私も、がん患者でした – 1

「がん患者よ、旅に出よう!」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載です。早期退職でリゾートライフを満喫する日々の裏には、2度の手術を含めた「がん」との闘いがありました。「旅は生きる喜び。その喜びをがんに奪われたくない」
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)

もう17年も前になります。2005年3月、私は53歳で早期退職し、かごの鳥が飛び立つ勢いで旅に出ました。こう書くと、「生活費は? 旅行費は? funasanは金持ち?」という疑問が聞こえてきそうですね。

早期退職後に「安くて豪華な旅」を追求

ちょっと家庭内事情をバラしますが、私は元高校の教員で、金持ちではありません。フルタイムの仕事をしていた妻が生活費を稼ぎ、私が「専業主夫」として家事を担当したのです。

私は、掃除、洗濯、家庭内の雑事、食材の買い出し、そして夕食の準備をして妻の帰りを待ちました。2人の子供たちはすでに大学生になり、自宅から出ていきました。子育ても事実上の終了です。ですから、ときどき妻から「お暇」をもらって2週間程度のひとり旅に出たのです。

楽しかったですね。国内でも海外でも、いつでもどこでも自由に旅ができます。しかし、資産家ではない私は無駄使いなどできません。知恵を絞ってひたすら「安くて豪華な旅」を追求しました。

その安くて豪華な旅の裏ワザの第1弾こそ、会員制リゾートクラブの中古会員権購入でした。私は夢中になって格安な会員権を複数購入し、怒涛の勢いでリゾートライフをはじめました。resortboyさんのブログと運命的な出会いをしたのもこの頃です。

第2弾が「豪華客船クルーズの旅」でした。退職直後の4月、その記念に乗船した格安な短期メキシコクルーズがあまりにも素晴らしく、その後、私は海外クルーズにのめり込んでいきました。

第3弾がリゾートクラブの「海外交換RCI」利用による海外コンドミニアム滞在でした。退職した年には、カンクン(メキシコ、6月)、スイス山岳リゾート(10月)、冬のウイスラー(カナダ、翌年1月)と続きました。マイレージ利用で国際線のビジネスクラスにも搭乗しました。

私の人生でこの2005年ほど輝いていた1年間は他にはありません。まるで天国で遊んでいたような1年間でした。

ところがこの年、兄が大腸がんになり8月に手術を受けました。私の父は肺がん、母は甲状腺がんで既に死亡しています。ここに来て兄までがんです。

典型的ながん家系なので、次は私だと思い、愛知県の豊田市にあるトヨタ記念病院でPET検査 1 を受けました。その結果、私も見事に「合格」。

母と同じ甲状腺がんが発見されたのです。

(続く)

【次回】第7回・私も、がん患者でした – 2

【前回】第5回・現代医療への疑問(ファミリーヒストリー 3)


  1. PETとは、Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)の略。従来のCTやMRIなどの体の構造をみる検査とは異なり、細胞の活動状況を画像で見ることができ、がん、脳、心臓などの病気の診断に有効です。PETの装置は高額なので、当時、愛知県内ではトヨタ自動車の「トヨタ記念病院」にしかありませんでした。 ↩︎

本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました

本連載は、本サイトに掲載した舟橋栄二さんの記事から、がん闘病に関する回を再配信したものです。時期に関する記載は2022年現在のものです。

(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」

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