東急ハーヴェストクラブ発展史の草稿メモ

1カ月くらい、集中して東急ハーヴェストクラブのことを考えようと思っていたんですが、なかなか思うように時間が取れないので、研究データ的なものを皆さんにお見せしながら、オフ会までの3週間を使っていっしょに考えてみたいと思います。今日は、最近の東急ハーヴェストクラブに対する違和感はいったい何なのかを、同クラブの発展史を振り返りながら考えてみます。

データは可視化して俯瞰することが大切です。というわけで、ハーヴェストクラブの開業年と室数をプロットした散布図を作成してみました。ご覧ください。相変わらず、細かな説明は省いていますけれど、今日は俯瞰的な話題ということでご容赦ください。

ただ、東急不動産保有分(ホテルハーヴェスト扱い)を含んでいたり、他社との相乗り施設ではハーヴェスト設定分だけだったりするなどの、致し方ない不統一があります。

すると、このクラブの開発史は大きく分けて4期に分かれることがわかります。

発展期:バブルに乗って規模拡大の連続

1988年に蓼科で生まれた東急ハーヴェストクラブは、リゾート列島と化した当時の世情を反映して、次々と会員制ホテルを分譲し、規模も拡大。南紀田辺では蓼科の90室から倍以上の187室まで拡大しています。

並行して軽井沢万平や静波海岸など、他社との合弁事業が試され、初期の大型開発期が過ぎるとそれらがむしろ主流になります。この時期が同クラブの「発展期」であると位置づけられます。

模索期:アネックス、既存ホテルへの会員権設定、VIALAの登場

発展期の後半、1990年代半ばからは開発手法が多様化しています。それまでは純粋な新築ホテルの分譲がメインでしたが、この「模索期」の10年程度の期間は、3種類の開発手法が混在するようになります。

メインは新築の分譲で、旧軽井沢、箱根甲子園、那須といった人気施設が150室規模で生み出されます。

サブとなったのが他社既存ホテルへの預託金制会員権の設定です。山中湖マウント富士、蓼科リゾート、裏磐梯グランデコといったものです。

並行して既存の人気施設に「アネックス」を加える手法が試されます。蓼科アネックス、旧軽井沢アネックスです。

そしてこの模索期の最後に、生まれたのがVIALA箱根翡翠です。立地は箱根甲子園に対するアネックス的なものでしたが、旧軽井沢アネックスで試された高級路線を推し進めます。結果的にこれがハーヴェストクラブの事業サステナビリティに大いに貢献することになります。

確立期:ダブルブランドをメジャーリゾートで展開

模索期を経て迎えた2010年からの10年間が、同社のビジネスをようやく確立させるものになったように感じます。それは箱根翡翠で得たダブルブランド戦略です。

有馬、伊豆山、京都(鷹峯)、軽井沢(塩沢)といったメジャー観光地で、素晴らしい施設を連発します。いずれもVIALAを併設し、規模もそれなり(上記グラフは本館とVIALAの合計値です)。

これらの施設は高く評価され、同社の会員権はコロナ禍をきっかけに急速に高騰していきます。

錬金術期:各種手法を組み合わせた小規模開発

コロナ禍のあとの話は現在進行形なのでまだ総括できませんが、「錬金術期」と名付けてみました。

一般ホテルの中に会員権を設定する「Inタイプ」、小規模なVIALA単独施設、既存ホテルに増設する木造戸建(Retreat)など、あらゆる手段を使って収益増を図っているように見受けられます。

というわけで、おおざっぱに振り返ってみました。僕はハーヴェストクラブにそんなに詳しいわけではないので(会員になったことはありません)、ぜひ会員の皆さまからの生の声をお聞かせください。

リゾートトラストと比較して、面白いなぁ、と思うところがいくつもあるんですが、それはオフ会でお話できればと思っています。

12月9日にオフ会、RT決算と東急をテーマに

10 comments

  1. おはようございます。今日は母の大腿骨骨折の手術があり、その待ち時間を利用してコメントしています。

    会員権を客観的な見地で分析する手法も面白いですね!私の様に主に利用する立場(+資産としての維持管理)ですが、実際に感じている事に加え新たな見方が出来て助かります。

    私はRTについては全く経験がないのでHVCでの体験のみとなってしまいます。資産という観点では既に指摘されている様にこれまでは東急不動産がしっかり対応して来ていたので(これまでは現状からするとかなり割安だった)安心感があります。ただこれから新規物件を投資対象として考えるかというと、高額物件が中心である事、売出し価格も強気であることから積極的にはなれませんね。

    また、施設が急拡大していることの裏腹として、人員不足の傾向が時々見受けられたり、以前の様なそれぞれの施設の従業員と仲良くなってリピート毎にウェットな関係を築ける部分が薄くなって来た様に感じています。

    私は平日利用が可能なので最も利用回数が多いのはホームではない熱海伊豆山、1人でふらっと訪れて屋外温水プールや温泉を楽しんだ後今はサービスが縮小してしまった和食レストランでの夜食を一杯やったりするのが乙でした。長期滞在なら軽井沢や蓼科などは最高です。Vialaは最初に出来た箱根翡翠が既存施設からの独立性やプライベート感の演出が程良い感じで好きです。

    私は写真撮影が好きでグループでの写真展に10年近く参加していることもあり、施設内や近辺の気に入っているフォトスポットでの撮影も個人的なモチベーションの一つです。

  2. 1999年からHVC会員のノラです。9日は箱根翡翠宿泊の予定で参加は叶いません。
    資料を一つご紹介、こちらで東急100年史がご覧いただけます
    https://www.tokyu.co.jp/history/
    ここではリゾート事業についても記載されていますがハーヴェストクラブや東急リゾートについては僅かな記述にとどまっています。本社視点から見ると東急リゾートの事業は目に入らないくらい小さい位置付けだったのかもしれません。
    東急リゾートと東急ステイは東急のメインストリームではありません。次男の起こした分家の事業みたいな立場でしょうか。電鉄が失敗した裏磐梯グランデコを押し付けられたり便利に使われたこともありますが、一方では東急本体から強い統制を受けない時代もあったようです。社員も含めておっとりとした保養所文化がありました。再編されて東急リゾーツ&ステイが発足したのが転換点で、ハーヴェストの運営や開発も利益第一になってきたように思います。

  3. エクシブで3つホテルの会員として約20年利用して、現在は東急ハーヴェストクラブ1つ、ヴィアラ2つの会員です。
    2つとも長い間 触れ、その違いが面白いです。

    エクシブは友人を連れて行くと、大金持ちの別荘さながら、その豪華さ・デザインの奇抜さで、全員腰を抜かします(笑)
    一方、ハーヴェストは高級マンションの一室の感じで、快適性を喜ばれます。

    2つの会員制リゾートホテルの違いは、まんぼうさんなど、他の方が詳しく書かれていますので、1点だけ追記します。

    RTと違い、(最近のSCは変わってきているようですが)東急は売出しから徐々に会員権の価格を上げていきます。
    昨今ほとんどのホテルが、中古市場で新規販売より値上がっていますし、出来れば早めに購入した方が、価格の面では有利です。
    ヴィアラ箱根湖優などは、特別縁故会員権の応募が殺到して、3倍以上の抽選となり、次の縁故会員で(竣工記念販売分を残し)ほとんど売れてしまいました。
    既オーナーへのセールスも、殆どありません。
    東急の新規価格で購入すると、多かれ少なかれ損はしない、将来儲かると言う安心感は、購入者にとって大きかと思います。

    もちろんリゾート会員権は、売却益を期待して買うものではありませんけど。

  4. 蓼科アネックスまでは開業時価格を割っていて2000年代の旧軽井沢から後の施設は開業価格より値上がりしています。この違いがどこから来るのか会員にもよく分かりません。熱海伊豆山の異常な高騰も理解できません。今年買い替えで元箱根を購入しましたが割高に感じます。最近の東急の値付けにはイマイチ納得できないでいます。

  5. リゾートボーイ様、初めまして。いつも興味深く拝見しております。もともとHVCの会員で、貴ブログでエクシブを勉強し、中古エクシブのスーパースイートを購入しました。
    最近はエクシブの利用が多いです。HVCは品のある知的なシンプルさが魅力であったのに、最近は豪華施設(私には張りぼてのように思える)に力をいれていて、部屋売り(一室当たりの利用料)志向になってしまいました。
    箱根明神もリニューアルしてホテルインになる案内が来ました。クラシックでとても素敵な施設だったのに、今風のサステナブルっぽいリニューアルで部屋売りになってしまいました。
    一人での利用が多く、HVCの一人ごとの利用システムがコスパが最高だったのに、今後の新施設ではもう期待できないかなと思っています。

    豪華さを求めるなら、常識を超えて度肝を抜こうとしてくるリゾトラの方がある種の本物感があります(異常さが魅力)。だからヴィアラに泊まるならリゾトラに泊まります。
    一人の利用料も朝食をつけると8千円を超えるようになって、これならディナーチョイスとオーナーズステイでスーパースイートに泊まる方が、お食事はリゾトラの方が美味しいのでコスパが良いです。
    スタッフも、喜んでもらおうと虎視眈々と観察しているようで、リゾトラすごいなと感心します。チェックインでの何気ない会話をレストランと共有して、全力で泣かせに来られたことがあって、私にとっての会員権の魅力の本質はこういう所かもと感じます。
    ただしHVCは夕食がデフォではないので、一週間くらいの長期滞在ならばHVCを選択します。シンプルな気楽さはHVCです。
    私はヴィアラ会員ではないので、会員ランクによって感じ方に差はあるかも知れません。

    HVCの違和感の記事を楽しみにしております。

  6. マイアミさん、ノラさん、リゾートねこさん、ののさん、さまざまなお立場からのコメントを大変ありがとうございました。

    オフ会でのディスカッションの準備として、こちらのスレッドでもいただいた意見から、僕なりの言葉で論点をピックアップさせていただきました。

    ・東急不動産の資産価値保全に対する安心感と、最近目立つ強気姿勢、縁故販売により買換と価格釣り上げ

    ・東急リゾートサービス、東急ステイ、東急ステイサービスが統合(東急リゾーツ&ステイ)した影響

    ・エクシブの豪華路線との対比で快適性が感じられる

    ・パーソンチャージからルームチャージへの変化

    ・VIALAに行くのならリゾートトラストの方が?

  7. 今後このような機会は少ないと思うので、予約システムの違いも触れられたらいかがでしょうか?
    ご存知の通り、東急ハーヴェストには占用日がありませんが、代わりにホームの権利が非常に強く、 ホームの会員に2/3程度の部屋が割り当てると思います。
    これにより、人気の施設の予約はハイシーズンや 週末は大変困難です。今後も新設のヴィアラなどは、平日を含め、直前キャンセルが出ない限り、予約が取れないのではないかと思われます。
    またビアラの会員であれば、2ヶ月前から予約できますが、HVC会員は1ヶ月前なので、より難しくなります。
    これが、私がヴィアラを買い増した一つの理由でもあります。

    どちらが良い 悪いではなく、面白い違いですね⁉️

  8. 最近人気施設の土曜日利用はさらに予約が厳しくなっておりホーム割当てが9割に達することもあります。50室以下の施設では相互利用で土曜日を確保するのは極めて困難です。完売していないのに飛騨高山もなかなか取れませんね。今度のnol hakone myojindai も10室しかありませんから予約至難施設になるでしょう。またVIALA会員は会社員が少ないので金曜から連泊される方が多く週末に開放される客室はHVCより少なめです。週末利用が多いとかペット部屋宿泊を確保するためにVIALAを3つ購入した方までいるそうです。

  9. 前のコメントはざり改め健忘症のノラのコメントです。最近週末の予約が取りにくいという単なる愚痴でした。お読み飛ばしください。

  10. リゾートねこさん、ノラさん、予約に関するコメントをありがとうございました。

    予約に関しては、僕は語れる立場にないので、明日ご来場の方からお話を伺ってみたいと思います。

    なお、記事中のグラフを完全版にして、クローズしたクラブの分も入れておきました。それに伴って、少々本文を修正しています。

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