名古屋のホテルシーンをレビューする連載の後半戦です。2回に渡ってビジネスホテルを紹介して締めとしたいと思います。今回は、KASAの会でも重要なホテルロイヤルティプログラムと位置づけているオークラニッコーの「One Harmony」に属しているホテルを2つ紹介します。
いずれも宿泊特化型のホテルで、ここ2年のうちに開業した新しいホテルです。しかしいずれのホテルにも、最近のビジネスホテルでスタンダードとなってきた大浴場はありません。逆にどのような点で差別化を図っているのか、特徴を見ていきましょう。
ニッコースタイル名古屋
まず、2020年8月に開業したばかりの「ニッコースタイル名古屋」です。このホテルは、オークラニッコーホテルズの新ブランド「ニッコースタイル」の第1弾として開業したホテルです。その名前が示しているように、ライフスタイルに訴えかけることをホテルのメインテーマとしています。
それがどういうことか、訪れてみるとよくわかります。ホテルに入ると、レセプションよりも手前に、大きなパブリックスペースが広がっています。こちらの写真の奥にレセプションが見えますが、この右手にはカフェとレストランが、左手にはコミューナルロビーと呼ばれるパブリックスペースがあります。
報道発表によれば「ローカルコミュニティにも開かれたロビー」と説明されていて、建前としては、ここは公開エリアで自由に利用できるということになっています。実際には、併設されたカフェから注文を取ってラウンジ的に利用することになるわけですが、ホテルの顔となるスペースをパブリックに開放したところに、「共生」といったキーワードで表現されるような、現代的なライフスタイルへのこのホテルの理解が見て取れます。
このように、ホテルを特徴付けるスペースを飲食やサードプレイス的なコミュニケーションエリアとして位置づけるところは、最近開業した都市型のホテルによく見られる、かなり定型化したトレンドと言っていいと思います。ただこのホテルが振り切っているのは、そのスペースを地域に開放して運用しているという点ですね。
写真で見えるように、このロビーから見える景色は高速道路の橋桁なので、景色がいいというわけではないのですが、高く取られた大きな窓は開放的で、居心地の良い空間になっていると感じました。
アクセスは、名古屋駅から徒歩10分。14階建てで、客室数は191室の中規模ホテルです。客室はすべて30平米と、かなり思い切って広くしたところもこのホテルの特徴です。フィットネスジムはありますが、電子レンジはありません。こうしたところにもホテルの姿勢みたいなものが見えるように思います。
トリップアドバイザーによってこの連載と同様の条件(ゴールデンウイーク明けの平日)で参考客室料金を調べてみると、1室1万円~11,000円程度で販売されていました。宿泊特化型ホテルとしては上位ランクの値付けが保たれているようでした。
(画像出典:トリップアドバイザー。2021年4月25日調べ)
(公式)ニッコースタイル名古屋
ニッコースタイル名古屋
次に、オークラニッコーのビジネスホテルブランドであるJALシティブランドを冠した「ホテルJALシティ名古屋 錦」を見てみましょう。
こちらのホテルは、先ほどのニッコースタイルのすぐ近くで、アクセスとしては市営地下鉄の伏見駅から歩くのが便利です。名古屋駅からも徒歩15分くらいなので、名駅から歩いてしまうのも手でしょう。
こちらのホテルは2019年開業。客室は全216室の中規模ホテルです。ニッコースタイルと同様に客室がゆったりしているのが特徴で、一番狭い部屋でも22平米、広い部屋では33平米と、ビジネスホテルとしてはかなり広めです。トイレとバスが別であったり、バスルームにレインシャワーが付いているなど、新しいホテルらしい仕様となっていますが、前述のように大浴場はありません。
それ以外は特徴のないホテルで、館内施設としてはロビー階にレストラン「CAFE CANAL 1610」がある程度です。コロナ対策のせいだと思いますが、かなりゆったりと客席間隔が取られていて、好感が持てました。
同様にトリップアドバイザーで参考客室料金を調べてみると、1室7,000円から9,000円の間で販売されていて、ビジネスホテルとしては中~上位の価格帯となっていました。
(画像出典:トリップアドバイザー。2021年4月25日調べ)
(公式)ホテルJALシティ名古屋 錦