サンメンの価格据置から見えた「歴史的転換点」

リゾーピアを含めたサンメンバーズのリゾートホテルは、熱海、久美浜、別府、ひるがの、京都嵯峨の5カ所にあります。一番新しいのは2000年に建て替えられたひるがので、最も古いのは1980年開業の京都嵯峨です。ひるがのを除けば1980年代の建築で、およそ築40年を数えるホテル群です。

一般ホテルとしての色合いが強くなった

これらのホテルは開業当時は純粋な会員制ホテルであったと思いますが、サンメンバーズ会員の退会が進むに従ってリゾートトラストの持ち分が増え、今はむしろ一般ホテルとしての色合いが強くなりました。

以下はリゾートトラストの投資家向け資料ですが、「サンメンバーズ」のことを「一般・会員制のハイブリッド施設」と表現しています。かつてサンメンバーズ会員だった僕は、「会員制・一般向けのハイブリッド施設」と会員制を先に書いて欲しかったと郷愁から感じましたが、現実問題としては、会員を優先するような余裕はすでにないのではないかとも感じます。

10年前から一般売りがはじまった

サンメン施設が一般向け販売をはじめるようになったのは、公式には2011年のことだったと記憶しています。2011年にリゾートトラストは突如、ビジネスホテルブランド「トラスティ」のホームページにサンメンのリゾートホテル群を掲載し、以下のように案内したのです。

リゾーピア熱海は会員制ホテルですが、当社所有ルームの所有室数内でクラブトラスティメンバー及び一般予約を承っております。

リゾーピア熱海の開業は1983年で、このスクリーンキャプチャはそれから30年後の2013年のものです。つまり、会員権販売後およそ30年が経って、ジェネレーションが一世代進むと、会員が「歯抜け」状態となり、運営会社が一般売りを開始せざるを得なくなった、という事象です。

それから10年。多くが築40年を迎えるサンメンのリゾートホテルは、一般ホテルとしてどのような営業状況にあるでしょうか。

メタサーチのトリップアドバイザーを使って、閑散日でも繁忙日でもないという設定で、今年のクリスマスの日、12月25日(日曜日)に、大人2人で1泊するという条件で検索してみた結果をご紹介します。

なお、トリップアドバイザーには「じゃらん」などの一部大手OTAがデータ提供していないこともあり、これが「最安値である」というわけではありません。あくまで利用の一例とお考えください。

リゾーピア熱海(206室)の一般販売例

最安値のるるぶトラベルは素泊まり2名で8,900円でした。朝食2名付きで12,460円です。リゾーピア熱海のスタンダードルームは9,350円で、朝食は1名2,178円(1,800円++)ですから、一般の方が安いです。

リゾーピア久美浜(57室)の一般販売例

最安値の近畿日本ツーリストは素泊まり2名で11,660円でした。リゾーピア久美浜のスタンダードルームは8,800円ですから、まだ会員利用の方が安いです(一般価格が1.3倍)。

リゾーピア別府(57室)の一般販売例

最安値の近畿日本ツーリストは素泊まり2名で16,200円でした。リゾーピア別府のスタンダードルームは8,800円ですから、会員利用の方がかなり安いです(一般価格が1.8倍)。

サンメンバーズひるがの(36室)の一般販売例

最安値のYahoo!トラベルは素泊まり2名で14,400円でした。このプランで提供されているサンメンバーズひるがのスタンダードルームは9,350円ですから、会員利用の方がかなり安いです(一般価格が1.5倍)

サンメンバーズ京都嵯峨(67室)の一般販売例

最安値のYahoo!トラベルは素泊まり2名で10,800円でした。サンメンバーズ京都嵯峨のスタンダードルームは8,800円ですから、まだ会員利用の方が安いです(一般価格が1.2倍)。

こうして見てみると、室数がエクシブ並みに多いリゾーピア熱海のディスカウントぶりが目立ちます。他のホテルは規模がかなり小さいために、まだ一般売りの価格は会員価格よりも高く設定されています(年会費負担などは無視しています。それらを考えると逆転する例も多数あるでしょう)。

値上げの理由が経費アップなら、それはサンメンも同じこと

さて、来月11月からはエクシブの利用料金が客室を中心にかなりの幅で値上げされます。リゾートトラストは「昨今これまでにない世界的規模の原材料価格の高騰に加え、情勢不安による原油価格、物流価格の高騰により、客室のリネン費、光熱費の大幅な上昇や、さらに人材確保に伴う諸経費の増加など、自助努力だけで吸収することが難しい状況」と、その理由を説明しています。

(公式発表)ベイコート倶楽部・エクシブ 宿泊料金と夕食料金改定のお知らせ | お知らせ | リゾートトラストグループ事業ブランドサイト

しかし、これはサンメンバーズのリゾートホテルでも事情は同じです。サンメンバーズの利用料金は今回、据え置かれることになりました。

据え置きの理由は、すでに一部ホテルで一般利用の方が価格が安くなる逆転現象が起きている以上、値上げするわけにはいかなかった、ということではないでしょうか。

会員制ホテルが一般開放すれば価格コントロールが失われる

今後、別の記事でも明らかにしていきますが、一般に、おおむね築30〜40年を境として会員制ホテルはその運営を会員だけに頼ることが困難になり、なし崩し的に一般ホテルとしての販売を開始していく現象が、共通して見られます。

いろいろな理由が考えられますが、主たる理由は、会員が高齢化して利用しなくなるから、と考えてよいでしょう。別荘が廃墟になるのと同じことです。

会員制ホテルが一般に門戸を開くとどうなるでしょうか? 一般に、繁忙日を除いては会員価格の方が高くなってしまうという「逆転現象」が多く見られます。

一般ホテル化した会員制ホテルはすでに相当な築年を重ねており、新たなスポンサーを得てリニューアルなどのテコ入れを行うのでない限りは、市場にとってその時点ですでに大した魅力がないからです。オールドエクシブと東急ハーヴェストクラブは、築30年を超えて会員制を守ることができている稀有な成功事例です。

この逆転現象は、繁忙日と閑散日の利用に差が激しい日本においては、需給関係から大規模ホテルで起きやすいと言えます。リゾーピア熱海の上記事例はその典型と言えそうです。

会員制だからこそ値上げが可能だった

逆に「会員制」にこだわって一般開放を行わなければ、稼働率が下がり続けるという問題はありますが、価格を運営会社がコントロールできます。エクシブのチェーン全体での一律の値上げがこの現象です。リゾートトラストは、チェーン全体が高級化し続けるという虚構を設定したことで、人気を失ったオールドエクシブも含めて、全体として値上げに踏み切る選択を行いました。

一部のオールドエクシブでは会員の利用価格が一般ホテルと比較して優位性がない状況となっており(繁忙日を除きます)、会員制リゾートホテルという立て付けが、今は結果的に、運営会社が利用価格を高く維持するための方法としても使われるようになっています。

エクシブは一部を除いておおよそ200室規模の大型リゾートホテルであり、一般ホテルとしての営業を行っても閑散期の値崩れを避けられないと判断したのかもしれません。

会員制である以上、さしたるリニューアルは行えず、一般ホテルとしての開放も上記のように困難です(サンメンはこの状況下ですら値上げできませんでした)。オールドエクシブは初期施設が築30年を超えて築40年も視野に入りつつあり、もはや水回りなどが限界に来ている客室もあるように、利用者としては感じられます。

「会員制の方が値段が高い」。今回のエクシブの値上げで顕在化したこの現象は、リゾート会員権の発展史において歴史的な価値観の転換です。サンメンバーズが値上げを見送ったことで、逆にそこが浮き彫りになったのは、会員制ビジネスを考える上で示唆に富んだものであると感じます。

2 comments

  1. エクシブラージバージョンZ会員ですが、いつもクラブネットを利用して予約をしております。孫を連れてシルバーウィークに宿泊をしよう1カ月前位にサンメンバーズひるがのに予約を入れました。当然のことながら、キャンセル待ちの状態でしたので何の気なしにそもままにして他の旅行先を選択して一般のホテルに予約を入れ旅行計画を立てました。シルバーウィークも近づき2日ほど前になり、ワンダーネット予約サイトから予約の確認メールが届きました。焦ってワンダーネットよりキャンセル通知を入力しました。以前はこんな事はなっかったように思いますが、一般客の予約待ちをしている為の弊害?と思わせる様な記事でした。

  2. サンメンバーズひるがのに行ってきました。コンパクトですが素敵なホテルでリラックスして過ごすことができました。車寄せはミニエクシブのような佇まいで十分にリゾート感があります。ロビーの釣鐘型の暖炉とかアルプホルンの飾りとかホテルのデザインの元ネタは蓼科東急ホテルですね。東急リゾートを1/2サイズにしたようなミニリゾートホテルですが、これが身の丈に合ったリゾートというかハーベストで言えば箱根明神平のようなジャストサイズ感があって非常に好ましく感じました。建物は木をふんだんに使っておりコストがかかっています。館内はとても手入れが行き届いていると感じました。先月泊まったエクシブ蓼科で壁紙の破れやカーペットのシミが目立っていたのと対照的です。お部屋も必要十分な広さでした。ベッドの寝心地もとても良かった。朝も夜も大浴場は貸切状態でお風呂もゆったり入れました。お客さまが多くてスタッフは大変そうでしたが接客は良い印象でした。難点は周囲に何もないことで、連泊すると昼食難民になるのが避けられません。周囲は北軽井沢風の開発に失敗した別荘地でお昼を食べるお店がありません。今回中華料理の翠花が満席だったのでスキー場のレストランで鶏ちゃん定食をいただくことになりました。ホテルの方とお話ししましたが、お客さまの9割はサンメン会員で一般の方はほとんどいないそうです。サンメン施設の例外は鹿児島で8割が一般のお客様で実質ビジネスホテルだと言ってました。もっと近ければ利用頻度を増やしたいホテルです。リゾートトラストの他のホテルもひるがのくらい良いスタッフを配置し丁寧にメンテナンスをして運営して欲しいと願います。

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