エクシブの重要なパーツだったRCI

リゾートトラストがエクシブの主要機能の一つであった「RCI海外リゾート交換」を放棄し、またその代替機能であったRTCCの海外リゾート交換を昨年3月末で廃止したことは、リゾート会員権運営会社からの一方的な契約変更(契約違反)という点で、決して風化させてはいけない「事件」。そんな思いを、この件に触れた記事に久しぶりにコメントをいただいて、また新たにしています。

昨日の夜、蔵から同社の会報誌「My Resort」のバックナンバーをひとつかみリビングに持ち出して、まだベイコート倶楽部がない時代にRCIがどんな風に位置づけられていのか、何気なく確認してみました。

以下は2006年の第56号に掲載の連載「RCI World」です。雰囲気だけ分かる程度の低解像度でご覧にいれます。

RCI Japanがリゾートトラストの子会社であった時代、会報誌には毎回4ページのRCI利用に関する記事が掲載されていました。多くは利用者が集中するハワイの記事でした。

56号では「コンドミニアムで過ごすオアフ島」と題され、ワイキキ滞在について書かれています。そして記事の最後はこのように締めくくられています。

RCI加盟リゾートに滞在して非日常を日常として楽しむ…。ゆっくり、じっくりと楽しみたい。魅力たっぷりのリゾートにはコンドミニアムはまさにうってつけ。交換手数料は1週間4人(定員)で31,500円と経済的です。コンドミニアムを拠点に、世界のリゾートを満喫しましょう。

そしてその文章のすぐ左には、当時RCI交換で一番人気であった「ヒルトン・グランド・バケーションクラブ・アット・ヒルトン・ハワイアン・ヴィレッジ」の写真が代表的な交換対象の1つとして掲載されていました。

56号の次の見開きは以下のようなもので、他のハワイ諸島に関する案内です。そして4ページ目にはユーザーのインタビューを掲載。これが定番のスタイルでした。

このように4ページにわたってハワイ利用が紹介されています。今の会報誌と違って、料理の話は載っていません。売出中の東京ベイコート倶楽部の記事も2ページだけ。会報誌で最も目立つボリューム感で、「毎号」、RCIの利用が推奨されていたのでした。

同じく2006年の第59号の同連載は、新たにRCIに加わったホテルの紹介です。そのホテルとは「ヒルトン・グランド・バケーションクラブ・アット・ワイコロア・ビーチ・リゾート」。ビッグアイランド、ハワイ島のタイムシェアリゾートです。

このホテルがHilton Grand Vacations Clubのロゴとともに3ページに渡って詳しく紹介されています。この号にあるどんなホテル紹介記事よりも「濃密」な内容です。そして4ページ目はユーザー紹介です。

毎号、毎号続く、このようなプレゼンテーションを見て、胸を踊らせたのは僕だけではないと思います。

同じ2006年に開業したエクシブ京都八瀬離宮は、先行する各地のサンクチュアリ・ヴィラと並んで、RCIのリゾートホテルランク付けで最高位となる「Gold Crown Resort」にランクされていました。

(参考)What does the RCI Award designation signify? | RCI.com

これはたらればですが、同社がきちんと会員との契約(約束)を守って、タイムシェアとしての客室運用をきっちりと行うことができる力量があったとすれば、現在どうなっていたでしょうか。同社の発展とともに、同社が抱える多くの「Gold Crown Resort」がその後生まれ、海外からのタイムシェア利用者に対して大いなるホテル資産を、RCIの枠組みの中で誇示することができた可能性がありました。

同社の「高級」ホテル群が生み出す「交換パワー」は、ポイント制に移行したモダンなRCIの中では、会員権の主要機能であった「海外交換」に大いなる力を発揮できたはずです。

しかし、すでに何度もお話ししているように、同社にはタイムシェアとしてのリゾートホテルを世界水準で運用する力がありませんでした。また東京ベイコート倶楽部のつまづきで、同社の会員に対する権利意識はイケイケになり、古くなったホテルの稼働率低下も相まって、いまでは「占有日」という概念そのものが薄らいできています。

そんなでたらめのはじまりが、この真っ赤なタイムシェアカレンダーであることは、言うまでもありません。

タイムシェアカレンダー | リゾートトラストグループ事業ブランドサイト

注)タイムシェアカレンダーについて、少々補足します。エクシブとは別の会員権として発足した東京ベイコート倶楽部の発売時の契約資料を見ると、同ホテルは「都市型」であり占有日の取り扱いに曜日による差を付けないクラブであったため、タイムシェアカレンダーはモノクロで印刷されていました。利用規約にはRCIの流儀に習って、シーズン区分は「全てレッド」と書かれています。同クラブは2008年11月にエクシブの上位会員権となりました。それ以降、ベイコート倶楽部の占有日はエクシブのレッドの日に使えるものと位置づけられ、今では同種の権利として認識されるようになり、同じページにタイムシェアカレンダーが掲載されています。

タイムシェアカレンダー | リゾートトラストグループ事業ブランドサイト

6 comments

  1. 勤務先の法人会員としてエクシブを知り、転職によって法人利用ができなくなったのを機に、中古ラージを購入して20年になる者です。いつも楽しく拝見をしていますが、ここ最近はこういうRT社の一方的な都合による悲しいテーマが話題になることが残念にも感じながら、腐れ縁のようにエクシブライフを楽しんでいます(苦笑)。

    さて、2013年にRT社から突然送られて来ましたRCI提携解消を告げる文書のことはいまでも絶対に忘れることのできないRT社との嫌な思い出です。即、苦情の問い合わせをしたところ、「代替サービスとしてRTCCサービスを提供開始するので、なんら変わりなくいままでと同等に海外リゾートを堪能頂けます。」としれっと説明されました。早速、RTCCの交換対象ホテルリストを取り寄せてチェックしたところ、RCIとは質量ともに比べ物にならないレベルのもので、とてもとても同等とはいえないものでした(個人の感想です)。

    同等性に問題があることを告げて、RTCCサービス拒否を申し出たところ、意外とあっさりと了解を得ることができました。「エクシブ会員権に関する契約等の特約同意書」を交わし、2014年分年会費(運営管理費)から、10,000円(税別)を減額していただいています。

    時は流れて、このRTCCも廃止となりますが、resortboyさんとは同じ思いです。
    私の中でも全くもって風化していない、嫌な思い出のひとつです。

  2. オールドエクシブマニアさん、コメントありがとうございます。

    RCIからの脱退と、昨年のRTCCのリゾート交換(手配による疑似交換機能)の廃止とは、まったく意味が異なると思っています。

    前者は、リゾート会員権の本質である「交換」という基本システムから離脱せざるを得なかった同社の「自己否定」を意味し、後者は単なる「一方的なサービス削減」「コストカット」です。

    この本質を同社の社員も理解していません。この2つが組み合わされることによって「契約違反」はより明白となり、同社の契約義務に対する姿勢も明るみに出ることになりましたが(質的なものはともかく、RCI脱退時は代替機能を提供することで表面上は機能が維持されていました)、このことをおかしいと思う会員はとても少ないようです。

  3. 税別10,000円の減額、というところに反応してしまう私のような人は、おそらくたくさん…それなりにいると思うんですがどうなんでしょうか。
    (私は税別4,000円減額組です。)

  4. HGVCでRCI利用権を持っています。
    RCIの交換対象は、どこもキッチンがあるというイメージです。
    例えば初島ラージ以上についているようなシンク程度のものではなく、最低限コンロ、包丁、皿、フォークスプーンなどが揃っている状態です。
    その点では、部屋食禁止を前提に室内が設計されているエクシブを当初RCIの仲間に入れていたこと自体、RCI側に大きな見落しがあったんじゃないかという気がしてなりません。
    エクシブやサンメン会員のRCI活用はそんなに多くなかったのだろうと想像していたので、ご紹介いただいた過去のマイリゾートでの猛烈プッシュぶりを見て驚きました。
    これは、RCI活用に期待が生じて当然ですね…

  5. 外の人さん、きのこさん、コメントありがとうございます。

    長くなりますが、「おかしな話」について、会費減という観点から振り返ります。記事にするほどではないので、興味のある方だけお読みください。

    RCIから撤退時には、エクシブ本体とは別契約であったRCI契約分のみを終了させて、8,000円または1万円の年会費減とすることができました。RCIを使わない人にとっては、エクシブはRCI契約が前提または強制でしたので(RCIを下敷きにした交換利用がエクシブの理念そのものであったためです)、RCIからの脱退は「メリット」と捉えた方々が多くいました。

    RCIから脱退しても、エクシブとベイコート倶楽部との交換機能は、ラージ以上であればRTCC経由という名目で維持されました。

    また、何もしない人はRCI契約がRTTC契約に変わって、相当額の会費徴収は継続されました。

    その後、RTTCが実質的になくなり、RTTCの機能はエクシブとベイコートなどとの交換機能+なんちゃってOTAとなりましたが、このなんちゃってOTA(RTTC旅行業サービス)を解除した場合の会費減は、RCI脱退時より大幅に減額された年間4,400円となりました。

    それらの差額はエクシブとベイコートなどとの交換機能(リゾートトラストのローカルな交換組織がRTCC)であると理解するほかはありませんが、RCI撤退時にRCI契約を解除してRTCCに移行しなかった会員の交換機能は今も生きています。

    つまり、RCI撤退時にやめてしまった人が、今は断然お得、であるということになります。リゾートトラストが筋を通すには、RTTC費用を旧RCIとは別に徴収する必要があります(そんなことはいまさらできないでしょう)。

    さらに、RCI機能が含まれていたサンメンバーズワールドホリデークラブの会員さんは、旧RCI会費=RTCC会費を支払っているのにもかかわらず、ベイコート倶楽部との交換権利がありません。その会費が何の対価なのかはどう説明されるべきでしょうか。エクシブのスタンダード会員も同様でしたが、サンクチュアリコートは交換できるので、将来的には意味が出るかもしれません。

    最後に、RCIを解除してしまったエクシブスタンダード会員はどうなるでしょう。なし崩し的に交換可能となるのではないかと推測しますが、RTCCの会費を払っていないことに感しては不問に付すのでしょうか?

    思い返せば、東京ベイコート倶楽部とエクシブとの交換にRCIを使うと決めたところがそもそも間違っていました。RCIは同じ運営会社内での交換を認めていなかったと思います。そこをRCIの中に特設の「予約センター」を作って無理やり「交換」という立て付けにしてしまった。

    うそに嘘を重ねて収拾がつかなくなったのに、合理的な説明を放棄している同社の姿勢は、これほどの高額商品を取り扱う企業としては問題があるのではないでしょうか。

  6. きのこさんご指摘の「RCI側に大きな見落しがあったんじゃないか」という点についてですが、RCI Japanの親会社であったリゾートトラストの東京ベイコート倶楽部開業当時のことを振り返ると、やりたい放題であった、という感想を禁じ得ません。

    RCIは今もウイークリーベースの交換システム「RCI Weeks」によってコンドミニアム中心であるわけですが、ポイント制交換利用システム「RCI Points」も確立して長い時間が経っていると理解しています(実際に使ったことがないので、詳しい方は教えてください)。

    エクシブがまっとうにRCI事業を継続していたら、エクシブのスペースバンクはポイント換算されて、RCIポイントにエクスチェンジして使える、という変化があったことでしょう。

    HGVCのポイントをヒルトン・オナーズポイントに変換して使う、みたいなことが、エクシブでもできていてしかるべきでしたが、リゾートトラストは権利を管理する能力に欠け、またそうした社風も形成されませんでしたので、結局は海外交換業務を放棄して今に至っています。

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