名古屋シリーズということで、今日は「ささしまライブ」とその周辺について、ホテラー目線で書こうと思います。東京者からすると、ささしまライブってナニ?という感想しかないのですが、5つ星(と言われる)ホテルが2つもある再開発エリアということで、興味をそそられる部分があるわけです。
例えば、横浜のみなとみらいとか、そういった近代的な雰囲気があるのではないかと、そんな期待があったんですね。でも、かなり感じは違っていました。
ささしまライブについては、こちらの地図がわかりやすいと思います。かつての貨物駅、笹島駅跡地とその周辺の再開発事業で、経緯も含めてWikipediaがハンディなので、リンクを掲載しておきます。
僕が現地で撮ったこの地図は、そのささしまライブの上半分くらいのエリアです。
まず名駅に一番近いところに「ストリングスホテル名古屋」があります(冒頭の写真)。ここはホテルというより、むしろ結婚式場としての方向性が強いので、一般ホテルとしてはおすすめしません。
そのストリングスホテルで宿泊した際、客室から撮った写真がこちらです。
なんちゃって大聖堂の上部が右下に映っているのがわかると思います。右上にはマリオットが見えますが、線路を隔てた正面に、連棟式の密集した住宅地があって、それがすごく気になります。
行き交う新幹線、名駅の高層ビル群、眼の前のイミテーション大聖堂、そして正面の「戦後感」。これらがミックスされて、なんとも不思議な気分にならざるをえません。
ささしまライブのもう1つの5つ星(とされる)ホテルは、「名古屋プリンスホテル スカイタワー」です。
こちらは再開発の中核施設、グローバルゲートタワーの31~36階なので、地上の風景が気になるということはあまりないと思います。
このホテルはなんだかすごく値段が高くなってしまい、僕は泊まるチャンスを逸してしまって今に至ります。写真は吹き抜けの広大なロビーです。
まぁ近くに行った時に写真を撮るくらいしかしていないのですが、名古屋駅の西側から撮影するとこうなります。
ストリングスホテルからの景色と同様、これは1980年代ではなく2020年代であるということに、驚きを隠せません。
調べてみると、この一帯は戦後、日本最大のスラム街であったということを知り、再び驚きました。
名古屋駅西口。駅裏といわれた闇市の歴史、中村遊郭への門前町、新幹線を受け入れ、リニアでさらに変わる街。
ささしまライブ駅から歩道橋を渡って西側に抜けた辺りから、名古屋駅西口への一帯には、こうした歴史の名残がまだ色濃く残っています。
名古屋駅近くで安いビジネスホテルを探すと、こうした地域に独立系の中小ホテルがたくさんあって、これはいったいどういうことなのだろうとずっと思っていたのですが、それは闇市やドヤ街としての歴史があるからだったのですね。
以前、このことをよく知らず、この近くのビジネスホテル(地名で言うと中村区太閤)を取ってしまって、少々ヘンな体験をしたことがあります(内容は省略します)。上の写真はその時の客室からのもので、日本を代表する大都会のメインステーション、名駅から数分の場所であるのに、いったいここはどこなんだろうと、時空がねじ曲がっているような、そんな感覚を覚えました。
そんなミクスチュアな都市空間を味わえるのも、あとわずかなのかもしれませんね。
というわけで、名古屋オフのお申し込み期間も、あとわずかとなりました。ぜひ来てね!
無駄話です。笹島(こちらはささじま)地区(ささしまライブの東側)も戦前は貧民街でしたが名古屋空襲で消滅しました。戦後名古屋中職安(住友ビルの向かいにあった)が開設されると日雇い仕事を求める労働者が集まり早朝から1000人規模の労務者と手配師でごった返すが9時過ぎには誰もいなくなりオフィス街に変わる不思議な街だったそうです。釜ヶ崎、山谷、寿町と異なり職安周辺にはドヤ街(簡易宿泊所の集まる地区)がないため、労働者は今回紹介された駅西に散在するドヤや安旅館に泊まっていたようです。駅西は大正時代の中村遊廓の時代から風俗街で空襲に遭わなかったため赤線建築などの物件も多数残っています。戦後は闇市+風俗(中村遊廓は戦後寂れて街娼が多数派となる)+パチンコ屋(戦後のパチンコ屋は名古屋起源)が溢れるカオスな街となりました。駅前からも見えますが精力剤販売をアピールする薬局と質屋がやけに多い街です。リニア新駅の建設ですでに更地化が進んでおり近いうちに様変わりするのは確実です。
ノラさん、記事に厚みを付けていただくコメントをありがとうございました。いわゆる駅西のエリアと本稿のエリアは少し違っていて、本当は駅西の話の方に興味がわいていたのですが、その辺りの街歩きをしたことがないので、コメントで付け加えていただいてありがたいです。
僕は名古屋の原体験(と言っていいのか?)がヒルトン名古屋なので、錦通よりもつい広小路通を使いたがる癖があるようで、三井住友銀行名古屋ビルという歴史的な建物について意識が行ってしませんでした。
今回の記事といただいたコメントで、駅裏・駅西とのつながりも知ることができました。今後、再開発されるようですので、今のうちに写真を撮りに行こうかと思っています。
名古屋・伏見に24階建てビル計画 歴史的建築の三井住友銀支店活用:朝日新聞デジタル
こんにちは。
resortboyさんのサイトで、中村区太閤方面の記事を目にするとは驚きです(笑)
名古屋市在住ですが、駅西方面はほとんど行ったことがなく
(新幹線口近くにある、韓国食材店まで)
東山線も名古屋駅までしか乗ったことがありませんでした。
主人の通院先が駅西にあり、それ以来頻繁に行くようになって
普通のスーパーの前や、ちょっとした裏道にぽつんとある風俗店を見た時は
ちょっとしたカルチャーショックをうけ
某病院に入院中、駅東と駅西の景色の違いも衝撃でした。
主人を待ってる間、一人ランチをすることが多いのですが
昔からある鰻屋さんが格安だったり、
町中華やうどんやさんの日替わりランチが750円
昔の遊郭を改装したお蕎麦屋さんなど、お店探しが楽しいです。
ミシュランビブグルマンに選ばれた、うどんのかとうさん
卵とじラーメンで有名な萬珍軒さん(夜間営業のみ)もお勧めです。
実は長女がささしまにある大学の卒業生で
2年生から、ささしまキャンパスに通学していました。
当時は大学と映画館、ライブハウス、ストリングスホテルくらいしかなく、
今はテレビ局にプリンスホテルと、ずいぶん様変わりしました。
これからはリニア開通に向けて、町並みがもっと変わっていくのでしょうね。
hiroeさん、コメントありがとうございます。地元の方にも「衝撃」なんですね。
新幹線のホームから太閤口側を見ましたら、絶賛工事中、という感じで、思わず写真を取りました。以下に行政発表の公式資料がありましたので、ご紹介しておきます。
名古屋市:リニア中央新幹線開業に向けた名古屋駅周辺まちづくりの現在の状況(市政情報)
東京から来て、わざわざ駅裏を歩くということもなかなかないのですが、こんなに急速に変わっていくのであれば、それを目的としてみるのもいいな、なんて思ったりしました。
ただいま伏見にいるので、三井住友銀行名古屋ビルの写真は取ってきました👌
名古屋市の都市再開発は驚くほどの勢いで進んでいますね。再開発や高層ビル建設を追跡してパワフルに紹介しているブログ(「飛翔~リニア時代の新しい名古屋へ」管理人みーさん)があります。名古屋絶賛工事中と並走しており更新の頻度もすごい勢いです。
https://skysclinear.com/
ノラさん、素晴らしいサイトのご紹介をありがとうございます。
僕のサイトもそうだと思いますが、テーマ特化型の情報は、大手マスコミはまったく役に立たず、その筋の専門家・ウォッチャーがしっかりした視点を持って長期に渡ってサイト運営をする、そうしたスタイルが最も社会的に価値があるということがよくわかりますね。