香港からマカオへはフェリーで行くのが普通です。物好きな人は陸路で中国大陸を移動するのかもしれないですけどね。さて、フェリーターミナルに行って適当に発券するのも悪くないですが、マカオのホテル選びと同様に、資本の論理がどうなっているのかを見ることで、少し有利に旅を進めることができると思います。今日はその背景と具体的なベネフィットを説明します。
このマカオ連載の中で、マカオ半島のホテルはスタンレー・ホーのグループ(SJM)が、コタイのホテルはシェルドン・アデルソンのグループ(サンズ)が優勢であることを説明しました。ピンと来ていない方は復習をどうぞ。
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実はマカオへのフェリーも同様で、SJMのグループが「赤いフェリー(TurboJET:噴射飛航)」、サンズのグループが「青いフェリー(Cotai Water Jet:金光飛航)」となっています。カジノやホテルを運営しているグループが、フェリーという輸送機関も押さえているのです。
歴史的な事情から、赤いフェリーは古くからあり、青いフェリーは新しい、ということが言えます。また、赤いフェリーはマカオ半島へのアクセスが強く、青いフェリーはコタイへのアクセスが強い、ということが一般的に言えるでしょう。
写真は、マカオ半島のアウター・ハーバー・フェリーターミナルにずらっと並ぶ「赤いフェリー」の様子です。そのすぐ後ろがサンズだったりするのがまた面白いですね。
ところで、すっかり基本的なところを飛ばしてしまいましたが、香港にもマカオにもフェリーターミナルは2つずつあります。香港には九龍に1つ、香港島に1つです。
九龍の尖沙咀にあるフェリーターミナルはMRTの駅から距離があるので、一般的にはMRTの駅に直結している香港島は上環にあるフェリーターミナルが便利だと思います。香港MRTの主要部分を再掲しておきます(上環は図の左下)。
上環のフェリーターミナルがある場所は「信徳中心(シュンタックセンター)」といって、SJMのグループ企業が運営しています。ですが、僕がおすすめしたいのは上環からの「青いフェリー」の利用です。理由は単純で、安くて特典もあるからです。
サンズのグループが運営する青いフェリーは「Cotai Water Jet(金光飛航)」と言いますが、赤いフェリーの「TurboJET(噴射飛航)」と比べると、後発だけあっていろいろなプロモーションをしています。
ベネフィット1:スマホの事前予約による割引
例えば、金光飛航のスマホアプリで予約すると、香港マカオ間のフェリーが110香港ドルになります。このキャンペーンがいつまで続くかわかりませんが、観察している範囲ではキャンペーン期間は繰り返し延長されています。割引は平日のみのようでした。
噴射飛航の定価は平日164香港ドルですから、かなり違います。僕もこのディスカウントチケットをアプリで予約して利用しました。
注意する点としては、アプリでは1人分しか予約できないので複数人の発券をしたければその数だけスマホが必要だったという点です。事前予約したら乗船当日、信徳中心にある金光飛航の窓口で実際のチケットに交換してもらいます。事前にクレジット決済しているので、窓口でスマホの画面を見せればOKです。
実際に搭乗してみましたが、新しいフェリーで、革張り(合成皮革ですが)のソファーが実に快適でした。
席は指定席ですから、窓際を選ぶといったことはできませんでしたが、ちょうどモニターの近くで、搭乗中はずっとサンズグループ制作のホテル関係の映像を見ていたので飽きませんでした。
座席のテーブルには、こんなふうにベネチアンのイメージキャラクターであるデビッド・ベッカムがフィーチャーされていました。現地では、ベッカム推しがかなり強かったです(笑)。
この8月はちょうどサンズがベネチアンを作って10年の記念の月で、それを記念した「過去を振り返る」的な番組が放映されていましたので、ホテラーの自分にはとても興味深かったです。その番組とは違いますが、船内で放映されているのは、こういう感じのものです。
ベネフィット2:ホテルと組み合わせた割引パッケージ
この金光飛航はサンズのグループのフェリーですから、サンズ関連のホテルだと、フェリーチケットの付いた宿泊パッケージが用意されています。
(公式)Cotai Water Jetフェリーチケット付きパッケージ | マカオのホテルパッケージ | The Venetian Macao Hotel
ベネフィット3:エッフェル塔に上れる(笑)
また、単にフェリーを使うだけでも、「パリジャン」(サンズが手がけた昨年オープンのIR)にある二分の一スケールのエッフェル塔に無料で上れる、という特典があったりします(ただし一番上までではなく途中の7階までですけれど…)。
写真はパリじゃなくてマカオです。(笑)
ベネフィット4:優先搭乗がある
さらに、サンズ+金光飛航のサービスとして見逃せないのは、飛行機にあるような優先搭乗です。
サンズにはカジノ客を対象とした「サンズリワーズクラブ」という会員制度があるのですが、これの会員になっていると、この青いフェリーの優先搭乗レーンを使えるのです。サンズリワーズクラブにはこの他にもいろいろな特典があるので、また別の記事で取り上げたいと思います。
なんだかサンズの宣伝のようになってしまいましたが、このように、ホテル選びとフェリー会社選びは、無関係なようで実は密接な関係にある、ということがお分かりいただけたのではないかと思います。
>ところで、すっかり基本的なところを飛ばしてしまいましたが、香港にもマカオにもフェリーターミナルは2つずつあります。香港には九龍に1つ、香港島に1つです。
香港国際空港から直接フェリーでマカオにいくという手もあります。
https://c-study.net/2016/01/hkia-ferry-to-guangdong-macau/#i
もっとも条件がいろいろあるので、これなら
前にも紹介したエアマカオで直接マカオ入りした方が便利ですね。
マカオだけなら、エア・マカオ(成田、関空、福岡に就航)を使うという手もあります。
LCC並みの値段でマカオにいけるし、マカオにストップオーバーしてバンコクやベトナムに足を伸ばすという手も。
航空券によってはANAマイルもつく場合があります。
セントレアから香港に着いたら軽く九龍観光して夜マカオ行くつもりなので、なんとなく九龍から行けばいいかなと思ってたのですがそうでもない感じですね。
それにしてもフェリーひとつでここまでディープな記事はさすがです。
マカオの記事は、主にサッカー小僧さんを対象に書きますので、何か気になることがあればコメントをお願いします。マカオの旅情報は世の中にあふれていますが、ここでしか読めない立体的な解説、体験談を心がけたいと思います。
エクシブのような、イミテーション、作りもの、バカっぽいもの(これは一種の褒め言葉ですから誤解なきよう)が好きな方には、マカオ(というかコタイ)は突き抜けていて楽しめると思いますので、ご予定のない方もぜひご愛読をお願いします。
もう海外は行かないと思ってたんですけど マカオに行きたくなってます。
コタイ地区の「バカやってんな感」今からとても楽しみです。