前回は、東急ハーヴェストクラブの「はじまり」である蓼科本館をご紹介しましたが、今日は、「最新アルバム」と言えるVIALA軽井沢Retreatについて、明日の開業を前に、前振り的に印象だけを書いてみたいと思います。
というのも、この物件は縁故募集で多くが売れてしまったようで、まだ報道発表すら正式にされていません。また、僕は現地取材をしましたが、なにしろ特殊なホテルであるため、開業前の工事中ではろくな撮影ができませんでした。
明日はさすがに開業日なので報道発表が出ると思います。そこで報道用の写真が使えるようになるので、再度記事を書きたいと思います。ですが、ややもするとそれもなく、謎のホテル化してしまう感じもしていますが…。報道発表が出なければ、まぁ資料集めはしてありますので、またそこから何か拾って書きましょう。
正式名称から見えるもの
ホテルの正式名称は「東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat」と言います。さらに、その中で2つに分かれていて「東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat creek」と「東急ハーヴェストクラブVIALA軽井沢Retreat garden」の、2つの会員制ホテル(リゾート会員権)があります。
名前が長いですね。こういう、ちゃんと名前が付けらないような感じの商品には、そこに「理由」があると思います。
分解して説明します。「東急ハーヴェストクラブ」は東急不動産のリゾート会員権ブランド、「VIALA」はその中の上位サブブランド、「軽井沢」は所在地、「Retreat」は開業済みの本館に対して後付けで販売する戸建て別荘タイプを示すサブブランド、「creek」「garden」については、この後で説明します。
「名は体を表す」と言いますか、この名称が象徴的です。東急ハーヴェストクラブのいろいろなビジネス要素を組み合わせて、こねくり回してそれらしいものを作った、ということが、見事にネーミングに現われているではありませんか。
最初に言いますが、HVC軽井沢(塩沢)が発表されたときに「目をつぶって買え」とまで言った僕としては、この物件は「そっ閉じ」です。ホテル愛好家からすれば、「売れるから作った」と言わんばかりの「作品」に見えます。
注)僕は、ホテルというものを、建築の背景も含めた「作品」として楽しんでいるので、このように表現(酷評)していますが、客室をお使いになるそれぞれの方の「実益」はまた別のものです。そこは分けて考えていただければと思います。
老獪なアーチストが、ちゃんとしたアルバムを作れずに、A面とB面とで別コンセプトの「ニコイチアルバム」をリリースしてしまった。そんな風に感じます。
既存のハーヴェストクラブ軽井沢の裏手
立地はHVC軽井沢の裏側です。Googleマップからの引用を示しますので、これで一目瞭然と思います。
creekとgardenの違い
creekの方は鉄筋コンクリート造2階建の29室で、客室面積が72㎡~146㎡と広めで、全客室に半露天の温泉とキッチンを装備した、別荘代替ホテルです。コネクティング対応客室やペット対応客室が特徴的です。次の写真はcreekとgardenの境目で、右手がcreek、左手がgardenになります。
一方のgardenは、木造平家建が4棟、木造2階建が10棟です。よりいっそう別荘感覚に近づけた商品で、全客室に半露天温泉とキッチンが付いているのはcreekと同様です。戸建ですがバリエーション豊かで、客室面積は55㎡~132㎡と幅があります。そしてgardenにはパブリックスペースとしてクラブハウス棟があります。
creekとardenは共有対象となる不動産が異なるのであくまで別の会員権ですが、特定期間の抽選以外は、お互いの施設がホームグラウンドとして利用できるという、運用面もまたニコイチとなっています。
というわけで、大枠のコンセプトと現地取材で受けた印象だけを今日は前振りとして書きました。ちゃんとしたデータを示して客室や設備の紹介は、次回としますので、どうぞお楽しみに。
軽井沢会の仲間がゲスト用に買ったそうなので、覗かせてもらおうと思います。
開業前に外も中も見る機会がありました。「そっ閉じ」に笑ってしまいましたが賛同します。resortboyさんのご意見の通りでホテルの客室としては問題ないのですが建築作品として見るとダメダメです。特にcreekの方。敷地に合わせた不自然な建物の並びや2棟目の曲がりが美しくないし1階フロアのレベルが下がっていくという仕様は論外だと思いました。外廊下もパセオと同様容積率を下げるために採用したもので狭い敷地に部屋数を多く取りすぎです。(参考 本館へのアクセスが問題だ resortboyさん 2012/03/31)
お部屋はいい感じです。室内は明るくリラックスできる雰囲気で窓の外のグリーンも上手にしつらえてあり隣地が近いことを感じさせません。軽井沢VIALLAより人気が出ると思います。本館との往来については小型の電動バス(最高速度19km/h、運転手も含めて6人乗り)を導入しました。
まさひろさん、ノラさん、コメントありがとうございます。
無事に発表され、報道用の写真も入手できましたので、続編を書きます。今日はちょっと忙しくて時間が取れないので、明日にでも…。また見てください。
まさひろさんのコメントではたと思ったのは、このホテルは「ホテルじゃない」ということですね。別荘をお持ちの方が、そこをベースに何かを、土地の雰囲気や文化の連続性の中でプラスしようとしたとき、今回の物件はアリなのかもしれないと感じました。
ノラさんのコメントで改めて思ったことは、東急もまた、彼らなりのやり方で「その一室を削り出せ!」と号令をかけたのだな、ということです。僕が好きではない以下のホテルについて書いた以下の記事と、何か共通点があるような気がしました。ホテルとしての快適性とはまた別の話なんでしょうね。ホテルの外観は、僕にはとても大事なことなんですが。
その一室をけずりだせ|エクシブ湯河原離宮 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究