リゾートトラストは今日、2020年3月期の決算を発表しました。今回はその決算説明資料から、3月から本格化した新型コロナウイルスの感染拡大が、どのようにホテルの稼働率に影響しているのかを見ていきます。

実はこの週末には、この決算をレビューすることを主な目的とした勉強会(オフ会)を開催予定でした。しかし、東京は緊急事態宣言下にあり、予約していた会場も閉鎖となってしまい、結局、お知らせをすることもなく開催ができずにいます。

そこで今回は、できるだけその穴埋めを、決算に関する紹介・分析記事と皆さんとのコメントのやり取りとで行えればと考えています。

決算説明資料を見てみよう

まず見ていただきたいのは、リゾートトラストが公表している決算説明資料です。以下で公開されています。

(公式)決算説明資料|IR資料|投資家情報|リゾートトラスト株式会社

リゾートトラストは非常にしっかりとしたIRをする企業として定評があります。その決算説明資料の中から、まずは何と言ってもホットなコロナ禍の影響について、同社の会員制ホテルの通年の稼働率を通じてチェックしていきます。

エクシブの稼働率

まずはエクシブの年間の稼働率です。

画像出典:リゾートトラスト

(画像出典:リゾートトラスト決算説明資料。以下同じ)

2020年3月期には、新規のエクシブの開業はありませんでした。一方、ベイコート倶楽部の販売を中心に会員は増えている状況です(会員の増加については別記事を予定)。結果を見ると、4~6月、7~9月はほぼ前年度と同様の稼働率でした。10~12月になると連続して上陸した台風による影響を受けて、稼働率が対前年比で3.6ポイント下がっています。

さらに1~3月期には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、対前年比で5.2ポイント低下しました。

コロナの影響

以下は、そのコロナ禍の影響を示したグラフです。1月は対前年比微増で推移していて、2020年3月期は全体としてこうした傾向であったことを示しています。2月後半から影響が出はじめましたが、2月は前年並みで着地。

画像出典:リゾートトラスト

2月27日には政府が3月2日からの臨時休校を要請し、自粛ムードが高まります。それでも3月のエクシブの需要は、キャンセルと予約が交錯する底堅いものでした。

エクシブの3月の実績は対前年比3分の2程度を確保し、同社のビジネスホテル「トラスティ」の3月の稼働率が前年の3分の1に落ち込んだことと比較すると、会員制リゾートホテルという業態の強みが出ていたと言えます。

しかし、4月(これは決算期が違うので、参考資料として掲載されているものです)になると急変。緊急事態宣言を受けて一部の施設はクローズされ、新規予約も大きく低下し、稼働率は1割を割り込みました(休業のホテルも稼働率の分母には含まれています)。

ベイコートの稼働率

リゾートホテルであるエクシブはこのような状況でしたが、一方の「都市型リゾート」であり現在の主力商品であるベイコート倶楽部の稼働率はどうだったでしょうか。

画像出典:リゾートトラスト

2019年3月に愛知県蒲郡市にラグーナベイコート倶楽部が開業し、2020年3月期は通年で営業されました。東京都江東区の東京ベイコート倶楽部、兵庫県芦屋市の芦屋ベイコート倶楽部を合わせた3ホテルの稼働率になります。

4~6月はラグーナの開業効果で前年を上回る稼働率を上げましたが、夏場の7~9月には前年を割り込んでいました。また、秋の台風シーズンの影響はエクシブよりも大きく、さらに1~3月ではコロナ禍の影響で35.6%まで稼働率を落としています。

施設ごとの稼働率についてはデータがまだ発表されていないので(6月末の株主総会のタイミングで発表されるものと思います)、ベイコート倶楽部の稼働率については稿を改めて、再度取り上げたいと思います。ラグーナの初年度、芦屋の2年目の数字はどうだったでしょう。今日のところは全体の傾向だけチェックしました。

コロナは営業スタイルを変えるのか

今日はコロナ禍の影響について、稼働率を通じてホテル運営の面を見てきましたが、最後に、同社のビジネスに大きな影響があると考えられる点について補足しておきます。

それは、世界が「非接触」に向かっていて、他稿でも触れましたが、高収入な職業ほどその傾向がある、という点です。さらに、ホテル産業そのものが非接触を志向している。同社の主力である会員権販売にこの変化が与える影響がかなり大きいのではないか、という問題提起です。

(関連)横浜ベイコートの開業延期で考える都市型リゾートの意義 | resortboy's blog
(関連)ポストコロナで変わるホテルの常識 | resortboy's blog

これは僕の予想に過ぎませんが、同社が対象としている富裕層は、既にブランド化したクリアーで安心感のあるものを、「非接触的」な方法で購入する志向性が強まっていくように思われます。指名買い、というような感じでしょうか。

かつてのエクシブの営業は、どちらかというと「濃厚接触」に分類されるような、昔ながらの営業スタイルであったと思います。しかし、アフターコロナ、ウィズコロナの時代には、そうしたものはどうしても衰退するトレンドにあるのは間違いありません。

今後同社が、オンラインでのプレゼンスを高めて、今まで以上に商品の透明性を高めて、オンライン上で商談をクローズさせられるような、商品の強さ、クリアーさを明確に出せるようになるといいと思っています。

というわけで、次回は利益構造について触れましょう。かつて、勉強会(オフ会)でも質問したことですが、「会員権の販売」「ホテルの運営」「メディカル」の各事業の利益が、2020年3月期は何対何だったのかを予想して、上記の決算発表資料で確認してみてください。きっと発見があると思います。

(続き:主要3事業のバランスは?(リゾートトラスト決算 – 2)

3 コメント

  1. 湯河原の現状です。
    車で到着するとルームキーが渡され、駐車後に直接部屋へ。
    予約の調整や食事の確認は部屋で済ませる。
    5時過ぎにレストランが開いて7時にラストオーダー。
    8時にはレストランが閉まって一回転で終業。
    なので、鉄板などはかなり狭き門。
    大浴場は営業しているけど整髪料や髭剃りは回収されている。
    受付で係員を呼び出せば髭剃りなどは受け取れる。
    部屋番号を書いてタオルを受け取るという儀式もない。
    ロッカーは鍵があらかじめ刺さっていて、刺さっているロッカーのみが使える。
    使い終わったらロッカーキーを浴場フロントの鍵箱に戻す。
    係員側は鍵が戻ったところをまとめて清掃。
    ロッカーの中にはフェースタオルとバスタオルがあらかじめ入っている。
    お代わりタオルはあらかじめ脱衣所に置かれた会議テーブルに配置されている
    基本的に大浴場で係員には顔を合わせない。
    外風呂・内風呂・カラン・冷水器は以前と変わらず。
    サウナは三密回避で封鎖。でも水風呂は絶賛営業中。使う人はいないけど。
    夕食後にチェックアウト手続きをするよう促される
    翌日チェックアウトはベルに荷物を預け、ルームキーを渡して終わり。
    車を玄関につけて荷物を引き取ってそのまま帰路。
    安い「おひとり様プラン」で予約して、その実家族で乗り込んでも、
    まあ分からないよな。的なオペレーションでした。

  2. Balthasarさん、最新の利用形態のレポートをありがとうございました。

    ・チェックイン・アウトの非接触化(直接ルームイン、事前チェックアウト)
    ・大浴場のオペレーションの簡素化

    といったところは、これまでエクシブがこれまでの習慣にとらわれて改善できていなかった部分かもしれないですね。今後もコロナ前とは違うオペレーションが継続するのではないでしょうか。

    ・レストランのソーシャルディスタンス確保と稼働率の低下

    この部分は、エクシブの営業スタイルに大きな影響がありそうです。エクシブは素泊まりOKなリゾート会員権ですが、一方で多くのレストランをラインナップして魅力を高めてきました。しかし、施設によっては経年によるレストランの稼働率低下で、営業の合理化で定休日を設けたり営業を集約したりするなどの取り組みが見られました。

    (関連)エクシブ伊豆に見るレストラン運営の終着点 | resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

    このトレンドが今後加速するかと思われていましたが、しばらくの間は、「2回転」などの営業の合理化ではなく、「倍のスペースを使って三密を防ぐ」という方向での営業が予想されますね。

    料飲部門に力のあるエクシブだからできそうな前向きな話ですが、コストアップにつながる面も否定できません。動向を注視していきましょう。

    いずれにしても、エクシブは堂々たるハードウェアを誇る「密」になりづらい施設で、かつ、会員制で「プライベートリゾート」を標榜していてインルームでの対応も自然に行えるタイプのホテルですから、ポストコロナの旅行先としてはかなりよいチョイスのように思われます。

  3. 関東は未だに嫌なニュースが多いですね。
    私の居住している市では1人出たとか出ないとか比較的落ち着いていました。
    Go To トラベルキャンペーンの旅行業者を通じての業者とは何を指すのか今一不明でしたが、昨日発表された中に出ておりました。

    [6月2日に経済産業省が公開した説明会資料によると、「旅行業者」にあたるものは幅広く、中間事業者は旅行会社、オンライン旅行代理店のみならず、宿泊施設の直販予約システムも含まれている。]

    直販予約システムで該当するならエクシブも含まれるのではと思います。
    期待したいですね。

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