完成近づくサンクチュアリコート高山

夏休みを利用して、完成近づくサンクチュアリコート高山の工事現場を訪れました。あまり先入観もなく、下調べもなしに現地を訪れてしまったのですが、やはり現場百回とでも申しましょうか、何事も現場を見ないとわからないことがあるな、と痛感させられた出来事でした。以下、写真を中心に、率直な第一印象を記します。

JR高山駅からクルマで数分の好アクセス

まず、駅からのアクセスの良さに驚きました。僕はクルマで高山駅の辺りから行ったのですが、本当にあっという間に着きました。資料によると「JR高山本線 高山駅よりタクシーで約4分」という立地で、歩いても駅から20分余りで到着します。

(報道発表資料よりアクセス地図)当社初、ホテルと美術館が融合 完全会員制リゾートホテル「サンクチュアリコート高山 アートギャラリーリゾート」6 月21 日(月)より会員権販売開始|リゾートトラスト株式会社のプレスリリース

ただし、高山の観光エリアは主に駅の東側(「古い町並み」「宮川朝市」など)なので、注意が必要です。そのエリアは徒歩圏ではありません(上記発表資料の地図ではそこが無視されています)。

ホテルは「飛騨の里」(飛騨民俗村)という博物館(屋外博物館)に隣接しています。民俗村の駐車場からは道一本を隔ててサンクチュアリコート高山が建っています。

(参考)飛騨民俗村・飛騨の里

冒頭の写真はこの駐車場から撮ったものです。ホテルの全景が望め、屋上(スカイテラス)の柵なども確認できます。

さて、まだサンクチュアリコートの案内板などは設置されていませんので、僕はこの駐車場をスルーして、ホテルへのアプローチのところまで行ってしまいました。もともと観光地だったところにあった美術館を壊して、跡地に作ったホテルです。リゾートトラストの他の開発現場のように手前からだんだん姿が見えてきて、「来るぞ、来るぞ」と感じるようなアプローチではないんですね。

いわば、古い観光地の中に突如現れる、と言った方が、印象としては近いかもしれません。高台に建っているので、クルマからの目線ではホテルは最後まで見えないんです。

介護施設、民芸品店、民家に隣接

というわけで、アプローチの様子です。

先ほどの駐車場から少し坂道を上がると、「サンクチュアリコート高山ホテル 次を右折」と表示がありました。これがなければ通り過ぎてしまうような、ちょっと奥まったところにホテルは建っています。

この表示が出ている建物は、「鉄ちゃん倶楽部」というデイサービス(通所介護)施設です。鉄ちゃんというのは「奥飛騨慕情」を大ヒットさせた歌手、竜鉄也さん(故人)のことです。デイサービス施設はかつての「竜鉄也慕情館」です。うどん屋さんも併設されていたようです。

(参考)いこいの広場 鉄ちゃん倶楽部 案内
(参考)奥飛騨慕情 - Wikipedia
(参考)竜鉄也慕情館(高山)の施設情報|ゼンリンいつもNAVI

そのデイサービスの先を右折するとサンクチュアリコート高山へのアプローチとなります。曲がり角には「民芸たぬき」という古布店があります。右奥にホテルが見えてきました。

(参考)岐阜県高山市にある古布、古美術のお店「民芸たぬき」

大きな送電塔が目立つ

工事の関係で、この「たぬき」から先は立入禁止でした。

ホテル手前には数件の民家が建っており、また写真でもわかるように、大きな送電塔がすぐ横にあり、送電線が目立つ印象でした。いまどきの観光地は地下に電柱を埋めてしまいますから、滞在施設に隣接して送電設備があるのはマイナスポイントです。

(参考PDF)観光地と無電柱化 消費者は観光地の景観・雰囲気をどう評価しているか(JTB総合研究所 中根 裕)

隣接する送電塔には「電線に注意」と大書されていますが、滞在時に何をどう注意すればよいのかはわかりません。

今まで知りませんでしたが、この高山には日本の送電設備の中核となる設備があるそうですね。それがこの送電塔と関係あるのかはわかりませんが…。

(参考)日立製周波数変換設備を用いた中部電力パワーグリッド飛騨変換所が完成|ニュースリリース:2021年4月1日:日立

ディスティネーションホテルと地域性

なお、この「たぬき」のすぐ向かい側にはサンクチュアリコート高山のための社員寮が建設中です。こちらの方が道路付けがよく、リゾートホテルの立地らしい感じがしなくもありません。

ともあれ、写真でお目にかけた通りです。民芸のまちに突如出現した「サンクチュアリ」という感じでしょうか。隣接するのは伝統産業の伝承保存を目的とする「飛騨の里」や何件かの民芸品店であり、このモダンな会員制ホテルとの調和を見出すことはできません。

同社はサンクチュアリコートのコンセプトを以下のように説明しています。それはその通りなのだと感じます。

「聖域の王宮」を意味するサンクチュアリコート。都会の喧騒から離れた、格別のプライベート空間のなかで、新たな滞在体験・価値観を提供するディスティネーションホテル

(公式)サンクチュアリコート|SANCTUARYCOURT|リゾートトラスト株式会社

地域の良さを取り入れ、地元と融和するというのは、観光業において一丁目一番地であると思いますが、現地を訪れた印象は「悪目立ち」に近いものでした。いろいろな意味で、これまでのリゾートトラストの開発立地とは少し違っているようです。好き嫌いがはっきり分かれる施設となりそうです。

17 comments

  1. いつもロムってばかりですが今回初めてコメントさせていただきます。
    先月は鳴門・今月はひるがので楽しみ、来週は初島と家族サービスに励むしがないリーマンです。(笑)
    アプローチから特別感(リゾート)を感じさせるリゾートトラストの雰囲気作りが好きなのに・・・
    高山は、う~んちょっと残念な感じですね。
    田舎に近代的な建物が建っているだけのように感じます。
    現在、スイートの権利持っていますが、今後の建築ラッシュのホテルも堪能したいのでスーパースイートを買い増ししようかと悩んでいたのに~ちょっと気持ちがそがれてしまいました。

  2. イトマンさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。

    このホテルはずっと同社のホテルを利用してきた立場からすると、かなり異色な感じがしました。

    ・リゾート地だけれども少し離れた広大な敷地に巨大リゾートホテルを作り込むエクシブ
    ・都市圏近くの湾岸埋立地に巨大リゾートホテルを作り込むベイコート倶楽部

    ここまでは割と一貫した手法であったように思います。

    SAC高山は観光地とも住宅地とも言えないような感じの場所に、同地の文化とは異質なものを中程度のサイズ感で押し込んだといった印象で、上記のエクシブ、ベイコートの系譜とは違うように感じました。

    ひとたび中に入れば「聖域」で、同社らしい世界観を作り込むと思います。ただ、これまでのエクシブやベイコートのように周囲を取り込んだ開発とは言い難い印象です。

  3. resortboyさん

    高山の現地取材 (^^) ありがとうございます。外観はかなり出来上がってきましたね。施設周辺や建物などについては、来年の開業後に私も足を運んでコメントさせて頂きますが、まずは久々の施設開業を楽しみに待ちたいと思います。

    さて、この高山からクルマで2時間弱の金沢に、新しくサンクチュアリコート(たぶん)が誕生するようです。内灘の日本海に面したゴルフ倶楽部の敷地内に来年着工ということですから、こちらも大いに期待してみたいものです。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/a99fed79c569b28640f78c7763986855b1776e1f

  4. benさん、コメントをありがとうございます。「サンクチュアリコート金沢」は、なかなかリゾートトラストらしい立地と経緯を持つ物件となりそうです。こんなところに豪華ホテルを巨額を投じて作れるのは、世界中で同社しかありませんね。

    返す返すもすごいビジネスモデルだと感嘆しています。

  5. 「こんなところに豪華ホテルを巨額を投じて作れるビジネスモデル」言い得て妙、です。
    こんな立地でお金をかけてホテルを建設しても、宿賃だけでは到底回収不能って事ですよね。

    高山や金沢は駅近との事、(海外ではなく)電車で行ける立地の「ディスティネーション・ホテル」の需要はどれくらいあるのでしょう。稼働率の発表が楽しみです。

  6. ソースは北国新聞ですが、下記の様な記事が掲載されています。

    リザートトラスト社は、金沢市粟崎浜町のゴルフ倶楽部金沢リンクスにサンクチュアリコートブランドでホテル新設を発表しました。

    既存のクラブハウスを取り壊し、13階か14階建てにて建築するとのことです。

    浜名湖見たいな感じかな?

    金沢は良いですねぇ。

  7. 以下の発表によると、サンクチュアリコート高山では高山駅からの送迎バス運行が確定したようです。

    ホテル業界初導入!地域の自然環境を守り、観光産業の発展に向けた送迎用“EV バス”を運行します:時事ドットコム

    湯河原みたいに送迎バスがないってことはないんだな、と思い、湯河原の公式情報を確認したところ、いまは「熱海駅」から湯河原離宮へ、平日のみ予約制で送迎バスが運行されていることを知りました。湯河原駅ではないんですね…。

    アクセス|エクシブ湯河原離宮|リゾートトラスト株式会社

  8. なんだかんだと言っても、やはり新施設の開業は待ち遠しいものです。
    エクシブ会員の予約はいつから始まるのでしょうか。まだ発表されてませんよね?

    最近気がついたのですが、高山も琵琶湖もサンクチュアリコートは全室禁煙ルームなのですね。これはうれしいことです。予約時に喫煙ルームしか空いてないとということがたびたびあるので。もうそろそろほかの施設も全室禁煙に切り替えるとか、喫煙ルームの数を大幅に減らすとかできないものかしら。

    ところで、前から気になっていたのですが、初めから「禁煙」「喫煙」の区別があったのは「箱根離宮」からですよね。今ではどの施設もどちらかを選べるようになりましたが、自分の所有の部屋はどうなっているのか聞いたところ、「禁煙ルームです。ご安心ください。」との返答。事前に他の区分所有者に聞いたりしたのかしら?
    どなたかこの件で照会を受けた方はいらっしゃいますか。

  9. blueroseさん、コメントありがとうございます。禁煙と喫煙の区別は、お気に入りの部屋が喫煙だったりすると困りますよね(愛煙家でなければ)。

    僕も毎回のように「消臭対応でお願いします」なんてリクエストを出して宿泊しています。そうすると見事に消臭されていて、灰皿も置かれていなくて、喫煙ルームであることは僕にはわかりません。

    以前からその部屋に泊まるときには、喫煙ルームなので灰皿がありますから、ルームキーを灰皿に入れる癖があったんですが、いつからか消臭リクエストをすると灰皿がなくなったので、「あれ、カギはどこかな?」なんて思ったりもします。

    予約のときに必要な情報なので、泊まりたい部屋が禁煙なのか喫煙なのかを知っておくことは、自分にとっては大事なことです。これもまた例の、奥が深い症候群、のひとつかな。

  10. 琵琶湖の何もない立地よりかは断然高山の方が様々な面で楽しめると思います。
    また東京ベイコート以来の新ブランド新規開業という事で、琵琶湖よりも高山を選んだリゾートトラストとしての意図を感じます。
    あとは美術館がどれだけの完成度になっているか。リゾートトラストとして最初で最後になるかもしれない美術館併設のホテルですらから、素晴らしい世界観を構築してくれる事に期待したいと思います。

  11. anchioxeさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。

    SAC高山は121室とこぶりなので、運営に困ることはないと僕も思っています。高山は観光資源にも恵まれ、長期に渡って安心な施設であると判断できます。

    対するSAC琵琶湖は、僕は大いに不安です。167室と室数はそれほどでもないように見えますが、最上級グレードのロイヤルスイートが75室もあります。琵琶湖はまだわかりませんが、高山のロイヤル2名客室は29,700円(メンバー料金)です。プラス食事ともろもろと考えると、琵琶湖の平日稼働はなかなか厳しいものを想像します。

    そして、冬場のアクセスの困難さ。自分は経験がなく、これについては伝聞からの想像ですが、おおいに危惧しているところであります。

    ともあれ、高山は特色のある街と特色のあるホテル、そして小ぶりでバランスのよいグレード配分で、心配のないホテルだと考えています。

  12. 本日、高山サンクチュアリコートに電話して色々聞いてみました。何と高山サンクはエクシブオーナー本人が宿泊するなら休前日でもメンバー料金!!
    あとベイコートではキャンセルで剥奪される、金、赤、白の権利もキャンセルしてもエクシブ同様戻してくれるそうです。
    エクシブオーナーにもとても優しい高山サンクコート、最高です。会員権買おうかな?

  13. anchioxeさん

    こんにちは!
    小生も高山サンクはとても楽しみにしておりますが水の都ベネチアを彷彿とさせる琵琶湖サンクも凄く魅力的だと思います。
    ワンコ飼いの小生にとって29部屋のドギールームや広大なドッグランを擁する琵琶湖は本当に楽しみです。いつもドギールーム予約で苦労していますが琵琶湖なら苦労せずに済みそうです
    早く琵琶湖が開業してくれないと高山の予約が大変ではないかと今から心配しています。

  14. RCさん、情報ありがとうございます。エクシブオーナーの予約開始は25日(日)の午前10時に電話で、ということみたいなので、連休中に皆さんどこかから電話するんですかね。

    教えていただいた点、公式サイトを見ましたら、「ベイコート倶楽部メンバー様及び、エクシブオーナー様のご本人様ご利用時は、メンバー料金でご利用になれます」と書かれていました。例えば以下。

    クラブスイート|客室|サンクチュアリコート高山|ホテル|リゾートトラストグループ サービスサイト

    エクシブと違ってサービス料がかかりますが、外資系風に言えば、一番狭い部屋なら1.5万++なので、全然アリですね。キャンセル料の部分も、いまのエクシブ互換ということは、一般的には使い勝手がいいということなのかな(僕の意見は違うんですけれどね)。

    美術館のサイトもオープンしていました。大人1,000円で小学生以下は無料。高山メンバーはもちろんいつでも無料。

    宿泊者はもちろん無料ですが、一般と時間を区切るのかな? 一般が10~15時、宿泊者は15~18時と8時~10時と書かれていますが、それじゃぁ宿泊者が不便ですよね? 一般時間にプラスして、という意味かな?

    飛驒高山美術館 Hida Takayama Museum of Art

    えっ、送迎バスないのか…

  15. 美術館のオープンが4月11日ということで、メディアにも載るようになりました。

    新たな飛驒高山美術館が4月にオープン。エミール・ガレやルネ・ラリックなどのコレクションを公開|美術手帖

    もしここをSAC高山のメンバーさんがご覧になっていたら教えてほしいのですが、この美術館部分は誰の所有なのでしょうか? ホテル利用時に無料になるのはともかく、SAC高山メンバーさんはいつでも無料で見られるということは、どう解釈すればいいのか、と思いまして。

    と言いますのも、初期オールドエクシブにおいては、ラウンジやスパ、プールなどは売主専有部分でしたが、離宮時代には区分所有権の対象となって「規約共用部分」となったり「売主に無償で専有利用を認める」ものとなりました。だんだんと共有の概念がゆるゆるになってきた経緯があります。

    これについては、2021年8月21日に京都大学からオンライン配信で行った「KASA Online #2 」で、会員権利の問題点として話題にしたことがあります。

    SAC高山は「完全会員制」をうたいながら、普通の観光客も流しで美術館利用としてホテルに入れるわけで、上記のことと併せて、どのようにその謳い文句や契約が現実と整合しているのか気になっております。

  16. 一つ上のコメントのせいかと思いますが、昨日、こちらの記事に関してGoogle広告のBAN申請が誰かから出されました。

    本日、Googleに当該問題に対する審査を依頼し、問題がなかったことがすぐに確認されました。記録としてこのコメントを残します。

  17. 区分所有権法の適用がある管理費のことや、共有部分の取り扱いについて
    resortboyさんのコメントが、お気に障る方がおられるということですね。
    それは、逆にいうと、ポイントをついておられることを示すと思います。

    なお、「専有使用権」ではなく、「専用使用権」だと思います。
    専用使用権の設定の可否については、多くの裁判例が存します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

😂 😍 🤣 😊 🙏 💕 😭 😘 👍 😅 👏 😁 🔥 💔 💖 😢 🤔 😆 🙄 💪 😉 👌 😔 😎 😇 🎉 😱 🌸 😋 💯 🙈 😒 🤭 👊 😊