高山駅で飛騨匠の歴史文化を体感

サンクチュアリコート高山の最寄り駅は、言うまでもなくJR高山駅です。2016年に新築された新しい駅舎なのですが、ここには観光都市としての高山が、単なる駅舎とは思えない熱量で表現されています。今日はその高山駅を見ながら、この場所の文化について概観してみることにします。

冒頭の写真は改札口ですが、この時点でもう、この地の文化を強烈に表現しています。床こそタイルですが、天井も壁も、飛騨産のヒノキが多様され、「木の文化」がこの地の最大の伝統であることを示しています。

それは現在、文化庁が認定する伝統文化を語るストーリー「日本遺産」として、「飛騨匠の技・こころ」が登録されていることからも伺えます。

(資料)飛騨匠の技・こころ|日本遺産ポータルサイト

上記の日本遺産公式サイトから引用します。

「飛騨工制度」は古代に木工技術者を都へ送ることで税に充てる全国唯一の制度で、
飛騨の豊かな自然に育まれた「木を生かす」技術や感性と、
実直な気質は古代から現代まで受け継がれ、高山の文化の基礎となっている。

詳しくは上記サイトや、また以下の飛騨高山観光公式サイトを見ていただければと思いますが、この点を押さえた上でこの街を楽しむと、ぐっと楽しみが広がるように思います。

(参考)日本遺産 主な構成文化財 | 飛騨高山観光公式サイト

駅舎に戻ります。

改札口は2階にあり、橋上の駅舎と、東西それぞれの出口を結ぶ自由通路が設けられています。この通路は「匠通り」と名付けられ、まるでミュージアムのような展示で旅人を迎えます。

この匠通りの最大の見所は、ユネスコ無形文化遺産登録「高山祭の屋台行事」に関する祭屋台の展示です。

(資料)春の高山祭(山王祭) | 飛騨高山観光公式サイト
(資料)秋の高山祭(八幡祭) | 飛騨高山観光公式サイト

構造の違う2種類の祭屋台の下段部分が実物大で展示され、14個ある展示ショーケースには、実際に屋台で使われた車輪や装飾品、そして「飛騨匠」を象徴する大工道具などが展示されています。

駅に行ったのがちょっと早すぎてシャッター越しの鑑賞になってしまいましたが…。

この自由通路も飛騨産ヒノキによる内装となっていて、言葉ではないことばで「飛騨高山」の何たるかを語りかけてきます。

エスカレーターでメイン観光エリアである「乗鞍口」(東口)に降りましょう。「ようこそ、飛騨高山へ」の垂れ幕には、春と秋の高山祭で行われる伝統芸能、闘鶏楽や獅子舞の衣装となる飛騨染のデザインが描かれています。

駅舎正面にやってきました。この外壁は、飛騨高山の文化をもっとも体感できる、「古い町並み」に見られる町屋の雰囲気をモチーフとした、格子パネルで覆われています。伝統的なデザインながら、とてもモダンな感じがします。

(資料)古い町並(国選定重要伝統的建造物群保存地区) | 飛騨高山観光公式サイト

駅前には水盤があり、とてもおしゃれです。こちらに見える「高山駅」のロゴは、かつてのJR高山駅で使われていたものです。「高」は駅舎、「山」は北アルプス(飛騨山脈)、「駅」は蒸気機関車ですね。

以上、JR高山駅の駅舎について紹介しました。旅のはじまりから、素晴らしい「もてなし」です。観光都市としての気合と気概を感じざるをえません。

8 comments

  1. 岐阜県民なので、高山駅もたまに利用しますが、業務で行くだけなので中を見て回るようなことはなく、この紹介文でよく分かりました。今度行く機会があったら、じっくりと見て回れるよう時間設定しようと思います。サンクチュアリコートについては、開業を楽しみにはしていますが、別項の記事を読むと少しイメージダウンしましたね。

  2. 情報ありがとうございます。
    実家の父が高山と高山グリーンホテルかお気に入りで、
    ここ数年で何度か訪れていますが、いつも車のため
    高山駅がこんな素敵な造りだとは知りませんでした。
    また秋に再訪する予定なので、次回は駅見学してきます。

  3. こんにちわ。
    高山から近い金沢に次期ホテル誕生ですね。
    yahooニュースより
    金沢市粟崎浜町の「ゴルフ倶楽部(くらぶ)金沢リンクス」で、ホテルの建設計画が浮上していることが16日分かった。地元関係者によると、全国でホテル事業を展開するリゾートトラストグループ(名古屋市)が、ゴルフ場を運営する大浜リゾート開発(金沢市)の株式の一部を取得し、敷地内に会員制のホテルを設ける見込み。投資額は約300億円とみられる。来年7月に着工し、完成には3年程度かかる見通しとなっている。

  4. こんにちは。今度は金沢内灘海岸ですか。立地はいいし駅からも遠くありません。元々工業団地だった区画だそうで地図で見ると手狭な敷地でホテルが立ちそうな隙間はないんですが、クラブハウスだけじゃなくて隣の乗馬クラブも取り壊すんでしょうか。ここもバブル破綻物件ですね。破綻の経緯や評価額などは椿ゴルフさんの記事がいちばん詳しいようです。
    https://www.mmjp.or.jp/tubaki-golf/newsfail/2007/1010-kanazawa.html

  5. ansyさん、hiroeさん、コメントありがとうございます。

    僕もクルマだったんですが、駅舎のデザインが素晴らしく、周囲の建物も駅に調和していて(これについてはまた別に記事を書きます)、「これはいったいどういうことだろう」と足を運んだのでした。「高山祭屋台会館」に行く時間が取れなかったので、屋台に関する展示をここで見られて、とても満足しました。

    (公式)飛騨高山『櫻山八幡宮』|高山祭屋台会館へようこそ

    GOLFさん、ノラさん、情報ありがとうございます。

    以下が報道記事です。

    石川県 金沢リンクスにホテル計画  名古屋の上場企業、ゴルフ場運営会社が株取得へ|北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ

    「金沢ベイコート倶楽部」っぽい立地ですね。Googleマップからの参考空撮画像です。工場団地として造成された区画いっぱいにゴルフ場が広がっています。

    隣地がコマツ金沢工場なので、交通案内は以下からどうぞ。

    金沢工場|コマツについて|小松製作所 – 建設機械のコマツ

  6. このJR 高山駅、匠通りに関する、公式のパンフレットを入手しましたので、以下にリンクを貼っておきます。

    そこに、デザイン監修者である、建築家・東京大学名誉教授(当時。現 多摩美術大学学長)の内藤廣氏のコメントが掲載されていますので、記事の補足として、以下に掲載します。

    デザイン監修 内藤廣(建築家・東京大学名誉教授)

    街を住まいにたとえると駅は玄関です。鉄道で訪れる人にとって、駅はその街に最初に触れる空間です。この場所の在り方が第一印象として脳裏に刻まれるのです。高山駅では、木をたくさん使って、列車を降りた方が街への期待を膨らませると同時に、ホッと息ができるような温かな空間を創ろうとしました。
    また、自由通路には伝統工芸の粋を集めた高山の山車のすごさが展示されています。こんな自由通路は全国を見渡しても例がありません。文字通り高山ならではの日本一の自由通路が出来たと思っています。この駅と自由通路は、街の玄関として街造りの一翼を担い、高山の新たな顔になっていくと信じています。

    (出典パンフレット)匠通り・JR 高山駅

  7. 私も北陸には是非施設ができればいいなあと思っていましたが、金沢近郊とは。
    確かに有名な温泉地には広い敷地は望めないでしょうから。

    内灘海岸・・・真っ先に思い浮かんだのは、五木寛之作「内灘夫人」。
    今から思うとなんだかメロドラマみたいな題名ですが、主人公の霧子は、内灘闘争ー1952(昭和27)年在日アメリカ軍が、朝鮮戦争を背景に日本での砲弾試射場の提供を要求、政府が内灘を候補地としたことに対して起きた基地闘争で、地元住民の反対運動から、全国的に注目される基地闘争へと拡大ーに参加し、活動家の沢木良平と結ばれて学生結婚、広告代理店の社長となった良平との生活に飽き足らない思いを抱きながら生活する中、70年安保の大学紛争で騒々しい新宿で、学生活動家に会うことで、自身の制止していた青春時代の思いが動き始めることから始まる小説です。

    私は基地闘争のことはもちろん、70年前後の新宿のことも知らないし、小説が発表されてからずっと後、ちょうど主人公の霧子と同じ年代になったころ夢中になって読みました。
    そのことを勤め先の先輩女性に話したら「私なんかそれを読んで内灘まで行っちゃったわよ。」とすかさず言われ、私もしばらく後に金沢に行ったとき、内灘に直行してしまいました。行った季節はよく覚えていないけれど、砂丘に枯草が生える殺風景な景色でした。

    その近くにサンクチュアリコートができるのですね。
    なんだか、ああ、私も年を重ねたんだなあという感慨が起きました。
    懐かしくて調べてみたら、内灘町「歴史民俗資料館 風と砂の館」のホームページにたどり着きました。
    https://www.town.uchinada.lg.jp/soshiki/rekimin/

    地味な施設ですが、ホテルができた暁には行ってみたいなと思っています。

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