番組の途中ですがニュースです。8月のマリオット・SPG統合の混乱に乗じて、ヒルトンがヒルトン・オナーズのプログラムを改善し、攻めに出ています。改悪が普通のこのご時世に、商売敵の混乱に合わせて迅速に上客へのベネフィット強化を示したその姿勢は、実に痛快です。
最新のベネフィット一覧表がこちらです。
(公式)ヒルトン・オナーズ会員様向け最新情報(2018年版)
細かい解説は他の専門ブログに任せることにして、ここでは3つのポイントについて解説します。
まず1つ目は、ゴールド会員とダイヤモンド会員の客室無料アップグレードについて、ゴールドはエグゼクティブまで、ダイヤモンドは1ベッドスイートまでと名言したことです。
自分はこの数年、ヒルトンのゴールド会員として国内外で楽しんでいますが、今までは「空室状況に基づくプリファードルームへのアップグレード」という表現でした。これは「1ランクアップ」というのが定番の運用となっていて、ラウンジアクセスが付くエグゼクティブルームにアップグレードしてほしければ、その1ランク下のデラックスルームを予約しておくべき、というのが定石で、自分もそのようにしています。
しかし今後は、エグゼクティブまでアップグレード可能だとプログラム自体で明言しているのですから、一番安いヒルトンルームを予約してエグゼクティブにアップグレードしてもらうことも十分可能なのではないかと思います(そうでないと誇大広告になってしまいます)。
もちろん空室状況によるので保証はありませんし、逆に、今までも自分はそのような1ランク以上のアップグレードでエグゼクティブルームを利用したことも何度もあります。ただ、ゴールド(しかもクレカ保有によるなんちゃってゴールド)の身分としては、「エグゼにアップしてよ」とお願いするのは、何となく言いづらい雰囲気があったんですね。
しかし今後はプログラムで明言しているのですから、ヒルトンルームからエグゼクティブにアップグレードしてほしいというリクエストは「当然に可能」となりました。気分的なものだとしても、これは大きいと感じます。同様にダイヤモンド会員の方は、これがスイートルームに対してのリクエストが当然に可能となりました。
続いて、ヒルトン系列全ホテルにおける無料朝食サービスの明言です。やはり対象はゴールドとダイヤモンド会員です。
これまでも、ヒルトンの主要ブランドでは行われていたことなので、すごく大きな変化というわけではないのですが、今回、ヒルトンの全ブランドで無料朝食を共通特典として打ち出しました。これは明らかにマリオットに対する当てつけだと思います。
マリオットではホテルブランドごとにルールがばらばらで、訳がわからなくなっています。例えば、リッツカールトンでは無料朝食なし、セントレジスでは朝食かポイント加算のチョイス、コートヤードでは料飲クレジットかポイント加算のチョイス、といった具合です。
これに当てつけてシンプルに「全ブランドで朝食無料」とやったヒルトンの姿勢はカッコいいと感じます。
最後に、これは今回の改善ではなく今年4月に導入済みのものですが、エリートナイトの繰越というものがあります。
これはステータスを獲得した後(例えばゴールドの基準に到達した後)、年末の時点でその資格の維持に必要な宿泊日数(滞在数ではなく宿泊日数)を超えている場合、翌年にその超過分を繰り越してくれるという制度です(その分、翌年のステイタス維持が楽になります)。これもまた、マリオットがSPGとの統合を前に廃止したのに当てつけて、ヒルトンがスタートさせたベネフィットです。
というわけで、世界最大級のホテルチェーン群がし烈なサービス合戦を繰り広げている様は、ドメスティックなリゾート会員権を主戦場としてきた僕には、とても新鮮かつ魅力的に映ります。
何しろマリオットやヒルトンを使うのに、初期投資もランニングコストもありません。イヤなら泊まらなければいいだけですから、お客の参加はいつでも自由。
逆にホテルチェーン側も、儲からなくなればそのホテルを捨てて他に移っていく。残されたホテルは、リブランドして自らの位置付けを再定義したり、大規模投資をして生き残りに賭けたりする。そして、そうした自由競争から生まれる世界的規模での顧客の囲い込み合戦。
いいぞ、もっとやれ~。
いや〜、素早い報告ですね。
私も今朝、この情報を見て、本当か?と驚きました。
1泊もせずにマリオットのラウンジに潜入できた魔法のカード「SPGアメックス」の効力がなくなり、今後は、文字通り、年間50泊しないとマリオット・SPGの(無料)ラウンジアクセスが出来なくなりました。それ以外にも様々なサービスダウンがあり、特にSPG派は厳しい冬の時代をむかえています。
ここにヒルトンから悪魔のささやきです。
ヒルトン・ビザゴールドカードを持てばラウンジアクセスできますよ!
朝食も2名まで無料ですよ!
1名で予約しても、もう1人無料で泊まれますよ!
かくして、マリオット・SPGのエリートメンバーはなだれをうってヒルトン派に転向していく。(予想)
ヒルトンが成功すればマリオットだって黙っておれない。王様気分のようなマリオットのバカな経営陣も反省し、顧客優先のサービスアップに務める。
これが自由競争、資本主義の本来の姿でしょう。素晴らしい!
ヒルトンのオナーズが大盤ふるまいをしてもやっていけるのは、
別途ヒルトン系タイムシェアで稼いでいるからですよね。
タイムシェアというのがリスクを会員に押し付け
運営側に多大な利益をもたらしている
ことにもっと留意するべきです。
ゆめゆめ、安易にタイムシェアという商品に
手をださないことですな。
ヒルトンは、ブラックストーンが株式を所有していましたが、今年2つの動きがありました。
第1に、ヒルトンは、1月に、HGVCを分離してニューヨーク証券取引所に上場しています。
ヒルトンは、相当の利益を得たはずです。HGVCは、ヒルトンの名称を100年間使える契約を結んでいるようです。
上場企業なので、HGVCの利益は、ヒルトンには流れていないでしょう。
第2は、5月に、ブラックストーンが持っていた株式をヒルトン自身が買い戻しています。
HGVCの上場利益を買い戻しに充てたのでしょう。
ブラックストーンの支配が終わって、コスト管理を多少緩い側に転換したのでしょう。
HGVC38さん、フォローありがとうございました(^^)。僕もHGVがヒルトン本体とは独立していることは、同社説明会(別の記事で書いたもらったポイントでコンラッドにタダで泊まったという話)で聞いていたので、ああ、訂正コメント入れないと、と思っていたところでしたので助かりました。ありがとうございました。
ちなみに僕は、HGVやHLTの筆頭株主のグループのエアラインでマイルを貯めています。マイナーすぎる話題なので、記事にするのは控えていますけど…。
早速ですが、ヒルトンオナーズビザカードの申込ー検討することとしました。
SPGと比較して今後の優位性について大変興味あります。
HGVC38さん、情報ありがとうございました。
ちょっと調べてみたのですが…
ヒルトンの筆頭株主だったブラックストーンはヒルトン株をヒルトンに全部売却することによって、「11年間で140億ドルの利益を得た。初期投資額を3倍余りに増やした」とあります。もの凄い利益ですね。
一方のヒルトンはHGVCの株式上場で得たお金を使って自社株を買い戻して、ブラックストーンの支配から脱した。
いずれもニューヨークの株価が最高値近辺を維持している時に(ブラックストーンとヒルトンが結託した)なせる技です。まさにアメリカの株価資本主義のお手本のような作戦ですね。
今後、新生ヒルトンが世界最強になったマリオット・SPG連合軍にどのような攻撃をしかけてくるか楽しみです。