
低体温だった私の「体温アップ大作戦」 – 2
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
体温アップの第2弾は筋肉トレーニングです。歳をとってくると筋肉が減り、脂肪が多くなります。基礎代謝が減り、お腹が出てきて体形が崩れてきます。筋肉不足と運動不足が産熱量の低下をもたらし、低体温になります。老化が進み病気が出てきます。
筋肉トレーニング
この老化のスパイラルをストップさせるためには、筋肉アップと日常的な運動が必要です。私は自宅近くのスポーツクラブに通いはじめました。以下、私のジムでのルーティンワークです。
軽いストレッチ体操で全身をほぐしたあと、トレッドミルの上で速歩・ジョギングを20分、次に各種のマシンを使ってしっかり筋肉トレーニングを40分くらいします。最後にエアロバイク(自転車)に乗ってペダルを20分くらいこぎます。心地よい汗が額から流れてきて、気持ちがハイになります。
トレーニング終了後は、ロッカールームに併設されたお風呂に入ります。湯船でしっかり体を温め、最後は水風呂にどぼんと浸かって終了です。真冬でも水風呂に入ります。ものすごく冷たいですが、温冷水浴による自律神経の調整効果が期待できます。
私は1週間に5回くらいクラブに通い、もう10年以上続けています。今やスポーツクラブは完全に私の日課になりました。おかげで70歳のおじいちゃんにしては、適度に筋肉のついた「かっこいい体型」になっています。
深呼吸と自律神経
体温アップの第3弾は血流アップです。歳をとってくると動脈硬化が進み血の流れが悪くなります。動脈硬化の改善は一朝一夕には無理ですが、簡単に血流をよくする方法があります。それが深呼吸です。
皆さんもご存知のように、緊張して交感神経が優位になると血管が収縮し、血圧と心拍数が増加します。逆にリラックスすると、副交感神経が優位になり血管が拡張します。血管が広がれば血流もよくなり、血圧・心拍数が減ります。
実は、我々の呼吸は自律神経と関係しているのです。安保先生 1 によれば、吸う息は交換神経、吐く息は副交換神経に支配されているそうです。つまり、意識的に吐く息を長くすれば、副交換神経を意識的に刺激できます。
以下、安保理論に基づくfunasan流の深呼吸です。
ベッドやリクライニングのチェアに寝転び、目を閉じます。鼻から「1、2」のリズムで大きく息を吸い(基本は腹式呼吸)、一瞬呼吸を止めます。その後、できるだけゆっくり口から息を吐きます。「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」と、数を数えながら、時間をかけて息を吐き切ります。
頭を空っぽにしてこの深呼吸を10回くらい繰り返すと、心身ともにリラックスした状態になります。副交感神経が刺激され、血管拡張、血流アップにつながります。
これを風呂上がりに実行すると、リラックス効果が抜群ですね。温かい血が全身を駆けめぐっているイメージです。もちろん、その中に私の少数精鋭のリンパ球部隊が入っています。夜、寝る前に行えば、自然に眠りに入ります。
この深呼吸を通じて、私はますます「自律神経のコントロール」に興味がわきました。そして、次の本が私の愛読書になりました。
なぜ、「これ」は健康にいいのか?(小林弘幸、サンマーク出版、2011年4月、2016年1月文庫化)
「自律神経のコントロールができれば、誰もが自分の人生をコントロールすることができる」と著者は説いています。この本から自律神経の大切さを学び、その後の私の生活改善につながりました。
さらに、自律神経を整えるCDも販売されていたので、それらを購入して実践してみました。寝転がって、これらの音楽を聞きながら深呼吸すると、抜群のリラックス効果がありました。ある時期、私はかなり熱心にやりました。今でも時々、気分転換にこのCDを聞きます。
・自律神経にやさしい音楽(広橋真紀子、株式会社デラ、2007年7月)
・自律神経を整える。心と体のためのメンタル・トリートメント(広橋真紀子、株式会社デラ、2012年7月)
その後の私の体温
新型コロナが流行り出した2年ほど前の夕方、何だか熱っぽく感じたので体温を測ったところ、37℃ありました。これはまずい、コロナに感染したか?と、心臓がドキドキしてきました。
がんになる前の私なら、37℃も熱が出れば完全に風邪です。平熱が35℃台だったので、1度以上も上がれば体がしんどくなり、寝込まなければならない状態です。
ところがこの時は、喉の痛みはなく、咳も出ません。体はだるくなく、食欲もあります。おまけに普通にパソコンで仕事もできました。これって本当に風邪?と、何だか不思議な感じでした。体調不良はなく、翌日の朝は36.5℃くらいに下がりました。
実は私の体温はがんの手術の後、10年間くらいの間に、平熱が35℃台から36.5℃くらいにアップしたようです。体温はちょっと運動したり食事をするだけで簡単に上昇しますので、37℃は私にとって平熱のうちだったのでしょう。だから何ともない。
このようにして私の体温アップ作戦は成功しました。
参考文献
- 「体を温める」と病気は必ず治る―クスリをいっさい使わない最善の内臓強化法(石原結實、三笠書房、2003年4月)
- 体温を上げると健康になる(齋藤真嗣、サンマーク出版、2009年3月)
- 体温免疫力―安保徹の新理論!(安保徹、ナツメ社、2004年5月)
- 安保徹の病気にならない三大免疫力(安保徹、実業之日本社、2007年10月)
- なぜ、「これ」は健康にいいのか?(小林弘幸、サンマーク出版、2011年4月、2016年1月文庫化)
- 自律神経にやさしい音楽(広橋真紀子、株式会社デラ、2007年7月)
- 自律神経を整える。心と体のためのメンタル・トリートメント(広橋真紀子、株式会社デラ、2012年7月)
(続く)
【次回】第28回・私説「がん勝利の方程式」をご紹介します – 1
【前回】第26回・低体温だった私の「体温アップ大作戦」 – 1
安保徹の病気にならない三大免疫力(安保徹、実業之日本社、2007年10月)P48「鼻呼吸と爪もみ療法」参照 ↩︎
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」
私の平熱は36℃前後ですが、今冬は左足の踵があかぎれし、右足の小指がしもやけになり、痛くて普通に歩くのも苦労しました。
大した暖房もしないで過ごしたのが原因かと思いますが、年を取るごとに血行が悪くなってきていることを実感しています。
筋肉トレーニングや有酸素運動の励行に加えて、これからは深呼吸の習慣を取り入れて血流アップを図りたいと思います。