混乱する香港に来てしまった

お盆休みは例によって香港と台北を周遊してきました。しかしご存知のとおり、今年は香港で大規模なデモ活動が起きていて、香港行きをどうするのか、直前まで悩んでいました。冒頭の写真は、週末のがらんとした香港国際空港のミッドフィールド・コンコースです。言うまでもなく、香港便の飛行機は空いていました。

出発前にはずいぶん悩んだんですが、具体的な指針として、外務省が危険レベル(1が注意で3が渡航中止勧告、4が退避勧告です)を付与したら、香港に行くのはやめようと思っていました。しかし、出発の時点ではレベルの設定はなかったんですね(レベル1が設定されたのは出発後の14日でした)。

ところが、行く直前になってデモ隊が空港で座り込みをはじめて、多くのフライトがキャンセルになりました。もはやこれまでかと思ったところ、空港での座り込みは平和的に行われているという情報を得たので、「通過するだけなら問題はないだろう」と判断して、旅行自体は決行することにしたのでした。そもそも飛行機も飛ぶのかわからないし、まぁビジネスクラスだからラウンジで飲んだくれていればいいと。

ただし安全を確保するために、旅先を変更して旅立つことにしました。当初は、尖沙咀のネイザンロードに近い場所にホテルを予約していたのですが、さすがにそれは不安があるということで、その宿は捨てることにしました。アドバンス・パーチェスでキャンセル不可でしたし、衝突が起きた旺角の警察署の近くでしたので、さすがに近寄りたくありませんでした(あまりに計画的にことを進めるとこのようなこともあるのです)。

香港でなければ行くのはマカオと決まっています(後でわかったことですが、深圳では中国軍のデモ鎮圧のための武装訓練が行われていました)。

結果的には飛行機のディレイも発生して、マカオには思いの外ゆっくり滞在できたので、マカオ半島の世界遺産もそれなりに満喫してきました。コタイ側で利用したのはヴェネチアンだけでしたが、バスでコタイの様子もぐるっと見てきました。それにしてもヴェネチアン人大杉。

結果として自分が危険な場面に遭遇することはなかったのですが、振り返れば危険と紙一重の行動でもありました。以下、自分が体験した少し生々しいことを書きます。

マカオに行く際には、スカイピアからフェリーで向かえば、香港に入国することなくマカオに行けます。しかし、飛行機がディレイしたので乗り継ぎがよくありませんでした。そこで、新しくできた香港とマカオを結ぶ世界最長の海上橋「港珠澳大橋」を渡ってみたいと思っちゃったんですね。

それでいったん香港に入国することにしたのでした。

到着ロビーに出ると、通路に沿ってデモの参加者がこんな風に通行者に対してアピールを行っていました。絵柄からは何やらものものしい感じがしますが、声を荒げることもなく、平和的に主張をするためにこの場(空港)を選んだように感じました。

通路を抜けてロビーに出ると、フロア一面にプロテストカラーの黒い服を着たデモ隊が集合していました。

しかし、これも単に座っているだけで、派手な行動ではなかったのです。若い人がとても多く、中には家族での参加も見られ、今回の逃亡犯罪人条例等改正問題に対する社会全体の関心の高さを目の当たりにしました。

こうして見た目とは裏腹に、特に怖い思いをすることもなくロビーを抜けて、バスターミナルからバスに乗ってマカオを目指しました。

しかしこの後、空港ではデモ隊と警察が衝突します。その夜、YouTubeで中継される暴動を、僕はマカオのホテルでこれ以上ないリアリティを持って見ていました。そして翌日、空港はロックアウトされることになるのです。

その影響を自分も受けました。香港での出入国を避けて、マカオのフェリーターミナルでチェックインしてしまって香港発の飛行機に乗ろうとしたのですが、実際にはそれは許されず、マカオから一度香港に入国して、香港国際空港から出国することが必要でした。空港に入るだけで警察のセキュリティチェックがありましたし、そもそも入口が限られていて、どこから入れるのかすらわかりませんでした。

さらに告白すると、この日は10代の娘を2人連れてのマカオ行きでした。スマホで手に入る最新情報と、現地での情報を重ね合わせて、リアルタイムで判断を下しながら一つずつ課題をクリアしていく。そんな最高の社会勉強の場所であったとは思いますが、一方で、衝突事件のあった現場に未成年の子どもを連れて行ってしまったことについては、謗りを免れることはずっとないと思っています。

というわけで、無事に東京に帰ったので、こんな文章をしたためているところです。

2 comments

  1. resortboyさん、無事に帰還できて良かったですね。

    スマホと中国語・英語を屈指して最適解を見つけて即断・即決!
    しかも10代の娘2人を連れての逃避行?
    平和な日本にいては生涯体験できないような「最高の社会勉強」をされましたね。

    感受性の強い娘さんたちは何を感じたのでしょうか?
    平和な日本社会と危機感にあふれる香港との違い?
    国際政治への目覚め?
    少なくとも危機を脱して無事帰国まで導いた父親に対する信頼感や尊敬の念は増したのではないでしょうか?

    それにしても香港の人達の腹の座った抗議行動には感動します。
    絶対に譲れない一線を死守する!
    老いも若きも連帯してデモに参加している姿も感動です。

    香港の今を見ると、平和ボケし、ゆでガエル状態になってしまった日本や日本人が浮かび上がってきます。
    もっと怒れよ、日本人!反省です。

    funasanこと舟橋栄二より

    追伸:今日から2泊でセラヴィリゾート泉郷の「ホテル蓼科」に行ってきます。
    天気が悪く車山ハイキングはダメになりそうですが、3才の孫連れ家族旅行(娘夫婦との5名、2部屋)なので、ホテル滞在を楽しみます。
    ところでセラヴィは激安です。メンバー優待料金(お手軽プラン)で1人1泊2食7100円(税・サ込)で泊まれます。夏休みでもお盆過ぎの平日はオフシーズンになり、この値段です。
    朝食・夕食ともにビュッフェですが、値段に比べれば十分満足いくレベルです。
    夕食ビュッフェにビーフがあるかしっかり確認してきます。
    では、出発します。

  2. 私は以前5年ほど台北に住んでいたこともあり今回の香港の市民運動が他人事とは思えません。中国政府も非常に難しい対応を迫られていますよね。

    話は変わりますが10月に横浜から釜山へのクルーズを予約していましたが日韓関係の悪化によりキャンセルしました。
    日本からの観光客に対し危害が加えられるはまず無いとは思いましたが不安を抱えてあえて旅行する必要はないと考えたものです。
    一方、やはり先週横浜港発のクルーズも予約していましたが台風10号の影響でこのクルーズの目玉であった熊野花火大会が2週間延期になってしまったため、大時化が予想される中あえて行くだけのモチベーションもなくこれも出航前日に急遽キャンセルしました。
    どうもついていません。

    予定が空いてしまったため信州に行くことにし、軽井沢、蓼科とエクシブを泊まり歩いています。
    新鮮さには欠けるもののまさに我が別荘に来ているようで落ち着きますしこれはこれで良かったと思います。

    来月もクルーズを予定しており台風とぶつからないことを祈っている次第です。

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