昨日に引き続き、リゾートトラストの2020年3月期の決算内容についてレビューしていきます。同社の事業は主に3つに分類されます。以下は「昨年の」株主通信からの引用で、数字は2019年3月期のものですが、事業分類がわかりやすいのでこの図で説明します。

(前回の記事はこちら)コロナは稼働率にどう影響したか(リゾートトラスト決算 – 1)

事業は3分野に分かれている

リゾートトラスト株主通信

(画像出典:リゾートトラスト株主通信)

主要3分野とは「会員権事業」「ホテルレストラン等事業」「メディカル事業」です。新しいホテルを建てて会員権として販売することで収益を得るのが「会員権事業」、会員から会費を集め、会員制のホテルの営業を行うのが「ホテルレストラン等事業」。ビジネスホテルの「トラスティ」などもここに含まれます。そして、健康診断の会員権(ハイメディック)や老人ホームの運営が「メディカル事業」です。

さて、勉強会(オフ会)ではここで会場に向けて質問をするのですが、果たして、これらの3事業の利益貢献の割合は、何対何対何でしょうか?

主要3事業の利益の割合は?

以下の表は、決算発表資料から、2021年3月期の通期計画の引用です。コロナ禍の影響が見込めないため今期の計画は未定となっていますが、2020年3月期の実績がまとまって出ています。

リゾートトラスト決算発表資料

(画像出典:リゾートトラスト決算発表資料)

リゾートトラストでは、3事業の営業利益をセグメント別に発表して、それとは別に、間接費として全体にかかる本社費用を合算して公表しています。したがって、セグメント別の利益から按分した間接費を差し引かないと本当の営業利益がわからないのですが、ここでは間接費差引前の営業利益を用いて、主要3事業の利益の割合をグラフ化してみたものをお目にかけます。こちらです。

リゾートトラストの事業別利益割合

(リゾートトラスト決算発表よりresortboy作成)

先ほどの質問の答えは「7対ゼロ対3」というのが2020年3月期の結果でした。

日ごろから会員制ホテルを利用している立場からすると、やはりこの「ホテルレストラン等事業」の利益の低さが目に付きます。2月~3月にコロナ禍の影響を受けたとはいえ、1月までは影響がありませんでしたから、通年でギリギリ黒字(間接費差引前)というのはどういうことなのか、もう少し掘り下げて見てみましょう。

ホテレス部門の売上の中身

こちらのグラフは、決算発表資料から、ホテルレストラン等事業の売上の割合を示したものです。なお、ハワイの「The Kahala」に関しては、3ヶ月集計がずれているので、2019年1~12月の実績であり、コロナ禍の影響は含んでいません。

リゾートトラスト決算発表資料

(画像出典:リゾートトラスト決算発表資料。以下同じ)

この図によって、ホテルブランド別のビジネス規模がよくわかります。リゾートトラストで特徴的なのは、年会費収入と保証金償却収入が合計で15%ほどあり、実際のホテル営業ではない固定収入がかなりある、という点です。

ホテレス事業の利益減の理由

売上の中身がわかったところで、利益の中身を見てみます。

リゾートトラスト決算発表資料

この図の一番右が2020年3月期の実績です(0.9億の黒字)。その上に赤枠で示されている文字でわかりますが、ホテルの減価償却を組み入れない場合(減価償却は国ごとに制度が違うため、国際水準で比較する場合に償却前利益が使われることがあります)の営業利益は、65億円だったことがわかります。

年会費収入と保証金償却収入の合計は120億円近くありますから、そこがなければ償却前利益だったとしても、ホテルレストラン等事業が赤字水準であったことがわかります。

この現象(実質的な赤字経営)をどうとらえるかは、会員制ホテルというものの本質に関わる部分で、まさに勉強会(研究会)の主要なテーマの1つと考えていました。残念ながらみなさんと今、リアルにディスカッションすることは叶いませんが、ここでは深堀りはしないで先に進みます。お気づきの点などありましたらば、ぜひコメントをいただけましたらと思います。

上の図に戻ります。この図は、営業利益が昨年から25億程度減少した理由を説明したものです。1. 新規ホテルの開業などに伴う特殊要因、2. 台風やコロナの影響によるホテル稼働率の低下、そして3. ホテルの新規開業による減価償却費の増加。この3つの要因で営業利益が減少したとしています。

またこの図中では、3月末までのコロナ禍の影響は、マイナス10億規模であったと発表しています。日本経済新聞電子版によれば、同社の2~3月のキャンセルは累計7万室で、これによって営業利益が10億~12億円のマイナスであったとされています。

リゾートトラ、20年3月期純利益42%減 新型コロナで利用減:日本経済新聞

以上、今日は同社の利益構造について、主にホテルレストラン等事業についてのデータをレビューしました。次回は、コロナ禍の影響を踏まえた2021年3月期への展望について見ていきます。

(続き:コロナ影響下での営業や販売は?(リゾートトラスト決算 – 3)

4 コメント

  1. 初歩的な質問です。
    全てではないと判ってはいますが、
    ホテルを作った金額を会員権の名目で回収し、固定資産税も文筆、年会費という名で1施設としてはかなりの金額を毎年回収してると思うのですが、、
    この程度しか利益が出ないのですかねぇ?

  2. takurisoさん、コメントありがとうございます。

    記事で書いたように、会員権の販売が同社のメイン事業です。一方でホテル・レストラン部門は、会員制ホテルであるため利用料金が安い(昔の室料には「実費」という言葉が使われていて、儲けはないということを暗に表現していたこともあります)ため、高い収益を上げられるようにはもともとなっていない、という、同社の事業の特徴があります。

    エクシブも最初の鳥羽から33年が経過して、ホテル数も数十を数え、今後の開発余地もこれまでのように多くの選択肢があるわけではないため(もうかなりの場所に会員制ホテルを作ってしまったので)、老朽化していくホテルをどう運営していくのか、という部分により多くの注目が集まってよいと考えています。

    というわけで、ぜんぜんご質問へのお答えになっていませんが…^^;

  3. ホテル修行をしていた方、海外バカンスを楽しんでいた富裕層の需要が、果たしてエクシブに向くのか気になります。

    素人考えですが、プライベートリゾートを守りながらホテル稼働率をアップするには、
    休眠会員権の活性化が必須です。
    例えば使用頻度の落ちた会員権を徹底的に下取りして子会社に売却し、そこでパッケージ化して、
    東急ハーベストの「定期利用契約」みたいな「1年間だけ会員権」を可能にする。
    バージョンLみたいに、20年契約の償却資産としての会員権のラインナップを拡充する。

    いずれも、ターゲットは法人ですがどうなんでしょう?

  4. カミーさん、コメントありがとうございます。償却できる会員権については、実は決算発表資料に記載がありました。

    「既存物件新商品「バージョン20」」と書かれていて、まさにカミーさんご指摘の不動産登記のない20年使い切り(償却OK)の「新商品」を販売しているようです。

    しかし、公式にはインターネット上のどこにも情報が掲載されていません。会員権販売会社による直接の公式な商品とはいえ、その商品の実在性や実態というものに関しては、一切のリファレンスがないという点において、おおいに疑問がある商品のように思われます。

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