RTCCのリゾート交換サービスの終了が近づいてきました(2022年3月31日)。今日はその話と関連して、皆さんが入会していて忘れているサービス「ワンダーネット」について現況を確認し、RTCCが矛盾だらけの謎契約となった経緯について解説します。
ワンダーネットは1997年3月にはじまったリゾートトラストの会員向け情報サービスです。どのような形でスタートしたのか、古い話なのでリアルタイムには僕も知りません。
当時先進的だったネット予約+プロバイダー
今日掲載した写真は、かつてエクシブ鳴門に行ったときのものです。客室には使われなくなった「マルチメディアホン」が置いてありました。
「最先端」であったこうした機器を使ってホテル予約ができる、というのが2000ゼロ年代初頭のエクシブの一風景であり、ワンダーネットはマルチメディアとインターネットという当時のバズワードに乗って登場したものでした。長い間、ダイアルアップ接続サービスやホームページの開設など、プロバイダー的なサービスも提供されていました。
このワンダーネットは、エクシブの会員になると「セット契約」として、必ず抱き合わせで加入する契約になっていました。僕の入会した時代は年間8,000円(税別)がワンダーネットのセット契約年会費でした。ベイコート倶楽部やサンクチュアリコートは買ったことがないので、わかりません(ご存知の方は教えてください)。
ワンダーネット加入で交換手数料が無料に
なぜエクシブ会員がこれに入るのかというと、権利日(占有日)の交換利用には手数料がかかることになっているからです。ワンダーネット会員は交換手数料が無料になるため、「入ったほうが得である」と一般に解釈されているためです。エクシブの交換手数料は1件につき2,000円(税別)です。
ですから、「交換」という概念のないサンメンバーズ会員にはワンダーネットは不要ですし、フローティング予約は交換利用ではないので交換料は不要という説もあります。
ワンダーネットに不加入であったことがないので実際のところはわかりませんが、リゾートトラストでは交換予約とフローティング予約を別物として区別して説明しているので、フローティング予約や、交換を伴わないサンクスフェスティバルなどの利用が主なのなら、ワンダーネットを辞めて年会費を節約する、という考え方には一定の根拠があります。
実際、以下の公式サイトにおいて、「交換予約」の説明には交換手数料の記載がありますが、「フローティング予約」の説明には手数料記載がありません。僕も以前、リゾートトラストから会員権を購入したときに確認した際にはこのような説明でした。しかし、現状はそうなっていない(どのような利用でも契約施設以外を使うなら必ず手数料は徴収される)という情報もあります。
(参考情報:公式)ホテルご利用のご案内 エクシブオーナー様|クラブネット(施設情報・予約)|リゾートトラスト株式会社
セット契約のワンダーネットは解約もできる
ワンダーネットはセット契約で普通のエクシブ会員は加入していますが、退会することもできます。退会の手順や必要書類は、インターネット上で公開されています。以下に公式の退会案内ページと、セット契約用の退会届のURLを示します。
(公式:退会案内)退会手続き|ワンダーネット|リゾートトラスト株式会社
(公式:セット会員退会届)https://www2.wondernet.ne.jp/user/withdrawal/pdf/leave_set.pdf
実際に僕はワンダーネットを退会したことがあります。複数口のエクシブを契約していたときの話です。
2口目でセット契約していたワンダーネットを辞め、1口目でセット契約していたワンダーネットのIDと2つの会員権を紐づけて利用していました。リゾートトラストの予約システムは1つのワンダーネットIDに複数の会員権を紐づけられるようになっていますから、2重加入は不要です(しかし2重に加入してしまっていました)。
さて、なぜ今、ワンダーネットの話をしているかというと、この春をもって他社ホテルとの交換機能が失われるRTCCが、エクシブと他の会員権(ベイコート倶楽部など)との交換を担当するという説明が、このワンダーネットの交換手数料減免サービスと同社内で混同されている場面に出くわしたからです。
以下、少し長くなりますが、RTCCとワンダーネットの関係について、ベイコート倶楽部とエクシブの交換を軸に、経緯を確認していきます。
ベイコートとエクシブの交換がRTCC経由である理由
ベイコート倶楽部は当初、エクシブとは全く別の会員権として売り出されました。そのため、エクシブを利用するには敷居の高いRCI経由での交換申し込みが必要で(RCIは当時リゾートトラストが日本法人を運営していたグローバルなリゾート交換組織)、しかも年間数泊という制限が付けられていました。
公式発表である「東京お台場に、日本初となる都市型会員制リゾート施設「東京ベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート」会員権販売開始のお知らせ」によればベイコート倶楽部会員は権利日の25%しかエクシブが使えませんでした。
しかしベイコートの販売不振のため、東京ベイコート倶楽部の権利日はすべてエクシブのレッドと同じと解釈されるようになりました。つまりエクシブの上位互換会員権となり、単なる社内交換となったわけです。しかしRCIを経由するという建て付けは維持されたため、グローバルなリゾート交換との齟齬が次第に表面化します。
その結果、リゾートトラストとRCIとの契約は破棄され、RTCCという疑似交換システムが立ち上がります。そのとき、この詭弁を取り下げればよかったのですが、RTCCが交換を担当しているという形式は維持されました。
RTCCの意義は海外リゾート交換の終了で失われた
エクシブとベイコートとの交換はリゾートトラスト社内の話ですから、ベイコート倶楽部のスタート段階のように別組織を使ってまで区別する必要はまったくありません。さらに今後はその別組織であるRTCCから、その土台である他社との交換サービスがすべて失われます。
同じ会社の別会員権の交換利用にRTCCが関係あるようにしたのは、過去のビジネスの名残であって、それを他社リゾートとの交換サービスが終了する今後も引きずるのは、筋が通らない話です。もうRCIによる海外リゾートの夢は終わったし、RTCCが引き継いだ擬似的な交換も終わったのです。会員権本来の機能を付加契約であるRTCCに担わせる裏付けはもうありません。
一方、エクシブ間の交換手数料だけでなく、エクシブとベイコート倶楽部の交換手数料ですら、ワンダーネットの制度のもとでカバーされてきました。
もしも、エクシブとベイコートや将来的なサンクチュアリコートの交換利用に今後もRTCCが関係し、会員から対価を取り続けるのであれば、せめてワンダーネットの交換料無料サービスを取り下げてRTCCサービスに組み入れないと、筋が通りません。しかし、そうなればワンダーネットの存在意義が失われ、年会費の減額を同社は強いられるでしょう。上記のように書類が公開されていて容易に退会ができるからです。
4月以降のRTCC契約には矛盾がある
この他にも、RTCCの矛盾点は挙げればきりがありません。
例えば、サンメンバーズ会員はRCI由来でRTCCに加入している例が多数ありますが(サンメンバーズワールドホリデークラブなど)、そもそもベイコート倶楽部の利用ができないのですから、RTCCはリゾート交換以外には目的がありません。エクシブのスタンダードの会員も同じです。リゾート交換サービスがなくなる4月以降、これらの人々がRTCCの会費を支払う理由がありません(RTCC旅行業サービスの部分だけしか解除しかできないため、使えないサービスのための費用を支払い続けることに)。
また、RCIジャパンが終わるときにRTCCに引き継がずにその分の付加契約を終了し、現在RTCCに加入していないエクシブ会員が多数います。そのような会員、つまりRTCC会費相当が年会費から減額された会員でも、エクシブとベイコート倶楽部は交換利用できます(ラージ以上)。
これこそは同社内リゾート会員権の交換利用にRTCCが必要ないことの現れですし、現状と照らし合わせて自然な状態です(RTCCに加入しなくてもエクシブとベイコートの交換利用が可能であるという部分については、RTCCができたときに同社から公式に文書が交付されていますので、明文化されており契約事項に準じます)。
最後に、現状のワンダーネットの交換手数料の免除規定を示します。以下の公式サイトでもご確認ください。
対象:ベイコート倶楽部会員様・エクシブ会員様・WTS会員様
下記会員様は、ご所有するホテル以外のホテルを交換利用する際に必要となる交換手数料が免除されます。
ケース1:
エクシブ会員様が契約施設以外の弊社リゾート施設を交換利用される場合。
(1件2,200円・税込 → 無料)
ケース2:
エクシブ会員様がベイコート倶楽部を交換利用される場合。
(1件1,100円・税込 → 無料)
ケース3:
ベイコート倶楽部会員様がエクシブ施設を交換利用される場合。
(1件2,200円・税込 → 無料)
ケース4:
WTS会員様が契約施設以外の弊社リゾート施設を交換利用される場合。
(1室1,100円・税込 → 無料)
タイムリーな記事ありがとうございました。
解除の申込期限が明日(3/31)までとの事ですので、本日解除の申し入れをしました。
実際には、4月以降に書面での手続きによって効力発揮とのことですので、4月以降の判断でよいみたいです。
tsukasa_fatmanさん、情報を役立てていただいて光栄です。
変化球でなく、ストレートにRTCC問題について書けばよかったんですが、それは4月1日以降がよいだろうと判断してワンダーネットをテーマとしていました。
他の方にも役立てていただけていればなぁと思います。RTCC問題についてはもう契約変更が行われてしまったので、段階的に真正面から取り上げていく考えです。
はじめまして、暑い毎日ですがお元気ですか?
ふと目についた記事でしたが、色々気付かせてくださり、ありがとうございます😊
これからも参考にさせていただきますので、よろしくお願いします。
ひまわりさん、いらっしゃいませ。難解な記事に(僕も消化しきれていない)コメントいただきましてありがとうございます。
ワンダーネットは同IDでのログインもできなくなり、ついに交換手数料の免除だけという、形骸化したものになっています。「統合予約サイト」なるものが登場したいま、この話題はもう一回ちゃんと整理しないと…。