やした手術後のエクシブステイ – 1
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」