前回に引き続き、2023年10月26日に開業した「東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat」についてレビューします。前回、このホテルを構成する2つの会員権の客室の特徴を見てきましたが、今回は共用部分と、「会員権そのもの」について見ていきます。
前回同様に、今回の記事に使用している画像は、冒頭のクラブハウス棟以外(開業1カ月前に撮影)、東急不動産によるものです(著作権はキャプション注記の通り)。
既存ホテルの拡張は利益率が高い
このホテルは既存の東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALAの隣地に「増設」の形で作られましたので、大浴場やプール、レストランなどは作られていません。パンフレットを見ると、レストランや屋内プールの写真が出ていて、隣のホテルの施設が使えることがうたわれています。
このように、既存ホテルの隣地に客室を増設するケースは、東急ハーヴェストクラブにおいては旧軽井沢アネックス、またエクシブ軽井沢におけるムセオやパセオのように、別荘代替品としての需要が旺盛な軽井沢地域においては、以前より繰り返し見られる現象です。
分譲する不動産会社からすれば、共用部分を作らなくてよいので、非常に儲かるプロジェクトになりやすいと言えます。そのため、勢い、利益を最大化する思考がはたらき、外廊下にして分譲できる建築面積を増やそうとしたり、敷地形状に沿って建築するためにいびつな建築物ができたりします。
やはり歴史は繰り返しているようです。VIALA軽井沢Retreatに関しては、もともとの東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALAが理念を感じさせる素晴らしい建築であったので、Retreatにはよこしまな印象を持ってしまいます。
クラブハウス棟の施設
さて、今回のVIALA軽井沢Retreatにおいては、「クラブハウス棟」が作られ、ここにフロントロビー、ラウンジ、オーナーズラウンジ、プライベートダイニングがあります。
屋外にはデッキやファイヤーピット(たき火台)が作られています。
レストランはありませんが、客室での「インルームダイニング」と、写真の貸切個室を使った「プライベートダイニング」の2通りで、レストランの料理が楽しめます。
インルームダイニングの場合、仕上げは客室内キッチンで、自分で行うスタイルであるようです(ケータリングとか出前に近いのでしょうか)。
東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat creekの価格
さて、最後に価格を見ていきましょう。ここが大事なところかと思います。
まず「東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat creek」の方ですが、現在の価格は2,073万円(税込)です。
creekは全29室で1室12口(年間30泊)ですから、1室あたり約2.5億円で売っていることになります。
年会費は158,400円(税込)で、その他に営繕積立金と土地賃借料がかかります(7,200円と4,200円)。
creekは事業用定期借地権を利用した期限付きの会員権で、存続期間はおよそ45年後の2068年7月19日までです。
東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat gardenの価格
一方の「東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat garden」は、現在の価格が2,144万円です。年会費は同じで158,400円、営繕積立金と土地賃借料はそれぞれ年額7,200円と8,400円です。
こちらは14棟をやはり1棟12口で分譲します。1棟あたりの平均単価は約2.6億円です。木造なので会員権の存続期間が短く、開業日から35年間となっています。
2年くらい前になりますが、東急ハーヴェストクラブの価格が高騰していて、なかなか説明が付きづらい価格体系になっていることを、京都大学からリモートでお届けしたKASAの会のオンライン開催回でお話ししたことがあります。
それから2年以上経ちましたので、このハーヴェストクラブの価格の適正さについて、改めて考えてみたいと思っているところです。