私も、がん患者でした – 2

「がん患者よ、旅に出よう!」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載です。早期退職でリゾートライフを満喫する日々の裏には、2度の手術を含めた「がん」との闘いがありました。「旅は生きる喜び。その喜びをがんに奪われたくない」
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)

幸い早期発見ということで、小さながんだった右の甲状腺を2006年9月に摘出して終わりました。リンパ節への転移もありませんでした。術後の後遺症も少なく、母の大手術とその後の闘病生活に比べればかすり傷のようなものでした。

兄弟そろって、同時にがん闘病です。私の良好な経過とは裏腹に、兄のがん治療は絶望的なもので、2007年1月、兄は亡くなりました。

現代医療への疑問(ファミリーヒストリー 2)

そして兄の死の悲しみが癒える頃、今度は私に悪夢が押し寄せてきたのです。

楽しい旅行を全部やってから死のう

この年(2007年)の12月、がんの定期健診で造影剤入りCTを撮ったところ、首のリンパ節にがん再発の可能性が出たのです。すぐに超音波検査、細胞診検査をしたところ、甲状腺がんの首リンパ節への転移が確定しました。

これは本当にショックでした。「私も地獄に落ちたか?」と思いました。がん患者にとって再発転移ほど怖いものはありません。しかも、兄を死に追いやったリンパ節への転移です。

忘れもしません。がんセンターから自宅に帰る車から見た青空が、何と曇って見えたことか。これで俺の人生は終わったのか、と。

旅好きな私ですから、1年先まで旅行の予約を入れていました。まず1カ月先の家族でのゴールドコースト(オーストラリア)です。これは大学生になった2人の子供たちと一緒の年末年始の家族旅行でしたから、文句なく実行です。

翌年(2008年)の2月には、カリブ海に浮かぶコスメル島(メキシコ)に、RCI海外交換を利用して1週間宿泊予定でした。しかもメキシコからの帰路、サンフランシスコ発着の1週間のメキシコクルーズに乗船するという大旅行でした。

仕事のある妻は一緒に来れません。中年男(56歳)のひとり旅です。

がんが再発したと言っても、当時の私は極めて元気で、人生の楽しみである旅を捨てて家でじっとしてはいられません。もうヤケクソで、「楽しい旅行を全部やってから死のう」と思いました。

そして、たったひとりで、はるか彼方のカリブ海に旅立ちました。

(続く)

【次回】第8回・人生を変えたコスメル島への旅 – 1

【前回】第6回・私も、がん患者でした – 1

本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました

本連載は、本サイトに掲載した舟橋栄二さんの記事から、がん闘病に関する回を再配信したものです。時期に関する記載は2022年現在のものです。

(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」

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