健全なビジネスだった20年前のエクシブ

昨年来続く連続的な値上げ措置について考えるシリーズ、まだまだ続いております。今日は時計の針を20年間戻して、2002年3月期のエクシブの営業効率がどのようなものだったのかを検証します。データを取りまとめた僕は本当に驚きました。

当時のエクシブは全エクシブで2,500円++のディナーがあり、利用実費制だった鳥羽・伊豆・白浜・軽井沢・鳥羽アネは1人3,000円+税、淡路島が3,500円+税という時代です。

(参考)エクシブのローエンドコース価格の変遷|エクシブの購入ガイド – resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

当時最新のエクシブはエクシブ初島クラブで、2002年3月期の稼働率は離島にもかかわらず66.8%。最も稼働率の高かったエクシブ鳴門本館は82.2%でした。また、エクシブ全体の稼働率は60.7%でした。

2002年のホテルレストラン部門の利益状況はどんなものだったでしょうか。2002年の投資家向け資料から引用します。

会員権事業が主力なのは今と同じですが、ホテルレストラン事業もかなりの収益を上げています。

この状況を経営者はどのように評していたでしょう。同じく2002年の投資家向け資料からの引用です。

ここで経営者(現在のリゾートトラスト代表取締役会長)は、「新規施設の累積とともにホテル運営の収益比率が高まっていくのが当社のビジネスモデルの特徴」と語り、会員権販売よりもむしろホテル運営の収益がビジネスの健全性に寄与すると説明しています。

それはその通りだと今でも思いますが、同社はホテル運営から収益を上げる道よりも、新規物件をどんどん作る「会員権生産企業」として高級化にまい進してしまったのは、皆さんご存知の通りです。

そのあおりを食ったのが、2002年におけるきら星のようなホテル群、今で言う「オールドエクシブ」です。どれだけ「きら星」であったのか、2002年におけるこれらホテルの従業員1人当たりの売上高を見てみましょう。

すべてのホテルで800万円を超えています。以下の記事で検証した現状と比較すると、2002年のエクシブの状況がどれほど健全かがわかるでしょう。

(関連記事)1人当たり売上高で見るエクシブとベイコート|リゾートトラスト – resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

ほぼすべてのエクシブにおいて現在の離宮をしのぐ1人当たり売上を記録しています。もちろん、時代が20年違いますから、当時と今とでは従業員のワークライフバランスや雇用の仕方に違いはあるでしょう、それを差し引いても、このデータは自分には衝撃的でした。

こんなにも、今のリゾートトラストの会員制ホテル群の収益性は低くなってしまったのかと。

何がそうさせたのか。結果から見た答えは簡単です。ホテルの魅力を向上させる施策よりも新規販売を優先し、経年によってホテルは魅力を失い稼働率は低迷し、それ以上にホテルの売上高が落ちているからです。

こちらのグラフは、当時と今とで連続した統計が得られるホテル、初島、蓼科、琵琶湖、淡路島、伊豆の2002年3月期と2022年3月期のホテル総売上を比較したものです(売上数値の単位は100万円)。

もちろん、2022年3月期にコロナ禍の影響はあるでしょう。それを考慮に入れたとしても、20年で売上が半減していることには、多くの方が驚きを覚えるのではないでしょうか。

リゾート会員権産業の成功の裏で、結果としてリゾートトラストは、会員制ホテルを作り過ぎているのではないでしょうか。

2000ゼロ年代以降の離宮シリーズの成功と東京ベイコート倶楽部の挫折をきっかけに、同社は2010年代からスーパーエクシブとしてのベイコート倶楽部を連発して記録的な売上を更新し続ける一方で、低稼働・高コスト体質のホテルを量産してしまいました。現在販売している新規会員権(サンクチュアリコート)も、ベイコート倶楽部と構図は同じではありませんか?

(関連記事)リゾート会員権論 8「高収益ビジネスの中身」|KASA Community – resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

そしてかつてのきら星、オールドエクシブは、それらの影でテコ入れされることもなく、衰退を続けています。リゾートトラストの会員制ホテルには大規模リニューアルの原資を提供する仕組みが用意されていませんから、時とともに相対的な魅力は失われていく一方です。

(関連記事)リゾート会員権論 11「会員制ホテルの構造的弱点」|KASA Community – resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

こうした袋小路に陥っている状況において、会員にコストを転嫁した。昨年来、無計画に見えるほどに繰り返される値上げは、そういうことではないでしょうか。エクシブにおける値上げは稼働率を下げることがわかっていますから、チェーン全体の衰退は値上げによって加速します。

(関連記事)エクシブの平均利用単価を20年分振り返る|エクシブの活用術 – resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

リゾートトラストの大量のホテル群は、これから20年後、どうなっているでしょう。ステークホルダーにとってそれを予測することは可能ですが、あまり考えたくない未来なのではないかと感じます。

10 comments

  1. 自分で買ったマンションは年々老朽化していきます。エクシブも原理としては一緒だから自分のタイムシェアの部屋が老朽化する事は仕方ありません。しかし会社の福利厚生費等で購入し、経費利用した購入者は償却が終わっているではないかと思う。オリンピック前、シティーホテル等がとんでもない値段になった時、まともな利用価格で利用でき大変助かった。トラスティを売却しホテル業を諦め、初心に戻ったわけだから期待したい。

  2. >結果としてリゾートトラストは、会員制ホテルを作り過ぎているのではないでしょうか。
    そう思いますが、RT社は営業(が強い)会社なので、これからも作っていかないと売り物がなくなるので仕事がなくなってしまいます。一方、会員も新しいホテルができることに喜びを感じ、結果オールドエクシブから離れていく。
    稼働率を上げるには、せめてオールドエクシブは部屋代も食事も値上げしなかったら良かったのに、と思います。
    あと今回部屋と食事を値上げしたら稼働率が下がるのは目に見えているのに、どうして年会費の方を値上げしなかったのでしょうかね?
    年会費を値上げしたら、来訪頻度の低い人の売却が進むのかもしれないですがRT社は中古市場に関与していません。来訪頻度が高い人は売却せずにこれまで通り訪問してくれる。
    事務局に聞いたら、今回の値上げは原材料費と人件費の高騰が原因だからコスト増をそこに転嫁したとは言ってましたが。

  3. リゾートボーイさん、いつも詳細なデータを用いての考察ありがとうございます。興味深く拝見させていただきました。
    マイリゾートともに価格改定の冊子と使い勝手の悪いアプリの使い方の冊子が届きましたが、改めてびっくりするくらいの値上げですね。原材料費と人件費の高騰との事ですが、なんていうか、企業努力というのが見えなくて、会員様お金持ってるでしょ、これくらい全然問題ないでしょっていう感じがして、なんだかなーと思ってしまいます。ますます稼働率が下がりそうですね。のぶぱんさんもおっしゃっているように、せめてオールドエクシブは値段そのままにしたら、そちらに流れるかもしれないのに。レストランの稼働率も下がりそうです。それによってサービスの低下も危惧されます。あとは新規販売にどれくらい影響があるかですね。あまり影響はないですかね。私個人としては、サンクチュアリコートも考えていたのですが、なんというか、熱が冷めてしまったというか、もう今のままのエクシブ会員でいいかなと。

  4. resortboyさん、皆さんこんにちは。

     年会費を値上げすれば、オーナーのみが負担することになります。
    RCや食事代の値上げは、ゲストの人も負担します。
    理屈は合っていると思います。

    しかし、値上げを容認しているわけではありません。
    オールドエクシブは据え置くべきというご意見には賛成です。

    新しい施設が出来るたびに、それまでお世話になった古い施設から足が遠のいて行くのは、まさしく私です。反省のいい機会です。

  5. >年会費を値上げすれば、オーナーのみが負担することになります。

    確かにそうですね。

    そして間もなくサンクチャリ鬼怒川か日光が販売開始になり、話題の中心はそちらに移り、オールドエクシブもまたさらに忘れ去られていくんでしょうね〜。
    この掲示板を見ておられる方はエクシブ愛があり、オールドエクシブも味わい深いと思っておられる方も多いはずなので、何とかできないものですかね〜。
    ただエクシブ伊豆でディナーが約9000円からだったら他のエクシブか伊豆であれば他のホテルでいいかになっちゃいますよね。

  6. RTの宿泊権利数は26泊→13泊→12泊→10泊とすごい勢いで減っています。
    反面共有する人数は14名→28名→30名→36名と、新規販売の人数を稼いで(その分顧客の便益は薄めて)新規で儲けられればそれでいいや、という哲学がよーく見える気がします。2002年の投資家向け説明資料とは逆方向ですね。

    ひどいのは年間10泊/36人共有なんていう会員権で、ハーヴェストの年間36泊/10人とくらべて哲学が反転してるんじゃないの、と突っ込みたくなります。
    さすがに、所有ホテルでは10泊超えのルールを追加してますが、RT側は痛いところはないしその点は賢いかも。オールドエクシブに逆輸入してもいいくらい(但し料金は据え置きで)。

    オールドエクシブのテコ入れって考えようによってはできることも結構あると思うんですよ。共有部にはRTの手が入れられるので、水回りを充実させる(家族風呂やトイレの拡充で高齢者層も来やすく)、共用部の段差をなくす、ワーケーション利用向けにリニューアルする(軽井沢の宴会場なんてどうでしょう)、無人ラウンジは反対の声もありましたので保留としてもオーナー専用スペースを作る(追加の建屋でもいいですし)、等々。

    熱海のリニューアルを取りやめたんですから1,2か所くらいでそれくらいのリニューアルをする費用は出そうだし、もっと言えば新規販売一棟分をすこし先送りしてより多くの施設に振り分けたりと、資金の使いようはあると思うんですがどうなんでしょうね。
    我々は別にRTの営業部隊を食べさせるために会員になっているわけではありませんので、すこし営業の方にはホテル側に配置転換してもらって、こういう施策を打ってもらってもいいんじゃないかという気もします。

  7. 現在のリゾートトラストが目指しているのは、高品質のホテル経営ではなく、「富裕層ビジネス」なんだと思います。

    エクシブの経営を通じて取得した富裕層名簿を元に、

    リゾートホテル会員権のお次は、リゾートと言っても、健康があってのことと、

    ハイメディック会員権を勧め
    (ゴルフが趣味の方にはゴルフ会員権も!ボートが趣味の方にはマリーナ会員権を!)

    健康診断の次は、高級老人ホームを!と、富裕層ビジネスを展開してきているのであり、

    ホテル経営は、ある意味、二の次なんだと思います。

    それが、ホテル経営にちゃんと向き合わずに、とりあえず 「値上げ」になる原因かと思います。

  8. らららさん
    こんばんは🌙😃❗
    激しく同意します。正にその通り!
    らららさんのご意見が全てと思います。

  9. まさに同意です。
    なので、Webサイトの「サービスインフォメーション」を開くと一番上に書いてある、
    「会員の皆様に寄り添い 麗しく上質なホテルライフをご提供いたします」
    なんていう、「富裕層なんてこう言っとけばだまくらかされるでしょ」という考えが見え見えの言葉を見ると背筋が凍っちゃうんです。
    いっそのこと、「寄り添い」じゃなくて「すり寄り」って変えればいいんじゃないかなーと思ってみたり。

  10. ベビーユーザーさん
    外の人さん

    ご返信ありがとうございます😊。

    日本には、100年以上続く、素敵なクラシックホテルも種々、あるんです!

    オールド・エクシブも、シンプルにすべき所はシンプルにした上で、自然豊かな立地を活かして上質なホテルに成長して欲しいですね💖

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